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第19回 ─ BRIAN WILSON

連載
NEW OPUSコラム
公開
2004/07/29   12:00
更新
2004/07/29   17:10
ソース
『bounce』 256号(2004/7/25)
テキスト
文/北爪 啓之

キャリアを重ねるごとにフレッシュさを増すポップ職人が、超充実のニュー・アルバムを発表!!


 素敵じゃないか! ブライアン・ウィルソンの完全なオリジナル・ソロ作品としては3枚目となる『Gettin' In Over My Head』は、文句なしに素敵な作品だ。6年前の前作『Imagination』ももちろん悪くなかったけど、コンテンポラリーでどこか他人行儀な音作りがファンの間で賛否両論だったことも事実。けれど本作は違う。ここにはビーチ・ボーイズ時代のような豊かな閃きがある。88年の記念すべきソロ1作目『Brian Wilson』のような無邪気な美しさがある。そしてなによりも、現在の彼の充実ぶりを伝える楽しく新鮮な響きがある。僕らが待っていたのはこれだ!

 ビーチ・ボーイズの超名作『Pet Sounds』以降、精神的破綻を起こし重度のドラッグ中毒に陥った彼は、幾多の紆余曲折を経て現在へと至った。その間に、かつてのあの美しいファルセット・ヴォイスを失ってしまったけれど、代わりに得たのは感動的なまでに真っ直ぐ響くイノセントな歌声。無垢な赤ん坊がそのまま大人になったかのようなその声は限りなく純粋で、胸を掻きむしられるほどに切なく美しい。そんな歌声に加え、中期のビーチ・ボーイズを彷彿とさせる素晴らしいメロディーが溢れる曲の数々と、ここ数年活動を共にしているジェフリー・フォスケットやワンダーミンツの面々といった生涯最高のバック陣を従えた本作に、いったいどんな文句をつければいいのか!? そしてまた、エルトン・ジョン、エリック・クラプトン、ポール・マッカートニーとゲストも凄い。これだけの大物が顔を揃えているだけで、ポップ・シーンにおけるブライアンの存在感が浮き彫りになる。とりわけ“A Friend Like You”におけるポールとのデュエットは、かつてのビートルズとビーチ・ボーイズの相互関係を思えば、ひときわ感慨深く心に染みる。オクラ入りした幻のセカンド・ソロ・アルバムに収録予定だった“Make A Wish”ほか数曲がついに陽の目を見た(もちろん新たに再録されて!)のも、ファンにとっては涙を拭くハンカチがいくつあっても足りないほどの感動! ブライアン・ウィルソン62歳(ちなみに彼の若かりし頃は、先日リリースされたビーチ・ボーイズのベスト・アルバムに付録のDVDで拝めます)、間違いなく現在もっとも充実した時期を送っているアーティスト。素敵じゃないか!

▼参加ゲストのベスト・アルバムを紹介。