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第15回 ─ TLC・イズ・アライヴ!! 3人が残してきた足跡、そして新作『3D』の全貌が明かされる!!

連載
360°
公開
2002/11/14   13:00
更新
2003/12/18   17:19
ソース
『bounce』 237号(2002/10/25)
テキスト
文/内本順一

最高に刺激的な3人組、TLCがこれまで残してきたもの、そして新作『3D』について。レフト・アイを失った2人がこれからの彼女達を語る!


 思えばこの10年の間、TLCはいつだって最高に刺激的なグループだった。3人の異なるキャラもファッションもやることも、そして何より音楽のあり方も。いつも〈ドキドキ〉と〈ワクワク〉がいっぱいで、時には〈ハラハラ〉なんかも混ざっていたりして。とにかく彼女たちの動きや言動を耳にしたり、新しい音楽や映像が届いたりするたびに、胸が高鳴ってしょうがなかったものだ。そして、最初に結論めいたことを書いてしまうと、新作『3D』を聴いての印象(この文を書いている現段階で聴けたのは8曲のみだが)も、〈やっぱりTLCは最高に刺激的だな〉というものだった。前作『Fanmail』からの約3年半の間には本当にいろんなことがあったが、しかし、TLCは少しも守りに入っていない。いまなお先鋭的であろうとし、〈ドキドキ〉や〈ワクワク〉をたくさん感じさせてくれるのだ。アトランタのホテルの一室で、リラックスした感じのチリがいままでを振り返りつつ語ってくれた。

「私たちの最初のアルバム『Ooooooohhh ... On The TLC Tips』は、若くて楽しい女の子グループっていう面がそのまま表われたものだった。次の『Crazysexycool』は、そこから成長して少し大人になった3人が、それぞれの個性を表しつつ、クレイジーでセクシーでクールな女性のあり方を表現したアルバムだったわ。で、『Fanmail』は、TLCのフューチャリスティックな側面をサウンドで表したものだった。そして今度の『3D』は〈3 Girls〉が〈3 Dimentional(三次元的)〉に迫ったアルバム。これまで私たちがやってきたことを全部ミックスさせて、さらなる向上を示したアルバムになっていると思うの」。

 さて、その新作『3D』の話の前に、まずは『Fanmail』から現在に至るまでの3年半について、少し回想してもらおう。最初にチリ自身のことを。

「私は『Fanmail』が出る直前に子供を生んだでしょ? だから子育てに追われていたわ。子供の頃から早く母親になりたかったの。TLCが成功しても、何かが物足りないとずっと思っていた。でも、息子が生まれて、やっと充足感を得ることができたわ。あと、ソロ契約が決まったの。でも、ソロをやる前にTLCのアルバムをやらなきゃって思ってね。LAリード(アリスタのCEO)にもそうするべきだと言われたし。あっ、それからもうひとつ大きな出来事があってね、行方不明だった父親と再会することができたのよ! 私は生まれてから一度も父親と接したことがなかったんだけど、TVのトーク番組が父を探してくれたの。父は妊娠していた母を捨てて出ていったような人だったから、正直、会った時は変な気持ちだったわ。でも、物事にはなんでも理由があると私は思っていて。すべては神の思し召しなのよ。だから、やっぱり会えてよかったと思ってるわ」。

 T・ボズにも私生活の面で大きな変化があった。マック10との結婚、そして出産だ。

「私はティオンヌ(T・ボズ)のことを、すごく誇りに思う。彼女は鎌形細胞性貧血症なんだけど、そういう持病がありながら、頑張って子供を生むなんて素晴らしいわ」。

 そしてレフト・アイだ。前作発表以降、ソロ作『Supernova』を発表するなど、アーティストとしてもっとも積極的な動きを見せたのは彼女だった。が、LAリードはそのソロ作の出来に満足がいかず、アメリカではリリースされずじまい。レフト・アイは怒りを表明し、(デス・)ロウのCEOであるシュグ・ナイトのもとに走ったのだった。

「このアルバム『3D』のレコーディングは、昨年の春に始まったの。最初に録ったのはラファエル・サディークといっしょにやった“So So Dumb”で、その時はリサ(レフト・アイ)もいたし、すごく楽しかったのね。みんなで冗談言ったり、馬鹿なことやったりして、まるで昔みたいだった。でも、リサがシュグといっしょにやるようになって、彼女のスケジュール調整が難しくなってきたわけ。私とティオンヌで先に作業を終え、彼女の部分を最後まで残しておくやり方にも慣れてきてたわ」。

 それからあの悲劇が起こる。今年4月、中米ホンジュラスでの交通事故により、レフト・アイは急逝。だが残された2人は、そこでTLCを終わらせるという選択をしなかった。

「リサにしてみても、私たち2人にアルバムを完成させてほしいと思ったに違いないもの。私たちはリサがちゃんとこのアルバムのなかで生きているってことを知らしめるように作ったつもりなの。彼女がレコーディングしたテープをただ単に繋ぎ合わせて作ることだってできたでしょうけど、そうじゃなくて、リサがいつものようにレコーディングに参加していることを、ちゃんと表現したかったのよ」。

 そのレフト・アイがアルバム・タイトルをつけたという『3D』。冒頭で〈少しも守りに入っていない〉〈刺激的な〉作品であることを書いたが、それは、想像していた以上にアッパーだったり、尖ってたり、陽気だったりする曲が多いことに起因する。これがTLCの最新形!

「確かにアップテンポの曲は多いわ。悲しいことは抜きにして、楽しい感じを伝えたかったの。このアルバムを聴いた人みんなが、TLCを感じてくれたら嬉しいわ。これを聴いて、リサがいないとは思わないでしょ? そう、リサはここにいるのよ」。

▼ TLCメンバーの登場作品を紹介。


T・ボズのソロ曲“Touch Myself”を収録したサントラ『Fled』(Rowdy/Arista)

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