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第2回 ─ GO! GO! 25th タワレコ上陸25周年記念スペシャル! 前編

連載
.com スペシャル 
公開
2004/11/18   15:00
更新
2005/10/27   18:48
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文/久保田泰平、内田暁男

祝! タワレコ日本上陸25周年! というわけでタワレコゆかりのアーティストたちによって各地で熱いイベントも開催中(12月3日には日本武道館にて豪華アーティスト出演による〈TOWER AWARDS〉も開催。詳しくはオフィシャルサイトまで!)ですが、bounce.comではこの機会に、25年前から現在の音楽シーンを駆け足で振り返りたいと思います。そこで……アメリカとは切っても切れない関係ということで、全米を代表するビルボード・チャート年間No.1ゲッターを25年分総集結! さらに国内外のニューストピックで各年代をちょこっとプレイバック!

またタワレコとゆかりの深い人物であるSUBURBIAの橋本徹(96年~99年の「bounce」誌編集長)が、79年の名盤をレコメンド! 上陸当時の風景がよりかいま見えれば幸いです。それではまず、タワレコの歴史といっしょに歩んできた誰もが知っている名盤たちを改めて紹介します(前編は79年~91年まで)。

ビルボード年間1位ゲッター総覧!

■1979年
BILLY JOEL『52nd Street』

バカ売れした前作『The Stranger』同様、プロデューサーにフィル・ラモーンを迎え、とどまることない閃きを封じ込めた一作。邦題を〈ニューヨーク52番街〉とし、日本でも大ヒット。欧米人から〈ウサギ小屋に住む〉と揶揄されていた日本人にとって、NYの空気をいっぱいに含んだ本作から伝わるニュアンスは、憧れずにはいられないものだった。ちなみに、ファースト・カット“Honesty”は、当時もっともナウいラヴソング。*久保田

1979年の主なトピック
※ ウォークマン大ヒット
※ ジュディー・オング“魅せられて”レコード大賞受賞
※ 東名日本坂トンネル事故
※ 三菱銀行猟銃人質事件

■1980年
PINK FLOYD『The Wall』

サイケ~プログレを通過し、70年代には〈超〉がつくほどのモンスター・アルバムを続々と世に送り出していったピンク・フロイド。本作は、シアトリカルなコンサートや映画化をも視野に入れて制作されたという、ストーリー仕立ての2枚組超大作。英語のわからない日本人にとっては、ルービック・キューブばりに難解な作風で、文系のロック・ファン以外にはあまり歓迎されなかったが、全世界でのトータル・セールスは4,500万セット。*久保田

1980年の主なトピック
※ イラン・イラク戦争
※ 巨人長嶋監督辞任、王引退
※ 新風営法施行
※ ルービック・キューブ大ブーム
※ 山口百恵&三浦友和結婚
※ 12月8日、ジョン・レノン射殺
※ 金属バット事件

■1981年
REO SPEEDWAGON『Hi Infidelity』

結成14年目の苦労人たちが〈なめんなよ!〉とばかりに初のセルフ・プロデュースで臨んだ本作。邦題は〈禁じられた夜〉。“Keep On Loving You”などのヒット・シングルを送り出し、彼らにとって初の全米No.1アルバムとなったどころか、年間でもトップを獲得。メランコリックなメロディーと、ハード・ロックのダイナミズムを融合させた彼らのサウンドは、フォリナーやジャーニーなどと並べられて、〈産業ロック〉とも称されました。*久保田

1981年の主なトピック
※ チャールズ皇太子&ダイアナ妃結婚
※ 神戸ポートアイランド博覧会(ポートピアユ81)
※ 田中康夫「なんとなく、クリスタル」ベストセラー
※ 寺尾聡“ルビーの指輪”レコード大賞受賞

