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STING(スティング)、2年ぶりの日本ツアーが福岡よりスタート。本人から最新メッセージも

STING
Photo by 田中紀彦

最新アルバム『My Songs』を携え、2年ぶりの日本ツアーを開催中のSTING。10月7日に行われた福岡国際センターのライヴ・レポートが到着した。

 

2年ぶりとなる来日公演の皮切りとなった福岡。実に14年ぶりにこの地を踏んだSTING「My Songs」ツアー。チケットは販売開始早々にソールド・アウト! 開場と同時に会場である福岡国際センターのロビーはコンサート・グッズとCDを買い求めるお客さんの長蛇の列が。久しぶりの福岡公演を待ちに待っていたファンの高まる期待感と熱気に満ち溢れていました。

定刻の19時を少し過ぎたところで客電が落ち、まずはバック・メンバーの面々がステージ左手から登場。ほどなくして今夜の主役であるSTINGが使い慣れたベースを抱えた状態で「真っ赤なTシャツ姿」でステージ中央へ! その立ち姿は14年前とまったく同じくスタイリッシュな「あのSTING」そのもの。なんてカッコいいんだ!! バック・メンバーが着ているダーク系の色味のTシャツとSTINGの赤色とのコントラストがステージによく映えてます。1曲目はTHE POLICE再結成の来日公演の時と同じく“Message In A Bottle”(THE POLICE 1979年の2ndアルバム『Reggatta De Blanc』収録曲)で幕を開けました。

パンパンパンパン! という力強いスネア・ドラムのアタックに続いて、あのギター・アルペジオのイントロだとわかると歓声と共に会場一体となる手拍子が巻き起こり、次いでSTINGが「JUST A CASTAWAY~♪」とひと声歌い出すとさらなる大歓声と共に一瞬にして場内がヒートアップ! 「ロック・クラッシック曲」が持つパワーの偉大さを痛感すると同時にまったく衰えを知らないSTINGのヴォーカリストとしての不変ぶりをも痛感する驚喜のオープニングでした。その熱気のまま曲は“If I Ever Lose My Faith In You”へ。1993年リリースのソロ4作目『Ten Summoner's Tales』のオープニング曲だったこの曲はSTINGの弾くベース・ラインが聴きどころ。イントロと間奏で聴かれるハーモニカの音色が美しいです。エンディング間際に「フクオカ……コンニチワ」と軽く挨拶を挟んで「IF I EVER LOSE MY FAITH~♪」のリフレインで曲が終わると再び大きな歓声と拍手が会場を包みます。

その余韻がおさまるのを待たず“Englishman In New York”(1987年2ndソロ作『...Nothing Like The Sun』)のイントロが! 真っ赤なバック・ライトにSTINGのシルエットが映え渡るそのカッコ良さときたら! 早くも3曲目でこのキラーチューンの登場はヤバいです(笑)。エンディングではこの曲のメイン・テーマである「BE YOURSELF NO MATTER WHAT THAY SAY~♪」のフレーズをSTINGとオーディエンスが掛け合いで歌い、お客さんの気分もすっかりクールな「イングリッシュマン」に。曲が終わりひと際大きな歓声が起こると間髪入れずに力強い8ビートのドラムに乗せて“If You Love Somebody Set Them Free”へ。この曲は1985年1stソロ作『The Dream Of The Blue Turtles』の1曲目でありソロ・アーティスト STINGとしての1stシングルでもあった記念すべき1曲。この曲では男女によるバック・コーラスのふたりが大活躍。曲の後半からはオリジナルにはなかったハーモニカ・アレンジによってまた新鮮な雰囲気が楽曲に吹き込まれていました。そしてここでも曲終わりの余韻に浸る間もなくSTINGの「ワン、トゥ、スリー」というカウントでドラムがフィルインして次の曲“Every Little Thing She Does Is Magic”へ。THE POLICE 1981年の4thアルバム『Ghost In The Machine』からのヒット・シングル。ゆったりとしたテンポから徐々に盛り上がってきてサビでポップに弾ける構成は否が応でもオーディエンスの気分を高揚させます。曲の最後では恒例の「イヨオ~♪」というフレーズでの大合唱が起こりSTINGからも「ドモアリガトウ!」の言葉が。と、ここでメンバー紹介に。まずは長年のパートナーであるDominic Miller(Gt/Vo)から。そしてもうひとりのギタリストは、ナント! そのDominicの息子であるRufus Miller。いい息子さんを持った父親です! 続いてJosh Freese(Dr)、ジャマイカ出身とアナウンスされたKevon Webster(Key)、男性バック・コーラスのGene Noble、女性バック・コーラスのMelissa Musique、そして今回のバック・メンバーの要とも言えるハーモニカのShane Sagerの順で7人のバック・メンバーが紹介されました。「ShaneがSTEVIE WONDERのパートを演奏するよ」と口添えられて曲は“Brand New Day”へ。1999年リリースの6thアルバム『Brand New Day』のタイトル曲。Shaneのハーモニカがフィーチャーされたこの曲のアレンジを耳にしたとき、今回のツアーのライヴ・アレンジにおいて彼が果たす役割が大きいものであることに気づかされます。この曲以外でもオリジナルではサックスやキーボードでプレイされているパートを彼のハーモニカが取って代わって演奏されるシーンがいくつもあるのです。公演を通してぜひ、彼の演奏にも注目してください!

