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第23回 ─ ヒップホップのもうひとつの進化を象徴するイヴェント、〈托鉢〉の謎に迫る!!

連載
360°
公開
2003/05/22   13:00
更新
2003/05/23   17:40
ソース
『bounce』 242号(2003/4/25)
テキスト
文/大石 ハジメ

ヒップホップとドラムンベースやジャズが入り乱れている池袋のイヴェント、〈托鉢〉のヤバさを内部から検証!

参加アーティストが証言する〈托鉢〉の魅力

 ある日、僕はとある噂を耳にした。池袋のBEDっていうクラブでやっているイヴェントがヤバいらしい。そこではヒップホップとドラムンベースやジャズが入り乱れている――そのイヴェントはなにやら〈托鉢〉という名前らしく、このたびそのイヴェントの出演アーティストによるコンピ『托鉢』もリリースされるとのこと。僕は考えられる限りの方法で、関係者からの証言を集めることにした。まず話してくれたのはJOMOという名で托鉢に参加するDJであり、同時にBEDの店長である田中啓太郎。

「お客さんからの問い合わせがすごく多いんですよ。イヴェントとしての知名度も上がってきてますし、ウチとしても推していきたいイヴェントですね。メンバーがかなりキチッとリハーサルをするので時間もかかるんですが、そのぶんウチのPAも気合いが入るようです。DJだけじゃなくてバンドも入ってますからね」。

 ということで、次に話を訊いたのは托鉢にレギュラー出演するバンド、Blue Monk QuartetのAMIGO(ヴォーカル)とNORI (ベース)。ヒップホップとジャズをクロスオーヴァーしていくそのサウンドがこれまた噂になっている彼らは、托鉢の第一回目から参加してきたグループだ。

「その名のとおり、托鉢に出演しているDJやMC、バンドは〈僧が修行のため経文を唱えながら歩き、米や金銭の施しをうける〉という、まさしく〈托鉢〉をしているんですよね。かといって、みんなが同じことをしているわけじゃない。そんな空間で出演者がどこかでリンクしていることを感じてもらえればかなり楽しめると思いますね」(AMIGO)。

 なるほど。そういう意味では出演者同士が影響を与え合う部分は大きいんでしょうね。

「もちろんです。いつも良いと思うものを良いと思える形で聴かされたときにはやられちゃいますね。俺もやったろう!って気持ちになりますから」(NORI)。

メンバー間で刺激を受け合う――それは集団でなにかをクリエイトするときの理想的な形であることは間違いない。「托鉢にはそれぞれの出演者がそれぞれに好きなことをやって、結果としてまとまったおもしろさがある」と話してくれたのは、2000年に結成されたヒップホップ・グループ、8th WonderのMC兼トラックメイカー、masashi。〈托鉢がめざしているものとは?〉という問いに彼は、「アーティストとオーディエンスの感性における物々交換」と答えてくれた。そう、托鉢はオーディエンスをも巻き込んで進化するのだ。次の証言者はAK-47の2人。Think Tank所属のDJユニットである彼らは、〈托鉢がほかのパーティーと違うところは?〉という質問に共通の意見として一言「パーティーだけどパーティーじゃないところ」と答えてくれた。一方、〈EARTH PEOPLE〉などのドラムンベースのパーティーでも腕をふるってきたDJ MW-MINGは同じ質問に「ほかのパーティーにはないものが多くある。でも、一言では言い表せないのでまず確かめに来ては……?」と答えてくれた。確かに、証言を集めている暇があったら池袋へGo!!……でも、みんなが揃って口にしていた〈GOKU〉っていったい誰のことなんだろう?

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