雲行きの怪しかったジ・インクのボスへの判決は……(from NEW YORK)
2003年にオフィスに捜査が入り、2005年の初めからまた身辺がキナ臭くなっていたジ・インクのボス、アーヴ・ゴッティが、ドラッグ絡みの不正資金合法化の容疑で逮捕されたのが11月。12月2日の裁判で無事に無罪となり、NY中の新聞を笑顔で飾った。事の発端は、昔からの仲間の一人が有名なドラッグ・ディーラー、ケネス“シュプリーム”マクグリフで、ジ・インクが〈マーダー・インク〉と名乗っていた頃から彼との関係を疑われていたこと。マクグリフは映画「ニュー・ジャック・シティ」でウェズリー・スナイプスが演じた役〈ニーノ・ブラウン〉のモデルとも言われる人物で、アーヴ・ゴッティやジャ・ルールはデビュー当時、彼がバックに付いていることをストリートのイメージ戦略として使っていた。これが、イメージだけでなく、連邦捜査官の注意も引いてしまったワケ。ジェイ・Zやアシャンティも事情聴取に参加し、ニュースが大きくなったが、12人の陪審員は冷静に「証拠が信憑性に欠ける」との理由で無罪を言い渡した。殺伐としたストリート・ライフを表現することが、ひとつのカッコ良さでもあるヒップホップ・カルチャーの虚像と現実が交差して起こったこの事件。今回〈シロ〉と出たことで、安心したギャングスタ・ラッパーも多いことだろう。 (レポート/池城美菜子)