「次の曲は何年も前にMary J. Bligeとレコーディングした曲で、今夜は美しいMelissaと」という紹介で披露されたのは2003年の7thアルバム『Sacred Love』に収録されているデュエット曲“Whenever I Say Your Name”。ソウルフルなMelissaの力強い熱唱に会場はこれまでの雰囲気から一転。オーディエンスもふたりの歌声をじっくりと聴き入り引き込まれていきました。そして曲は“Fields Of Gold”(『Ten Summoner's Tales』収録)。個人的にはSTINGのソロ・バラードの中でも最も好きな曲で美しいメロディと歌詞の世界が素晴らしいナンバー。間奏の印象的なアコースティック・ギターのソロ・パートをDominicではなく息子のRufusに託していたのが驚きでした! この曲でここまでの高ぶった気持ちがクール・ダウンされてから、心地よいレゲエのリズムに一転しての“If You Can't Find Love”。昨年リリースされたSHAGGYとのコラボレーション・アルバム『44/876』収録のナンバーを今回のセットリストに盛り込んだことからも、いかに彼がSHAGGYをリスペクトし共演したことを誇りに思っているかが窺えます。そして、ここでも間髪入れず次なる楽曲“Shape Of My Heart”(『Ten Summoner's Tales』収録)へ。先の“Fields Of Gold”と並んで多くのファンに愛されている彼の代表的バラード・ナンバーの筆頭。ここでもShaneのハーモニカが活躍します。随所でオリジナルにはない、コーラスのGeneによるエモーショナルなヴォーカル・パートが加えられたことで楽曲に新たな感動を吹き込んでいました。

感傷的なムードの中で次に重ねられてきた演目は“Wrapped Around Your Finger”(THE POLICE 1983年のラスト・アルバム『Synchronicity』収録)。まるでBob Marleyのレパートリーかのようなスロウなレゲエ・ビートにリアレンジされたのに加え、オリジナルのハイトーンな歌唱も低いトーンで静かに歌われたことで聴き手をゆっくりと包み込む不思議な感覚に曲の印象が変貌を遂げていました。続いてSTINGの「ワン、トゥー!」というカウントからドラムのJosh Freeseの手数の多い激しいプレイが炸裂する“Walking On The Moon”(『Reggatta De Blanc』収録)へ。曲間では「イェーオ~♪」というフレーズの大合唱が起こり、そのバックにJoshの重厚でアクロバティックなドラムが絡むという、これまで聴いてきたこの曲のライヴ・アレンジでは今回のバージョンが一番カッコイイ! と思いました。途中BOB MARLEY & THE WAILERS“Get Up, Stand Up”(1973年)の一節が盛り込まれていたこともVERY GOOD!! 今日のライヴのハイライトのひとつでした。そしてこの曲のアウトロが終わるのを待たずに再びSTINGの「ワン、トゥー、スリー」のカウントからダメ押しレゲエ・リズムで畳み掛ける“So Lonely”(THE POLICE 1978年1stアルバム『Outlandos D'Amour』収録)。“Wrapped Around Your Finger”から続く3曲の流れからも、彼の音楽ルーツの深く太い部分がレゲエ・ミュージックで占められていることを改めて思い知らされるひと幕でした。途中で「待ってました!」と思わず声を上げたくなるDominic Millerによるギター・ソロも少し披露されて大満足。それにしても「寂しくてたまらない、僕はひとりぼっち……」という内容の歌なのに、サビでは大合唱+手拍子で盛り上がる「不思議な曲」であることも改めて気づかされました。おそるべし(笑)!

