坂本龍一、著書「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」書影公開
坂本龍一の著書「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」。死生観と共に最晩年までの活動が語られた、本書の書影が公開された。
カバーに採用されたのは、ニューヨークの自宅の庭に佇むピアノの写真。坂本がこのピアノと出会ったのは、2015年のこと。前年に最初のガンが発覚し、療養のためハワイを訪れた坂本龍一は、現地の風土に惹かれて、勢いで中古住宅を購入したと言う。そこに置かれていたのが、今から90年近くも前に作られたというこのピアノだった。
住宅自体はすぐに手放してしまったそうだが、この古びたピアノとは別れ難く、ニューヨークへ持って帰ることにして、以来「自然に還すための実験」と称して、自宅の庭で野晒しのままにしてきたのだとか。次第に塗装も剥がれ、本来の木の状態が剥き出しになっていくこのピアノの姿に、坂本龍一は自らの身体の変化を重ねていたのかもしれない。ほかにも東日本大震災後の「津波ピアノ」との出会いなど、本書には自然と人間のあるべき関係を考察したエピソードがいくつも登場する。
なお、表紙を開いてすぐの本扉には、ピアノの写真と同じくZakkubalanの撮影による、生前の坂本龍一が大変気に入っていたという「満月」モチーフのアートワークがあしらわれている。
▼書籍情報
坂本龍一
「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」
カテゴリ : タワーレコード オンライン ニュース
掲載: 2023年06月01日 19:55