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第9回 ─ Chapter-009 FUSION CORE

第9回 ─ Chapter-009 FUSION CORE(2)

連載
THE NEW ADVENTURE OF HIPHOP
公開
2001/11/25   20:00
更新
2003/04/04   14:56
ソース
『bounce』 227号(2001/11/25)
テキスト
文/高橋荒太郎

……ああ、グッと

文/轟ひろみ

チャート上位にランクインするヒップホップの様式が、おもにメロウで優しげなテイストのものに寄ってきている気がする。ある種の郷愁と情緒性が、なごみたい人たちの支持を得ているのだろう。で、FUSION CORE。同じように詞曲両面から情感を高めるという構造こそ通じるものの、そこに込められた情の色調は大きく異なる。

〈情緒〉という言葉で片づけるにはムキ出しで純度が高すぎるとでもいうか。彼らの“サクラサク”を聴いたときに残ったその感覚はなんなのだろう? と思っていたら、2人はインタヴューでブルーハーツや長渕剛、aiko(“桜の時”ってのもありましたね!)といったアーティストの名前を無造作に口にした。それで納得したのだ。

3者はいずれも奇を衒わないズルムケな言葉を並べた中から自然とリリカルなフックを作り出す才能である。その泥臭いまでにダイレクトで、マスの胸をググッと掴むような言葉とサウンドの力は、FUSION COREがコアに身を沈めて獲得したものと同じ臭いがする。つまり、ヒップホップはそういう普遍的な感情をも表現しうる音楽だということだ。

ちなみに、和製ヒップホップ作品で同種の詩情を湛えていたのがFUSION COREとも縁深いBUDDAH BRANDだったのも興味深い。

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