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第2回 ─ ジャパニーズDJミックスの世界

第2回 ─ ジャパニーズDJミックスの世界(2)

連載
ミ ュ ー ジ カ ル・ジ ャ ー ニ ー
公開
2004/04/16   19:00
更新
2005/08/11   20:52
テキスト
文/内田暁男、小野田雄、原田亮

特定のジャンルに留まることなく常に越境しつづけ、日本(東京?)独自の進化を遂げたDJたちの素晴らしいミックスCD作品たちを紹介!! 

MOODMAN『WEEKENDER』 musicmine (2002)

ダブやムード音楽、テクノ、マイアミ・ベースほか、気の赴くままにさまざまな音楽をハードコアに極める一方、レーベル・オーナーとして、はたまたDJとして東京の地下を風切って歩んできたMODDMAN。その彼が鋭敏な嗅覚をさらに利かせ、広義のディープ・ハウスをライヴ・ミックス! DISCFUNCTIONやGRAYHOUNDほかNYに限らない世界のハウス・ミュージック裏ネットワークの一端を、ダビーかつファンキーなプレイに反映させた本作はあまりにディープで逆に聴きやすくもあり、2002年のリリースからロング・セールスを記録中。(小野田)

タキミケンジ『THE DJ AT THE GATES OF DAWN -DANCESTONE LIVE-』 musicmine (2003)

先頃、DJ ハーヴィーと共演したLAにおけるプレイでもハードコアなパーティー・ピーポーをフロアに釘付けにし、その音楽性が唯一無比であることをまざまざと見せつけた瀧見憲司。初のミックスCDである本作は自身が主宰するCRUE-Lのムードを反映しつつ、トーンズ・オン・テイルやカルトといった80'sゴシックからDJ ガースやドック・マーティンら米国西海岸の良盤に至るレフトフィールドなセレクション&プレイによって、彼の奥底にあるロックの攻撃性や覚醒感をサディスティックなグルーヴへと変換した大傑作だ。(小野田)

クボタタケシ『NEO CLASSICS』 cutting edge (2003)

DJシャドウとカット・ケミストのDVD『Product Placement』にて〈TAKESHI〉と紹介される日本屈指の45 KINGにして、青山のクラブ〈MIX〉を拠点に生音中心の選盤と流れを踏まえつつサプライズ感を内包したプレイでフロアを狂わせるクボタタケシ。その職人気質なプレイはドクター・ジョンに始まり、南回りでレゲエやダブ、スカにカリプソ、ブレイクビーツと縦横無尽に展開し、マテオ&マトスに至るというHOT! HOT! HOT!な69分を提供してくれる。とにかく酒がすすむミックスであることは間違いないが、飲み過ぎにはご注意を。(小野田)

岩城ケンタロウ『DUBMOSPHERE MIX』 pヴァイン (2004)

イタリアの老舗レーベルの音源をDub Archanoid Trimこと、岩城ケンタロウがミックスしたのが本作。イルマ音源というとLTJエクスペリエンスや最近ではfreeTEMPO、スコット・ジャコヴィーであったり……〈お洒落〉〈ジャジー〉〈ボッサ〉という印象がありますが、本盤はかなり泥臭い。いきなりイアン・オブライアンのアフロなリミックス(原曲はグルーヴィーステーション)で幕を開けて、ガラージを臭わせつつディープ・ハウス寄りの選曲で全13曲。彼の操るEQやディレイは、イルマのハウス魂を剥き出しにしてくれます。(原田)

DJ光光光『Planetary natural love gas webbin' 1999999』 COMMA (1999)

