我が輩はロボットである。名前は……まあ、ここは気楽に〈ロボさん〉と呼んでいただいて結構、結構、大和観光(古過ぎるにも程が……)。我が輩も芸能ロボット界に入って20余年。これまでいろんなことがありました。TVにも出たし、デパートの屋上や遊園地でショウをやれば、ちびっこたちから熱烈な歓迎を受けたものです。ところが最近、めっきりお仕事が減って……(本文へ続く)

気が付いたんだけど、ちびっこたちの興味はロボットからTVゲームに移っていってしまったんだろうなあって。そうそう、ガンプラ・ブームっていうのもあった。ああいうスタイリッシュな形のロボットのおかげで、我が輩のようなズングリしたやつは、だんだんモテなくなっちゃったんだ……とはいっても、メソメソしてるわけにはいかないんだな! 我が輩には、将来、ロボット博物館を作るという大きな夢があるんだ! だから、いっぱい活躍してお金を稼がなきゃね! ……で、今日は我が輩のことをすごく気に入ってくれているという人物に会いに、都内某所のオフィスにやってきたというわけ。もしかして我が輩の時代がくるのかな!?
受付ロボ 「イラッシャイマセ」
ロボ 「あの~お電話をいただいた、ロボという者ですが……」
受付ロボ 「オマチクダサイマセ……(ピロピロピロ)……ドウゾオハイリクダサイ」
ロボ 「ではでは。ウィーンッ!(扉が開く音) 」
ハヤシ(POLYSICS:以下P) 「あっ、お待ちしてましたよ。ようこそいらっしゃいました、POLYSICSのHAYASHIです。よろしく!」
ロボ 「あっ、いつもTVで観てます!(ホントは観てない) 」
P 「そう? そんなにしょっちゅうTVには出てないんだけどね」
ロボ 「……(汗)」
P 「それにしても、近ごろはたいへんでしょう」
ロボ 「いやいやホントに。最近めっきりヒマになっちゃって」
P 「だろうね。いまは、機能美に溢れたスタイリッシュなロボットのほうが人気だからね。僕はいま〈マシンロボ〉(80年代に人気を博した変形ロボット玩具。写真下参照)を集めてるんだけど、これってコレクターのなかでは少数派みたいだし」

ロボ 「技術の進歩もあると思いますけど、リアルさと機能性を求めるというか……」
P 「これは格闘技にも通じるところがあるんだよね。昔は、ショウアップされたものも盛り上がってたけど、いまは無駄な技をかけない真剣勝負が好まれるというか」
ロボ 「そうですね。ところで、いまのロボットには夢がないと思いませんか! まあ、実際にあったらすごいなあとは思いますけど、軍事兵器の延長というか、ヒーロー感がないですよね。いまじゃASIMOとかが作られていて、ある程度ロボットの原型がわかってきてるだけに、思い切った想像のうえでのロボットが作られにくいのかも知れませんけど。昔は強引な空想のもとに火星人とかをイメージしてたりしたわけじゃないですか。〈ロボ声〉なんていうのも思い切った空想ですし」