音楽性を共有できる仲間たち
全編を貫くのは、バンド演奏ならではのオーガニックかつグルーヴィーな楽曲群。スウィート・メロウ・ソウルからアーシーなリズム&ブルース、スウィンギーなジャズ・ナンバーに、ライトなギター・ポップなど、色彩豊かなナンバーがつぎつぎと耳を奪う。しかしながら、あまりにも虚飾を排した構成に、驚きを隠せなかったのも事実。
「音数が少なくて、バンドが浮遊しているような感じのサウンドがすごく好き。私のめざすサウンドって、むちゃくちゃチープな音なんです(笑)。そういう意味では、前作より肩の力を抜いてザックリと行けましたね」。
サポートは、シアター・ブルックの佐藤タイジと中条卓、ROCKING TIMEの山本貴志、藤本和則、ASA-CHANG、TOKIE、果ては彼女の妹などなど。いわば玲葉奈の身内的な存在が招かれていて、もちろん息もピッタリ。シンプルでありながら単調な感じを少しも与えないのは、臨場感あふれる彼らの名演のせいか? 音楽性を共有することから発生した温もりがサウンドと絶妙に溶け合っており、えも言われぬ香気を放っている。
「自分で聴いてても、<この人たち、イイ音を出してるな!>って思うんです(笑)。たとえレコーディングであっても、生演奏のライヴ感を大事にしたんですよね。それに今回は誰々プロデュースって、わけではないので、みんな自由にのびのびとやってくれた。セッションのあと、バンドの人たちが<楽しかったよ>って言ってくれたのがすごくうれしかった! その空気感が確実に真空パックされてます」。
そんな心地良いサウンドの波にたゆたう彼女のヴォーカルは絶品。曲ごとに異なる光彩を放つ声しかり、自然に出てしまったかのごときアドリブやフェイクもしかり。
「ボブ・マーリーは決して上手く歌おうとしない。彼の声って、○○風とかじゃないし、本当に内から発した歌声なんですよね。なので、私も思ったように、なにより自分が気持ち良く歌うことを心掛けました」。
彼女がバンドマンであり、自身が生み出すメロディーをいっしょに奏でる仲間さえいれば、優れた作品を作れてしまう……ということを証明してみせた本作。最後にタイトルの所以について訊いてみた。
「母親がよく<あなたの声は七色ね>って言っていたこと。そして、自分、音楽、仲間の個性、それぞれの色も綺麗なんだけど、それが全部いっしょになったときは、もっと綺麗なんじゃないかって!! 七色の虹をイメージして作ったんですよ。結果として、何百年経っても聴いていてほしい作品ができたと思っています」。