99年にハウィーBとの意欲作『Strip To The Bone』があったとはいえ、90年代以降影が薄かったスライ・アンド・ロビーだが、新作『Version Born』は予想以上に凄い。鋼のように引き締まった生音リディム、レゲエのアフター・ビートとファンクを基調にしたサウンドに、ビル・ラズウェルによるさまざまな音楽テクスチャーを盛り込んだエクスペリメンタルなダブ的音作りが絶妙のハーモニーを奏で、そのリディム/サウンドの凄味を(参加の必然を感じさせるメンツたちである)ルーツのブラックソートや硬派レトロR&Bシンガーであるエンディア・ダヴェンポート、ハードコアなヒップホップ表現にこだわり続けるウータン・ファミリーの一員であるキラー・プリースト、ダビーな音像に執着し続けてきたトリッキーらの歌やラップが増幅させている。それぞれ〈単独アルバムで一枚ずつ(!)〉とリクエストしたいほどのハマリようだ。スライ・アンド・ロビー、ヤル気満々と見た。(鈴木)