続いてまたもアウトロに重なるようにエキゾチックなイントロに導かれて彼の90年代キャリアを締めくくるに相応しかった大名曲“Desert Rose”(『Brand New Day』収録)へ。白光のバック・ライトに照らされて両手を挙げるSTINGのシルエットが眩い! ここにきてヴォーカルはますます色気を帯び、ミステリアスな曲の雰囲気を相まってオーディエンスを完全にノッウアウト。ホント、参りました! 一方で荘厳なシンセサイザーを中心とした重厚なサウンド・プロダクションによるハードなロック・アレンジは、このバンドが持つポテンシャルの高さを見事に物語っていました。曲終わりからほどなくしてJoshのスネア・ドラムがカットイン……そう、“Every Breath You Take”(『Synchronicity』収録)。エッ! もうこの曲やっちゃうの? ということはライヴも終わりが近いの?? という寂しい予感を堪えながら、この「80's BEST SINGLE楽曲(1983年第26回グラミー賞最優秀楽曲)」を噛みしめるようにオーディエンスのみなが聴き入ります。エンディングで再びメンバーの紹介を挟み、サビのフレーズのリフレイン。この時間が永遠に終わらなければいいのに……という切なる願いは叶わず、やっぱり終わりは来てしまいます。ここまでノンストップで一気に聴かせる進行で本当に“アッという間”に本編終了。「ほんの一瞬、夢を見ていたのか?」と思えるほど「秒速」で時が過ぎたような不思議感覚に。なんだか身体も気持ちもフワフワしていました。

ほどなくして再びメンバーが登場、間延びすることなく高揚感が残った状態でのアンコールへ。ここからは問答無用の鉄壁のレパートリー! まずは“King Of Pain”(『Synchronicity』収録)から。イントロでは原曲のStewart Copelandによる木琴の代わりにRufus Millerが奏でるミュート・ギターによるニュー・アレンジが施されていました。“Every Breath You Take”と共にもう何百回と耳にしてきた曲ですが、やっぱりライヴでの味わいは格別。ギター・ソロもきっちりとDominic Millerがキメてくれます! 続いてDominicによる「ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャッ」というリフが。“Roxanne”(『Outlandos D'Amour』収録)! おそらくSTINGのレパートリーの中で「最もキーが高い」曲のはずなのに、まぁ相変わらずよく声が出ること!! 今月初めに68歳になったとは、とてもとても思えない「強靭なる声帯」にはただただ驚くばかりです。続くは同じくTHE POLICEの1stアルバム冒頭を飾っていた“Next To You”。やんちゃなパンク・ロッカーよろしく、でも軽~く「大人の余裕」でサラリとやるあたりが彼らしいスマートさ。どこから観ても聴いてもカッコ良くしかない「STINGの存在」ってなんなのでしょうね?

「サンキュー、フクオカ~ユーアー・ビューティフル・オーディエンス」と言葉を発してからベースからアコースティック・ギターに持ち替えて、いよいよラスト曲の定番である“Fragile”(『...Nothing Like The Sun』収録)へ。あぁ、本当にライヴが終わってしまう……という気持ちに襲われながらも本編ラストの“Every Breath You Take”のときと同様に全オーディエンスが彼の歌声/音楽とその姿を静かながらも熱く見聴きする様はとても感動的で美しい光景でした。「ドモアリガトウ~! See You Again,Good Night!」と言ってステージ袖に帰っていく「真っ赤なTシャツ姿」が変わらず眩しかったです!!

14年という長い年月を経て実現した待望の再来福公演は「ジャパン・ツアーの初日」を飾るに相応しい120点満点の思い出に深く残るライヴとなりました。曲間の無駄なブランクやMCを入れることがまったくなく、タイトに進行するライヴ構成をはじめとして。大型ヴィジョンや派手なセット/照明も必要とせず「音楽そのもの」とそれを「演奏」し「歌う」8人のミュージシャンが正面からシンプルに音楽を届けるだけで、ライヴとは充分に感動できる音楽芸術の形なんだな、ということを今回のSTINGのライヴで教えてもらったような気がします。明日からの幕張2公演、12日の仙台公演、そして15日の大阪公演と進んでいくジャパン・ツアー。もし今、迷っている方がいらっしゃるのであれば「絶対にご覧になること」をオススメします! STINGは誰も疑う余地のない真の天才ミュージシャンのひとりだと思います。彼と同じ時代に生きて彼の音楽を享受できることの幸せを心の底から感じています。

Text by 松田康宏

 

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Photo by 田中紀彦

 

さらに、STINGから日本のファンへのメッセージも到着。ぜひチェックしてほしい。

STING 来日コメントが届きました!

 

▼来日公演情報
「STING My Songs Tour」
10月9日(水)幕張メッセ 7・8ホール
10月10日(木)幕張メッセ 7・8ホール
10月12日(土)ゼビオアリーナ仙台
10月15日(火)丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)
詳細はこちら

 

▼リリース情報
STING
最新アルバム
『My Songs』
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カテゴリ : タワーレコード オンライン ニュース

掲載: 2019年10月09日 09:38

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