タワーレコード25周年おめでとうございます。僕はその半分の期間をタワレコまで徒歩5分以内の場所で生活しているので感慨深いですね。〈No Tower, No Life〉って感じです。
タワレコが日本上陸した79年の名盤といえば、僕の場合まず浮かぶのは、ポール・ウェラー率いるジャムの『Setting Sons』。いま聴いても胸が熱くなるし、何か清々しい気持ちになりますね。何よりもジャケットが最高です。裏面に映された、ブライトンの海岸にぽつんと置かれたユニオンジャックのデッキチェアとブルドッグの写真に涙。そういえば映画「さらば青春の光」も79年ですよね。スペシャルズのファーストもそうだし、僕はまだ中学に入ったばかりでしたが、79年は青春時代の始まりだったのかもしれません。
ジャズの世界に目を移すと、ルイス・ヘイズ・グループの『Variety Is The Spice』が僕のフェイヴァリット。ジョン・コルトレーンの名演で知られる“My Favorite Things”、マーヴィン・ゲイの“What's Going On”のあまりにも鮮やかなジャズ・ワルツ・カヴァー、レオン・トーマスのスピリチュアルな歌声をフィーチャーしてフレディー・ハバートの名作をジャズ・ボサにアレンジした“Little Sunflower”が抜群です。その決定的な3曲は、最近選曲したスカイ&グリフォン・レーベルのコンピ『Skye & Gryphon For Cafe Apres-midi』『Skye & Gryphon For Apres-midi Grand Cru』にももちろん収めましたが、オリジナル・フォーマットでも来年早々めでたく復刻されるそうですよ。
そして僕が再発を熱望する79年のジャズ名盤が、チェット・ベイカーがレイチェル・グールドという女性シンガーとロンドンで吹き込んだ『All Blues』。美しいスリーヴに包まれたコール・ポーターの名曲“Iユve Got You Under My Skin”は絶品中の絶品です。
最後にブラジル音楽から一枚。パウリーニョ・ダ・ヴィオラの『Zumbido』を。まろやかな口笛に導かれる“Chico Brito”、フレンチ・ブラジリアンの最高峰カチアもカヴァーした胸を締めつける躍動のサンバ“Recomecar”など、ハートウォームな傑作揃いです。
▼上記で紹介された珠玉の作品たち