名義変更を繰り返し、簡単には掴まえさせてくれないDJ光光光ことボアダムスのEYE。初のミックスCDである本作はイジャット・ボーイズにサンバデジャネイロ(!)、ニューヨーク地下ディスコの帝王ダニエル・ウォン、はてはジャーマン・ロック・バンド、ナイアガラまでジャンルを超越したカオス&ダンスな49曲がストック・ハウゼン&ウォークマンばりに現れては消え、聴く者に猛毒とユーモアを注入する。その鮮度はリリースから5年が経過した現在も全く落ちていないが、変態ディスコDJ化している現在のプレイはクラブにて体験すべし。(小野田)

dj kensei & quietstorm『in time , like this chapter 2』 中目黒薬局 (2004)

2003年8月に新宿リキッドルームにて記録された、孤高のターンテーブル使い二人の共演盤。BPM110~120あたりの絶妙なテンポ(現行のヒップホップ以上ハウス未満)の上で、スクラッチやジャグリング、ディレイを多用したトリックの数々をブチ込むという姿勢には、オールドスクールであり〈WILD STYLE〉を感じます。終盤戦でビートの洪水からラリー・ハードのハウス古典“Can You Feel It”が飛び出す時の説得力はもう、ハンパない。HIFANAが陽のテクニシャンだとすれば、お二方は陰の名人?(原田)

chari chari『groundrhythm』 トイズファクトリー (2001)

ソロ活動はもちろんのこと、小島大介(PORT OF NOTES)とのAuroraやKENSEIらとのFinal Dropなど、各種プロジェクトを精力的に同時進行中のchari chariこと井上薫。まもなくリリースされるニュー・シングル“Two Punks, Three Indians”のタイトルや本作収録のエスノ・ファンク/パンク・バンド、23 スキドゥ“IY”からもあきらかなように、彼の根底にはパンク精神があり、それが本作にあっては張りつめたテンションと止まらずに変形し続ける多国籍 to 無国籍なリズム・パターンに色濃く反映されている。時空を超えた一枚がここに! (小野田)

SHIRO THE GOODMAN『踊り狂って飯が腐るのだ』 ROMZ (2003)

JOSEPH NOTHING、Com.Aなどを擁するレーベル、ROMZの主宰者による初ミックスCDは、そのタイトルとおりひたすら愉快で破天荒。ダンスホール・レゲエを基軸にポスト・エイフェックス・ツインなJOSEPH NOTHINGの分裂ドリルンベースから、いま話題のブラック・ストロボのイヴァン・スマッジもミックスCDに収録していた、ダーク・エレクトロなスイート・エクソシスト、サイ・ベグ、マシーン・ドラムなどのエレクトリック・ファンクまでをアヴァンギャルドかつユーモラスにブレンド! アクロバティックなビートの緩急が楽しまなきゃ損!と言っている。(内田)

仲真史『OUR TIME 2』 ESCALATOR (2003)

ERNEST SAINT LAURENTのアルバム・リリースが予定されているなど、あきらかにニュー・モードへシフトしつつあるエスカレーター。そのオーナーにしてDJの仲真史は本作において、エレクトロ/ディスコ・パンクやフレンチ・タッチ以降の仏国ハウス、その他にも北欧やメキシコ、ドイツ、イタリアなど世界中から続々と発生している異形のハウス・ミュージックを緩急織り交ぜて次々と繋いでゆく。その風通しの良さはこれまでの支持者はもちろん、テクノ・ヘッズや真性ハウス・ファンをも魅了しつつあり、ここにも新展開の予感が。(小野田)

須永辰緒『World Standard.03』 flower (2004)

須永辰緒の人気シリーズ第三弾。ラウンジ対応の選曲ながら、ハウスDJにも注目されるジャズ・ファンク・レーベルのロウ・フゥージョン~Sly Mongooseとクロスオーバーしていくあたりは、なんともダンサブル。フレンチ・ブラジリアン名曲“Zozoi”や西ロン界隈で話題のポルトガル人歌姫ジャジーニョなど、ヴォーカル・トラックの配置も心地よいです。渋谷〈オルガン・バー〉を拠点に、あのレコード屋とこのレコード屋とそのレコードを三角形で結ぶと、〈World Standard〉というカラフルな文字が浮かび上がる。かも。(汁兵衛)

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