浜:俺はねー、まったくあなたと同感ですよ。いわゆるそのタブーな空気っていうのは「そのおじいちゃんは別に笑わせたくてやってるわけじゃないのに、それを笑うのはかわいそうだ」という空気ですよね。
竹:そうそう。そうそれだよ!そんなおじいちゃんをモラル的に「かわいそう」と思ってるってわけだろ?もっと言ったら「人としてかわいそう」って思ってるってことだろ? 俺はそれは道徳じゃねーと思うぞ。
浜:だから「差別」とは何かみたいなことになりますけど、「ある人のランクを必要以上に下げる」は
差別ですよね。同時に「ある人のランクを必要以上にあげる」これも差別だと思うんですよ。必要以上に「かわいそう」「大事にしてやらなきゃ」って、それをやりすぎるのは悪だと思う。そういった意味でそれは笑っていいと思う。
竹:そうだよね。だからさ、結局さ、赤ちゃんとかおじいちゃんっていう部分で、シルバーシートなるものが存在するように「区別」することは必要なんだよね。絶対にね。でもそういう「区別」は必要だけど、上げすぎはよくないよね・・・・。それがさー、俺はそのビデオの時、釈然としないまま、笑いをこらえるに至ったんだけどさ、「えー?」っと俺は思ったんだよね。
浜:うん。
竹:で、この話には続きがあってさ、終わった後ゼミのみんなにさ、「カメラにおじいちゃんがヨタヨタとフレームインしてきた時、俺はすごく笑いそうになったんだけどみんなはあれをおもしろいと思わなかったの?」って聞いた時の、なんともいえない不穏な空気。「あっ、そこ触れちゃったの・・・。」みたいな。「そこは触れちゃいけないところなんだよ、竹ちゃん」みたいな・・・。まー、みんなに聞くことでもなかったかってあとで反省したけどさ。
浜:うん、まー確かになー、それいちいち笑ってたら介護の仕事できないもんなー。
でもそれはおもしろいと思ってもいいんじゃないの。
竹:いいと思うよ。だって介護する人だって「もー、おじいちゃんしょうがないわね」って笑いながらやったりするでしょ。それでよかろうと。人間は衰えるんだからね。あたりまえのことですよ。
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