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第3回 ─ GO! GO! 25th タワレコ上陸25周年記念スペシャル! 後編

キース・カフーン(TOWER RECORDS JAPAN前CEO)が1979年を振り返る

連載
.com スペシャル 
公開
2004/11/25   15:00
更新
2005/10/27   18:48
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文/キース カフーン

1979年は音楽的にいうと、雑多な年だった。良くも悪くも変化が多くて。まずは多かれ少なかれディスコ・ブームのピークだった。自分は一本調子のリズムとナルシスト全開のファッションに閉口していたんだけど。もちろん好きな曲もあったけど、風潮そのものは好きになれなかった。他にも〈ニュー・ウェイヴ〉とかね。当時はパンクを水で薄めたような、パンクよりもかわいげがあるような、パンクよりももうちょっと売れそうな感じに捉えられていた。自分はザ・ナックが次期ビートルズだと信じて止まない人たちの一人では決してなかったけど、イケてるニュー・ウェイヴやパワーポップのバンドもいくつかあったのも事実だと思う。そういえば1979年の1月1日は僕が最低でも100本のショーを見たサンフランシスコのライブハウス〈Winterland〉が永遠に閉店した日だった。ちょっと残念だったな。

自分の人生でも変化が多かった年だった。年の初めには地元で大工として働いてたのに、大学が始まる頃の秋にはサクラメントのタワーレコードで働いていた。タワーでの仕事はすごく楽しかった。想像するのは簡単だろうけど、いろんな新しい音楽に触れることができたしね。レジをやってるやつが店で流す音楽を決めるっていうルールがあって、虹色の頭をしたパンク娘はUKからの輸入盤とパワーポップ、ヘビメタ小僧はヴァン・ヘイレンとUFO、引きこもりがちの鬱男はニック・ドレイクとレナード・コーエン、なぜか店で働いてた中年のオヤジはキャプテン・ビーフハートとジョン・コルトレーン、のんべの農場跡取り息子はウェイロン・ジェニングスとAC/DCとか、みんなの好みに合った色んなバリエーションがあってちょうど映画の「ハイ・フィデリティ」みたいな感じだった。この時代の自分の思い出は、店のスタッフが店で流した曲ばかり。さて、1979年の自分のトップ3は……

CHEAP TRICK『At Budokan』

これは、始めて日本から輸入されてきたアルバムのひとつで、チープ・トリックの名前をアメリカに知らしめたものなんだ。曲はすごいポップだけど、ギターがギンギンいってて、一曲一曲から出てくるエネルギーがすごい。思春期のクレージーさっていうか。上で触れた例のパンク娘がヴォーカルのロビン・ザンダーに本気で恋してて、よく店でかかってたんだ。大音量でね。

ELVIS COSTELLO『Armed Forces』

自分の中ではこれがエルヴィス・コステロのベストかもしれない。最初のアルバム2枚はけっこう単調で、コステロのめがねとX脚がモダンなバディー・ホリーみたいだったんだけど、このアルバムで曲がもっと込み入ったものになってきて、アレンジも凝ってきて、なおかつ人間関係とか恋愛関係とかのメッセージがこもったエモーショナルなもので。“Two Little Hitler”のライトレゲエとか、“(What's So Funny 'Bout) Peace, Love and Understanding”のロックンロールとか、音の幅もすごく広い。引きこもり店員が歌詞をよく分析して僕たちに教えてくれた。

RY COODER『Bop Till You Drop』

何人かのアーティストは〈タワーアーティスト〉って呼ばれてたんだ。世間じゃそんなに人気じゃなくても、うちの店では人気なもんだから店でよく流して、そうするとそれを耳にしたお客が買って行って…って感じで他のレコード店よりもレコードの売り上げが伸びたから。そういうアーティストの一人がライ・クーダー。いい演奏といい曲が入ってて、エルヴィスの“Little Sister”のカヴァーで始まる。ストア・マネージャーがライ・クーダーのこと大好きで、みんなこのアルバムでノレたからけっこうよくかかってた。

他にも記しておきたいのは、プリテンダーズのデビューアルバム、アメリカでのファーストシングル“Brass In Pocket”。クリッシー・ハインドはパンクのような危険性と、シンガーソングライターのようなもろさを持ち合わせている。ニック・ロウの『Labour of Lust』には大好きな曲“Cruel To Be Kind”や、その名の通り面白い“Cracking Up”とかいい曲がたくさんが入っている。トム・ペティー & ハートブレイカーズの『Damn The Torpedoes』は鋭く、感受性豊かでバーズがストーンズと出会ったみたいにロックしてる。ギタリストのマイク・キャンベルは本当に最高。ヒット曲盛りだくさんでオモシロ怖いストーカーの曲“What Are You Doin' In My Life”も流行ったよね。

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