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第16回 ─ フィッシュマンズに捧ぐ

連載
NEW OPUSコラム
公開
2004/05/20   13:00
更新
2004/05/20   16:44
ソース
『bounce』 253号(2004/4/25)
テキスト
文/駒井 憲嗣

それぞれの想いを胸に……フィッシュマンズのスピリットを受け継いだトリビュート盤が登場!

 レゲエやダブを独自に解釈して高い人気を獲得したフィッシュマンズの音楽には、温かさと同時に安易な馴れ合いを拒否するような感覚があり、フィッシュマンズの作る歌はフィッシュマンズにしか歌えないとさえ感じさせるような〈気〉があった。それほど彼らの楽曲には〈ワン&オンリー〉な世界観があり、バンドの佇まいも含めたところで発せられるオーラがあった。

 このトリビュート盤『SWEET DREAMS for fishmans』は決して感傷でなく、フィッシュマンズの曲をとおして、それぞれのアーティストがフィッシュマンズに対する想いを綴ったような作品だ。栗コーダーカルテットとの共演によるUAの“頼りない天使”や、弾き語りをベースにシンプルかつ奥行きのある空間を作り出す曽我部恵一やSTUKA。バンドの持つグルーヴを最大限に発揮したクラムボンやbonobosなど、各アーティストが多用なアレンジを施しながら、フィッシュマンズの楽曲が持つある種のエヴァーグリーンな感触を共有している。OOIOOやイルリメの荒唐無稽な解釈にすら、そうした匂いが立ち現れてくるのには驚かされずにはいられない。

 サウンドの革新性だけを、あるいはへヴィネスだけを求めようとするなら、フィッシュマンズもこのトリビュート盤も不要だろう。生きていくことへの重さや切実さと同時に、隣にいる誰かのことを思う優しさが柔らかく漂ってくる『SWEET DREAMS for fishmans』は、現在進行形のフィッシュマンズのスピリットを共有している。

▼フィッシュマンズの代表作を紹介。

▼『SWEET DREAMS for fishmans』に参加したアーティストの作品を一部紹介。


カセットコンロス『カプリソ』(HARRIER REC.)