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第45回 ─ トランス界の貴公子、YOJI BIOMEHANIKA様が自身のロック人生を振り返ってくれたよ!!

第45回 ─ トランス界の貴公子、YOJI BIOMEHANIKA様が自身のロック人生を振り返ってくれたよ!!(2)

連載
360°
公開
2004/03/18   13:00
更新
2004/03/18   19:12
ソース
『bounce』 251号(2004/2/25)
テキスト
文/リョウ 原田

そして現在──YOJI様の新作『TALES FROM THE BIG ROOM』が到着したぞ!!

 日本人としてはサトシ・トミイエ以来の〈DJ Magazine Top 100〉へのランクイン。いまやオランダのアムステルダムでは、税関の係員もコーヒーショップの前のホームレスもYOJI様に声をかけてくるという。オランダを拠点に行われる10万人規模の野外パーティー〈Dance Valley〉やイギリスの〈Gate Crasher〉といった場ではヘッドライナー扱いだ。ハード・ダンスとアンドロイドの夢を追いかけるサイバー・キッズにとって、彼は理想的なDJに違いなかった。

「〈Dance Valley〉は正直ビックリしたね。フライヤーをヘリコプターから撒いているし(笑)。オランダはなにをやってもデカイ。国はちっちゃいのにね。僕のプレイしている映像とかを観てもらえばわかるけど、箱のサイズで動きが違う、如実にね(笑)。大きな会場になるほど、一所懸命やんないと自分のパワーが届かへん。野外のフェスティヴァルだったら、いちばん向こうのアリンコのような人にも届けたいから」。

 日本のメインストリームで彼は長年〈規格外〉扱いを強いられていたのに対し、ヨーロッパでの反応は驚くほど早かった。ニュー・アルバム『TALES FROM THE BIG ROOM』は、そんなYOJI様の手応えが伝わる〈凱旋盤〉ともいえる。

「〈BIG ROOM〉っていうのは直訳したら〈大箱〉やねん。巨大な空間での音体験をまとめてみました、という。僕が体験してきたことがトラックに伝わればなって思う。たくさんの人たちがイヴェントに集まって、いっしょにピークを迎えたときの快感っていうのはもう、スゴイからね。(音楽的には)テクノの圧縮された汚い音も好きやし、トランスのスコンと抜けた音も好きや。あとホントはね、全曲自分の曲でDJしたい。なんでヨーロッパにたくさんレーベルがあるかっていうと、みんながDIYでやっているから。1DJ=1レーベル。僕は〈自分の音を自分のレーベルから出す、次々に出していく、それをプレイする!〉っていうスタイルがカッコいいと思ったからね。ハウスが出てきたときと同じ。とにかくお金はないけれど、自分たちはダンス・ミュージックをやりたいから。だからリズム・マシーンを鳴らしてみた、っていう。リッチー・ホウティンなんていまだにやっていることはいっしょや。せんでええのに、(DJ中にTR-909が)鳴っているもんな(笑)」。

 セレクターとしてのDJスタイルを否定し、全面的に〈Do It Yourself〉で挑む姿勢。その姿はDJでないようにも見えるし、真のDJであるようにも見える。そもそも宅録少年の頃から、YOJI様は……。

「やっていることはずーっといっしょや、血ィやねん(笑)。大工さんみたいなもんで、〈誰にも釘は打たさへん、釘は俺が打つ!〉っていう」。

 ヨーロッパの連中は、ブース上のYOJI様に向かってこう叫ぶそうだ──〈ROCK!!!!!!!!〉。間違いない。

▼YOJI様の作品/関連作品を一部紹介。

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