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第11回 ─ アメリカでも話題!? DCPRG首謀者-菊地成孔にキースが会見

第11回 ─ アメリカでも話題!? DCPRG首謀者-菊地成孔にキースが会見(2)

連載
Sonically Speaking
公開
2003/06/19   14:00
更新
2003/06/19   18:29
テキスト
文/キース カフーン

 さて、カテゴリーの話はこの辺までにしておくとしよう。

 菊地氏はジャズ・ミュージシャンとしてだけではなく、あらゆる物事に対しての見識の高さと、鋭い分析眼でも知られている。彼は、「音楽には強力な精神的エレメントが存在する」と語っている。たとえば、音楽に陶酔しながらダンスする人々の姿に、その精神的エレメントを感じるというのだ。若い世代がトランス・ミュージックやレイヴに惹き付けられるのも、そのエレメントが関わっているからだろう。そして彼は、若者と音楽の関係について次のように述べている。「若い人たちの多くは何かしらのスピリチュアルな支えを必要としていて、それを満たすべく音楽を消費している。そして、その抽象的だが同時にエモ―ショナルなエレメントが、ドグマ=教義よりも深い部分に届き、共感を呼んでいる」。

 つい最近、菊地氏と会見する機会を持ったが、その時の彼は非常にリラックスしており、冷静であった。しかし私は、昨年の〈FUJI ROCK FESTIVAL '02〉出演時に見せた、彼の、なにかに憑依されたかのような狂騒ぶりを忘れてはいない。思うに、音楽に接したときの 〈陶酔〉や 〈憑依〉は彼と彼の音楽にとって重要な要素なのだろう。

 そして、私はその 〈陶酔〉と 〈憑依〉を、自分が好きな音楽――ジャニス・ジョプリン、MC5、ファラオ・サンダース、ハウリン・ウルフ、イギー・ポップ、デュアン・オールマン、そしてジャコ・パストリアス…、などの中に感じることがある。そう考えてみると、私がDCPRGの1stアルバム『アイアンマウンテン報告 』を聴いて一発でやられてしまったのは、ごく自然なことなのだ。

 セールス的にはまだ控えめかもしれないが、彼らの存在は音楽好きの間では話題にされることが多く、アメリカでもすでに彼らに注目し始めている人はいる(最近LAのインディース専門店で、DCPRGがスタッフ・レコメンデーションにあがっていたのを、私自身確認している)。6月25日にはアルバム『MUSICAL FROM CHAOS』のリリースが控えており、その後も渋谷クアトロ公演や、〈FUJI ROCK FESTIVAL '03〉出演などライヴも目白押しである。DCPRGというブードゥー的特効薬は、私には効果てきめんだ。これからも、新作やライヴで 〈処方〉を施されつづけることを、おおいに楽しみにしている。

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