フジロック開催から30日ばかり、8月28日の昼から翌昼まで苗場の大地で昼夜通して繰り広げられたダンス・イベント〈METAMORPHOSE 2004〉(以下、メタモル)。お馴染み~ハジメマシテな強者DJが出揃ったLUNAR STAGE、ライヴ・パフォーマンスが中心となったSOLAR STAGE、ドイツのインディペンデント・レーベル〈!K7〉の特設ステージの3ステージをbounce.com編集部ハラダ、@TOWER.JPバイヤーのビグフォンが振り返ってみました。
ハラダ(以下、ハ):いやー、現地は季節柄か台風16号の影響か本当に冷えましたね。ビールというよりも、防寒対策でグリーン・カレーをガツガツたいらげるくらい。
ビグフォン(以下、ビ):雨も少し降りましたしね。僕はカオマンガイを食べました。スープストックで炊いたご飯に蒸した鳥をのせて、パクチーを入れて、ソースをかけて……(しばしタイフード話なので、略)。当日は14時くらいからの参戦で、テント立てにいそしみながらDJ KLOCKを聴いて、その後FARR A.K.A.CALM、MITSU THE BEATS、トニー・アレン、アール・ジンガー、EYEと観ましたね。MITSU THE BEATS(!K7 STAGE)くらいの時間帯(15時ころ)はまだ陽も明るくて、デ・ラ・ソウルの『Stakes Is High』あたりの曲とか、ヒップホップ・クラシックもよくかけていました。
ハ:僕は夜到着して、後半戦のアフリカ・バンバータ(SOLAR STAGE、23時ころ)からの参加だったんですが、前半戦はどうでしたか?
ビ:個人的にはSOLAR STAGEのトニー・アレンがベスト・アクトでした。ドラムばっかり聴いてたんですけれども、音にかなり迫力があって。アフロ・ビートだけれども、ちょっとロック寄りの印象。自分の曲の“Asiko”(アルバム『Black Voices』収録曲)なんかもやってましたよ。
ハ:この時間帯(16時ころ)はKENJI TAKIMI(LUNAR STAGE)、ファット・ジョン(!K7 STAGE)と被っていて贅沢なところですね。そういえばファット・ジョンにしてもバンバータにしても、今年はヒップホップ・アクトが結構いましたね。お客さんの受けもかなり良くて。
ビ:トランスのレイヴとかとも全然違うし、健全で幅が広い雰囲気はありましたね。そういえばアシッド・ジャズ時代からのヴェテラン、トゥ・バンクス・オブ・フォーのアール・ジンガーのライヴ(!K7 STAGE)は、ダブとかレゲエの要素もすごい強くてMCもガンガン入れて煽りまくってましたね。
ハ:幅広いといえば、!K7 STAGEは小さなドーム状の舞台になっていて決して大きくない作りながら、イベントの幅を格段に広げてくれました。
ビ:!K7 STAGEの隣には、カフェスペースみたいなものがあって屋台二つ分くらいの広さの中でお茶しながらモニター画面を見ることができました。疲れたときはこちらを活用していましたね。
ハ:夜は僕はアフリカ・バンバータ、ファンクストラング、ファイヴ・ディーズ、グリーン・ヴェルヴェットあたりを中心に観てましたが、なんといってもアフリカ・バンバータのDJ。MC、DJ、ダンサーが一体となった〈WILD STYLE〉な空間は、「百聞は一見にしかず」というか。
ビ:最初に「Bボーイ、ダンサーはステージにあがって踊れ」ってMCで煽るもんだから、お客さんがみんなステージに上って、ダンス・パフォーマンスするスペースなんてなくなっちゃって(笑)。
ハ:NHK教育「おかあさんといっしょ」のフィナーレ状態でしたね(笑)。その後ステージにスペースができて、バンバータのDJにあわせてフリー・スタイルで踊っていた日本人のダンサーも素晴らしかったですね。彼のトラックは、初期ヒップホップだけに個人的にはシンプルすぎて物足りなさを感じることもあったけれど、ダンサー、MCが一緒になってパフォーマンスをすると十分すぎるくらいハマるというか。そういえばMINMIの曲なんかもプレイしていて驚きましたね。新譜もチェックしてるんだなあと。
ビ:バンバータはLLクールJの新曲で“Feel The Beat”(新作アルバム『DEFninition』収録)というティンバランドが作った、モロ・オールドスクールな曲もかけてましたね。あとは、その前の完全手動ブレイクビーツ・ユニット、HIFANAのライヴもよかったです。前半のインストでMPC&パッドを叩いて、スクラッチしていて。あと、カオスパッドを通してエフェクトのかかった出音と映像が同期してたりとか面白いですね。KEIZO machine!とジューシーの掛け合いを生で見れたのはよかった。後半は歌モノのサンプルを切り刻んでプレイしてましたね。アルバムに入っていた沖縄っぽい曲のニュアンスをかえたり。彼らはもっと世界に出て行って欲しいですねー。
ハ:サンプルを切り刻むといえば、ドイツからやってきた奇才ヘッズ、ファンクストラングはベーシストとヴォーカリストをフィーチャーしたライヴでしたね。ロック・スターの横で、賢そうなBボーイがラップトップやコントローラーをガシガシいぢるっていう構図。ファンクストラングやスウェイザクはファッションとかも音楽性を現していて、分かりやすかったですね。スウェイザクはファッションもニューウェイヴ・チックというか、結構オッサンですけど、ヴォーカルの人がネクタイ着用だったりしたのは面白かったです。