■1982年
ASIA『Asia』

US音楽シーンに、〈ロックを10倍ドラマチックにやる方法〉を引っ提げて殴り込みをかけたエイジアは、イエス、キング・クリムゾン、エマーソン・レイク&パーマーの元メンバーからなる英国産スーパー・バンド(ウッソー、ホントー、カワイイー!)。クリア・トーンのギターも、〈詠時感(エイジア)~時へのロマン〉っていう邦題もステキすぎ。それはそうと、このジャケを見ると、ウルトラセブンに出てきた宇宙竜ナースを思い出します。*久保田

1982年の主なトピック
※ 日航機、羽田沖に墜落
※ ホテル・ニュージャパン火災
※ 戸塚ヨットスクール・スパルタ事件
※ 流行語「ほとんどビョーキ」(山本晋也)

■1983/1984年
MICHAEL JACKSON『Thriller』

先行シングルとなったポール・マッカートニーとのデュエット曲“The Girl Is Mine”は、その後のことを考えると、軽いジャブ程度だったか。本作リリース後のカット“Billie Jean”、続く“Beat It”が、なんといっても強烈。でもって、“Wanna Be Startin' Something”“Human Nature”“P.Y.T.(Pretty Young Thing)”と、83年だけで5枚をシングル・カットし、すべてトップ10ヒットを記録。しかし、それだけでは終わらず、84年にカットしたタイトル・ナンバー“Thriller”は、チャート・アクション以上に、大がかりなプロモ・クリップが大きな話題に。MTV主導のヒット・システムをうまく活用したかたちとなり、アルバムのさらなるセールスに結びつけた。5,000万枚近くにもおよぶトータル・セールスは、もちろんギネス・ブック記録。とはいえ、当時このレコードを持ってた同級生は意外に少なかったような……って、貸レコード店が流行ってたのもこのころだったっけ。*久保田

1983年の主なトピック
※ ロッキード事件の田中角栄元首相に実刑判決
※ 三宅島大噴火
※ ファミリー・コンピュータ発売
※ YMO解散
※ 東京ディズニーランド開園

1984年の主なトピック
※ グリコ・森永事件
※ 長野県西部地震
※ ロサンゼルス・オリンピック開催
※ ロス疑惑騒動

■1985年
BRUCE SPRINGSTEEN『Born In The U.S.A.』

ビルボード誌で84週連続トップ10入りを果たしたこのモンスター・アルバムからは、タイトル・ナンバーを含めて7曲がシングル・カット。そのすべてがトップ10ヒットとなり、ディフェンディング王者、マイケルに肩を並べました。日本では、Tシャツとジーンズというラフな着こなしも話題になり、本作のジャケは、アメ雑好きがインテリア・グッズに活用するほど。また、この年の大阪では、赤と白ではなく〈黄色と黒の縞〉が大暴れ。

1985年の主なトピック
※ 日航ジャンボ機墜落、坂本九他死亡
※ 豊田商事事件
※ 科学万博つくば'85
※ 神田正輝と松田聖子結婚
※ ロス疑惑の三浦和義が逮捕

■1986年
WHITNEY HOUSTON『Whitney Houston』

〈天才R&Bシンガー〉と謳われ、音楽一家で育った彼女が放ったデビュー・アルバムで、邦題は〈そよ風の贈りもの〉(トホホ……)。“Saving All My Love for You ”“You Give Good Love”などお馴染みの全米No.1ヒット曲を多数収録し、女性ソロ・ヴォーカリストとしては初のビルボード年間チャート制覇。近年では、〈めちゃイケ〉でもパロディー化された93年の〈♪エンダーーーーーーーー〉こと“I Will Always Love You”(映画「ボディガード」主題歌)の特大ヒットでバラードの女王の地位も確立?*内田

1986年の主なトピック
※ チェルノブイリ原発事故
※ 写ルンです発売
※ アイドル岡田有希子自殺
※ ビートたけしとたけし軍団がFRIDAYに殴り込み

■1987年
BON JOVI『Slippery When Wet』

個人的には洋楽に入るきっかけのひとつになったのがこの作品。“Livin' On A Prayer”とか“You Give Love A Bad Name”とかプロモ・クリップといっしょに覚えているMTV世代も多いはず。チャート8週連続1位を記録した彼らのサード・アルバムである本作は、〈産業ハードロック〉と揶揄されながらもドラマティックなアレンジと激キャッチーなメロディーがまさしく旋風を巻き起こした(秀逸な〈おっぱいジャケ〉としても男を奮い立たせた)。ホワイトスネイクとかシンデレラとか香ばしいバンドも併用してた方が多数でしたね。*内田

