シーンにとっては欠かせない存在となったシカゴの新進レーベル
またまたシカゴでごめんなさい!!……ってなわけで、当連載でシカゴ産レーベルを 紹介するのは、ヘフティー、クランキーに続いて3回目。でも彼らを避けては通れま せん。メチャ充実しているのですから! エステティクスは、レーベルの最新作であ るウィンザー・フォー・ザ・ダービーのシングルのレコード番号が#21っていうぐら いまだまだ若いレーベルなんだけど、シーンにとってはなくてはならない存在にまで 成長しました。それは作品内容が濃いこと、そしてシーンの空気とナチュラルに呼吸 できているからではないでしょうか?
オーナーは20代後半の青年、ケン・ダイバー。大学時代にはカレッジ・ラジオのデ ィレクターもやっていたそうで、やはり根っからのインディー・ファンなのでしょう 。レーベル設立は97年のことで、ニューハンプシャーからシカゴに移り、本格的に始 動しました。ファースト・リリースはルーンのシングル“Still”なんですが、実際 はアルバムが先に発表されるはずだったらしく、そんなちぐはぐな感じも歩み始めた インディー・レーベルの雰囲気っぽくて微笑ましいかぎり。続いてソーツ、アイソト ープ217とシカゴ・ファンにはお馴染みのバンド作品をリリースし、エステティクス の名はじわじわと注目されていきました。そして、99年には現在のレーベルを代表する看板バンド、2つが登場。それが33.3と、ケン自身のバンドであるラルトラ。無名 であった彼らがこれほどまでに注目を浴びたのは、やはりその作品の素晴らしさに尽 きるわけで、発表から3年経った現在でもロングセラーを続けているのです。
その後レーベルは、パルスプログラミング、ダニエル・ギヴンス、エターナルズ、 そしてUKのアイスブレイカー、フッドまでをリリース。そのスタイルはロック~ポス ト・ロックに限らず、エレクトロニカ、ヒップホップ、ダブ……と幅広いアプローチ 。それでもすんなり聴けてしまう理由は、全てが繋がってるから。CDのパッケージも プラ・ケースではなく、一貫してデジパック仕様。デザインも尖っているけど温かい んだよなぁ。そう、ケン・ダイバーはおいしいツボを良くわかっている人なんです。