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第36回 ─ 〈貝がらラジオ〉緊急特番! ビートルズの噂の〈最新作〉を聴いてみた!!

連載
360°
公開
2003/11/27   16:00
更新
2003/11/27   16:26
ソース
『bounce』 249号(2003/11/25)
テキスト
文/鈴木 惣一朗

ビートルズ歴33年のミュージシャン・鈴木惣一朗が贈る『Let It Be...Naked』試聴体験記

みなさん、こんにちは。突然ですが〈貝がらラジオ〉のお時間です。今月はビートルズ『Let It Be...N-aked』のリリースを記念して、〈Naked〉を中心にご紹介するこのページを〈赤ラジオ〉、そして『Let It Be』以降のビートルズ4人の活動を追ったページを〈青ラジオ〉として、2ページに渡ってお届けしたいと思います!!

で、問題の〈Naked〉。ビートルズが一度バンドで制作しようとしたアルバムを、フィル・スペクターという大物プロデューサーに一任して仕上げたものが『Let It Be』なのですが、プロデュースされる以前、〈裸の〉状態のテイクをリマスタリングしたのがこの〈Naked〉なのです。思えば1970年、僕が小学4年生の時、姉が買ってきた『Let It Be』のレコードを聴いたことがキッカケで僕のロックの旅は始まりました。そういう意味で『Let It Be』は僕にとっての〈レジェンド〉。今回はリリースに先駆けて特別に〈Naked〉を聴かせてもらえるということで、ワクワクしています。現段階では資料はまったくないという厳戒体勢?ですが、とりあえずまっさらな耳で聴いた〈Naked〉レポート、さっそくいってみましょう!!

さてオリジナル盤とは曲順が変わって、“Get Back”からスタートなんですが……ん? 前に比べてハッピーな雰囲気が伝わってくるテイクですね~。この曲は〈本来のビートルズに戻ろう〉とポール・マッカートニーがみんなに呼びかけた曲。それにジョン・レノンは反発している。そんな曲をハッピーに歌ってるってのがおもしろいなあ。今回この曲で始まって“Let It Be”で終わる、っていう新しい曲順もスゴくいい。ちゃんと入口と出口があるって感じ。続く“Dig A Ponny”はオリジナルとあまり変わらないテイクかな。“For You Blue”はアメリカ南部のロック・バンドから影響を受けたナンバーなんですが、途中で〈Oh! Johnny Go!〉なんてフザケた掛け声が入るところはやっぱり最高! で、“The Long And Winding Road”。イイ!! 静かで力強くて悲しみに満ちている。終焉していくビートルズに向けられたレクイエムっていう趣。でも、当時スペクターはそれを理解せずに、ディナーショウ向けのゴージャスなサウンドにしてしまった。それに対してポールはずっと悔しい思いをしてたんだなァ。だからその悔しさが、この〈Naked〉を作る動機のひとつになってると思います。そのポールの積年の想いが果たされた時に、スペクターが殺人罪で再逮捕されたっていうのも(笑)。“Two Of Us”はジョンとポールが歌ってるんですが、なぜかこのヴァージョンではジョージ・ハリスンが歌ってるように聞こえます。天国からジョージが降りてきたみたい……なんて思ったりして(ホロリ)。“I've Gotta A Feeling”は、ギターがちょっとハードになって、曲の持っているブルースっぽさがよく出てますね。“One After 909”はジョンが17歳の時に書いた古い古い曲。ビートルズがブレイクする前の初々しい雰囲気が伝わってくるナンバーです。次は“Don't Let Me Down”! 僕はどうしてこんな良い曲がアルバムに入らないんだろうと、ずっと思ってた。だから今回アルバムに収録されたことで、ようやく『Let It Be』が完成した気がします。“I Me Mine”はコーラス部分が前に出てるところが良いですね。今回のミックスは全体的にヴォーカル・レヴェルが強調されていて、それもイマっぽいところ。“Across The Universe”はちょっとソフト・サイケっぽくてジョンのソロを思わせる雰囲気。“Let It Be”は……これまた感動的な別テイク!! 本来録られていたジョンとジョージのコーラスに戻されている。こんな良いコーラスが録られていたのに、スペクターが女性コーラスをダビングしたこともポールは許せなかったのかも。当時ポールは賛美歌のような歌を作ろうと思ってこの曲を書いたのですが、このテイクからはその想いがちゃんと伝わってくるし、〈1970年〉という年を包括したようなナンバーになっている。いやあ、スバラシイですね……(余韻に浸る)。

というわけで、聴きとおした感想は、やっぱり最高! そして、なんとなくボブ・ディランの『The Basement Tapes』に近い質感を感じました。でも全体的にエコーやリヴァーブを抑えてソリッドに仕上げているところはイマ風。当時、解散を前にしていたビートルズですが、その混乱がロックとしての魅力を発しているのが『Let It Be』のオモシロさで、この〈Naked〉からはそれがリアルに伝わってきます。そういう意味でも本作は単なるリイシューではなく、30年後にリリースされるべき14枚目の〈最新作〉なんです。ホント聴けて良かった!!