1987年の主なトピック
※ 国鉄民営化、JRスタート
※ 大韓航空機事件
※ 〈バブル〉〈ボディコン〉流行
※ 俵万智「サラダ記念日」ベストセラー

■1988年
GEORGE MICHAEL『Faith』

ワム!解散後初のソロ・アルバム。同じく年間チャートを制したシングル“Faith”とともに1988年はジョージ・マイケル・イヤーだった。ワム!のポップなイメージとは違う肉体的なファンク・ミュージックを展開しており、濃厚に漂わせるエロティックなムードもいたずらに人を戸惑わせる魔力がある。モロに影響を受けたであろう岡村靖幸をはじめ、スガシカオなど子供たちもいっぱい。90年に発表された超大作セカンド・アルバム『Listen Without Prejudice Vol. 1』も物議を醸しましたね。*内田

1988年の主なトピック
※ リクルート疑惑
※ ゲーム「ドラゴン・クエスト3」発売
※ 渋カジ流行
※ 村上春樹「ノルウェーの森 上・下」ベストセラー

■1989年
BOBBY BROWN『Don't Be Cruel』

ニュー・エディションからソロ・デビューを果たした彼のセカンド・アルバム。当時ここ日本でもそれ系の格好した〈ボビ男〉を大量発生させていたのも記憶に新しい。テディ・ライリーによる新しいダンス・サウンド〈ニュー・ジャック・スイング〉を一般に知らしめたのが本作で、ブラコン以降の〈アーバン〉の代名詞とも言えるでしょう。 “My Prerogative”“Every Little Step”等覚えている方も多いのでは? ホイットニー・ヒューストンとの結婚(&その後の夫婦揃ってのドラッグ問題)も話題を集めましたね。*内田

1989年の主なトピック
※ 幼女誘拐殺人宮崎勤逮捕
※ 昭和天皇死去
※ 美空ひばり、松田優作死去
※ ベルリンの壁崩壊
※ 「TUGUMI」「キッチン」など吉本ばななブーム

■1990年
JANET JACKSON『Rhythm Nation 1814』

前作『Control』を上回る規模で爆発ヒットした作品。ジャム&ルイスによる輪郭がパキッとしたプロダクションのもと、タイトなポリス・ルックでやたらカクカク歌い踊る姿が艶かしく脳裏に焼き付いております。次作の『Janet』ではトップレスを披露するなどセクシーな路線にシフトし、いまもR&Bを志す女子にとってのひとつの指針になっているのは確か。2004年のNFLスーパーボール・ハーフタイム・ショウでの右乳ポロリ事件時の楽曲は、他ならぬ“Rhythm Nation”でしたね。*内田

1990年の主なトピック
※ 東西ドイツ統一
※ スーパーファミコン発売
※ 大橋巨泉引退宣言
※ “おどるポンポコリン”大ヒット

■1991年
MARIAH CAREY『Mariah Carey』

〈5オクターヴの歌声〉と鳴りもの入りでデビューした彼女のファースト・アルバム(邦題〈マライア〉)。“Vision of Love”“Someday”といったNo.1ヒット曲がすぐに浮かびますが、ここ日本では次に続く『Emotions』の印象のほうが強い? とにかく最初の時点でスターになることが約束されていたかのような天賦のヴォーカル力は、ホイットニー・ヒューストンなどの後を引き継いだ。当時CBSソニー社長だったトミー・モトーラーと93年に結婚(&その後離婚)したりと、プライヴェートでもいまだVIPです。*内田

1991年の主なトピック
※ 湾岸戦争勃発
※ ソ連崩壊
※ 〈ジュリアナ東京〉オープン
※ 宮沢りえ写真集「Santa Fe」発売

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