青:あとはルーク・スレイター。音の出し方がうまかった。選曲も異彩を放っていて、トランスっぽい趣の曲もかけていたね。
ハ:最後は祭り囃子みたいな曲をかけてましたね(笑)。(ロック界隈では)ニューウェーヴ・リヴァイバルが盛り上がっているけど、今、テクノのDJの中では10年前くらいのテクノ、ちょっと古い音が流行っているのかもしれませんね。
青:で、ライヴで登場したテクネイジア。ライヴ・パフォーマンスとしては一番完成度が高かった。最初に火柱がたったんだけど、熱波が会場のまん中くらいまできた。
ハ:キッスみたいですね(笑)。彼らはデトロイト・テクノのテイストをもった泣かせる曲も多いけど、ライヴは意外にハードな構成で盛り上がっていましたね。
青:歌も唄っていたし、ステージにドラを持ち込んだりしていてヴィジュアル的にも面白かった。このコンビはDJミックスも勢力的にリリースしているから、DJの方も是非一度見てみたい。
ハ:で、最後はミニマル・テクノの始祖=ジェフ・ミルズでしたね。
青:実は今回ジェフ・ミルズのDJをはじめて見たんだけど、テクニックの凄さはやはり衝撃&新鮮だった。曲が全部連なっているように聴こえたし。基本的にミニマル一直線で、ノイズとか音圧が止めどない感じ。
ハ:ジェフ・ミルズのDJは名人芸として、テクノ・ファン以外の人にも是非見てほしいですよね。さて、そろそろ字数も尽きますが、全体を振り返るとどうでしたか?
青:メジャー感のあるイヴェントだけど、音楽的には渋いというか、ストイックだったな。あと最近、エレクトロとか、ニューウェーヴのような80'Sテイストをもった作品をリリースしているアーティストが多いけど、〈WIRE〉みたいな大きなイベントの現場だと、ハードなテクノが主流になるんだよね。この辺も意外だった。トランスのパーティーとかだと、〈ジゴロ〉のようなエレクトロ・クラッシュもよくかかっているんだけど。
ハ:あと来年は、今年のポール・マックのような今までの〈WIRE〉にないテイストの人が入ると幅広く楽しめそう。〈METAMORPHOSE〉で狂気のパフォーマンスを披露した、ジェイミー・リデルのライヴとか。
青:〈SUMMER SONIC〉のディーヴォとかも〈WIRE〉に出たら絶対盛り上がるよね。カジュアルなお祭りなのに、内容はマニアック。この面白さを来年も期待したいよね。
▼ 文中に登場したアーティストの関連ディスクをご紹介。