ハードコアの進化を独自の解釈で提示
ファッションも音楽も〈80年代〉がキーワードになってる昨今ですが、そんなブームとは関係ナシにいち早く……っていうか、己の欲求のまま突き進んできたレーベルがカリフォルニアはサンディエゴに。それが今回紹介するゴールド・スタンダード・ラボラトリーズ(通称:GSL)。
やはり基盤はハードコアなんだけど、それと同時にニューウェイヴ的エッセンス(ポスト・パンクからレゲエ、ファンク、ネオ・サイケ、ゴス、さらにはMTVポップスからヘヴィー・メタルまで!)に思いっきりハマっちゃってた連中の臭いがプンプン。〈ハードコアの進化〉的な解釈で、ポスト・ロック~エレクトロニカ的アプローチがトレンドな現在ですが、ここにはそれにプラスして気持ちイイんだか悪いんだか、厄介なエキスが溜まってるからおもしろいんですねぇ。
GSLのスタートは93年。地元のバンドをバックアップする形で始まったようだから、その辺は典型的なインディー・レーベルの初期模様。自身もエンジェル・ヘアー、パスト、VSSなどのバンドで活動を続けてきたソニー・ケイがレーベル・オーナー。当時、彼はコロラド大学の学生で、ハードコアと同時にキュアー、ジョイ・ディヴィジョン、バウハウスあたりをこよなく愛していた様子。そして、96年にサンディエゴへ引越しした際、彼はこれまでのカタログをほとんど廃盤にしてしまう。理由は「現在の自分のもつイメージとかけ離れた作品だったから」。彼が理解できなかったのは〈従来のハードコア・イメージのバンド〉。だからこの96年以降の作品が、実際のスタートと言ってイイかもしれない。
たとえば、いまやレーベルの顔役となったローカストもサウンド的にはファスト・コアなんだけど、キーボードを採り入れ、従来のハードコア・イメージからかけ離れた展開をしてるしねぇ。その後もハードコアをフィルターに、たくさんのモンスターがビックリドッキリさせちゃってくれています。そして最近のダメ押しは、アット・ザ・ドライヴ・インのメンバーによるディ・ファクト! ここ日本でも、ローカスト来日公演などを企画したDOTLINECIRCLEが、GSLのディストリビューションを始めているので、気になった方は店員さんにお声を掛けてみてください。以前よりずっと入手しやすくなってますよ!