ハ:!K7 STAGEのファイヴ・ディーズのライヴは個人的にはかなりのナイス・パフォーマンスでした。ファット・ジョンやペイス・ロックがMCしながらステージ全体を動き回ってましたね。ファット・ジョンは意外に背が低くてトッチャンボウヤみたいなルックスだったんですけれど(笑)、MCのスキルはズバ抜けて高くて、ヒップホップのイベントじゃないのにもかかわらずお客さんとのコール&レスポンスがいい感じで成り立っていましたね。近作『Kinkynasty』収録のヒップハウス調のトラックなんかが一番受けてました。マウス・オン・マーズはどうでしたか?
ファイヴ・ディーズ
ビ:結構ロックでしたよね。ベース、ドラム、ラップトップという異色編成でしたが、ギター・ロック然としていて。以前の作品はエレクトロニカ的なイメージがあったんですけれど、ドラマーのプレイが激しくって意外にも骨太なライヴでした。
ハ:あとLUNAR STAGEのグリーン・ヴェルヴェットは、以前メタモルにライヴしに来たときはミドリのタテガミをおっ立ててかなり狂ったルックスだったんですが、今回はDJということで普段着(笑)。かなり冷静にDJしてましたね。プレイは自分の曲もプレイしながら、渋いアシッド・トラックや硬質なテクノ・トラックをよくかけてましたね。DJスニーク、グリーン・ヴェルヴェットのシカゴ・ハウス勢はハードめでしたけれど安定感があって、ホント巧かったです。
ビ:LUNAR STAGEは明け方にQ'HEYのプレイに触れたんですけれど、この時間帯はかなりバキバキでハードでしたね。LUNAR STAGEのスニーク~グリーン・ヴェルヴェット~FUMIYA TANAKA~Q'HEYという流れは一貫していて楽しみやすかったのでは? その後がKAORU INOUEだったんですが、始まってすぐ音量を下げられてしまったのが残念でしたね。明け方でガラージ・クラシックなんかもかけてて、インナー・ライフのサルソウル・クラシック“Ain't No Mountain High Enough”、インディアの“Love And Happiness”なんかをかけていました。10月に出るDJミックス盤も聴いたんですけど、けっこうテクノ寄りな感じで、最高のミックスですよ! !K7 STAGEの方はチキン・リップスのスティーヴ・コーティがプレイしていて、口を半開きにして、エコーやディレイを適度に使いながら120くらいのBPMでディスコ・ダブあたり、ジワジワと踊らされちゃいました。ヤズーの“Situation”なんかもかけてましたね。
グリーン・ヴェルヴェット
ハ:僕は明け方、ジェイミー・リデルで燃え尽きました。クリスチャン・ヴォーゲルとのユニット、スーパー・コライダーでもお馴染みのスコットランドの変態。ライヴ宅録ヒューマン・ビート・ボックスというか…マイク・パフォーマンスだけでダンス・ミュージックを作ってしまう。ファッションもシャンプーハットに白衣を着て、〈ドラえもん〉の玩具マイクなんかも持参しつつといった感じで。突き抜けてたなあ。プリンスやブラックミュージックへの偏愛が変態テクノと邂逅を果たしていました。
ビ:最後はDJ KENTAROの別名義のKEM DJ。DJ KENTAROのときとは違う、スクラッチやトリックをほとんど使わないストイックなプレイで、KENTAROファンも注目してました。アンコールではアンダーグラウンド・レジスタンスの“High Tech Jazz (Live)”をかけてましたね。勿論、盛り上がってました。
ハ:それは最高の朝(昼?)ですね。では、最後に自身が観た限りでベスト・ライヴ、ベストDJは? 僕はライヴでは、ファイヴ・ディーズ。DJでは始祖ということでアフリカ・バンバータでしょうか。
ビ:ライヴではトニー・アレンかHIFANA。DJではスティーヴ・コーティでした。ルックスでいうと、優勝はKAORU INOUEの着ていた〈狂〉文字をあしらったクルーエルTシャツでしょうか(笑)。逃げ場が色々な場所にあって、年寄りにも優しいイベントでした。激しいサウンドの横のステージでは、ゆるーいDJが流れていたり。トニー・アレンやROVOのステージは音源を知らなくても楽しめるものだったし、来年は日本のジャム・バンドなんかも見れたらハマるかも。
ハ:では自分は来年はカオマンガイを……。
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