こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

INTERVIEW(3)――吸収した音楽をお互いに出しながら

 

吸収した音楽をお互いに出しながら

 

カジヒデキとリディムサウンター_3

 

――その感じは音に如実に表れてますね。では曲に触れつつ話を進めていきましょう。音遊び的なイントロの“あこがれ”に続いての、疾走感たっぷりな“僕のベイビー・レモネード”はキラキラ感たっぷりでコーラスワークもいいですね。

TA-1「最高ですね。デモを聴いた瞬間、〈これは1曲目ですよ〉って言いましたもん(笑)」

カジ「この曲や“亜熱帯ガール”“もう恋しちゃう”“スローモーション”とかは前半のセッションで出来た曲なんです。なので後半のセッションは、それとは違う部分を補っていこうって。それでアルバムの幅が広がったとこはあります」

――なるほど。アナログ・シングルにもなった“亜熱帯ガール”は、カリプソ感もある軽快なポップ・チューンです。

カジ「TA-1くんが〈キラー・チューンになりますよ〉って言ってくれて(笑)。で、KEISHIくんのリード・ヴォーカル・ヴァージョンがあったほうがいいねって、ボーナス・トラックに入ってる“TEENS”が出来たんです」

――ほとんどの曲はカジくんがメイン・ヴォーカルですが、ジャングリーなポップ・チューン“PLAYBOY PLAYGIRL”はKEISHIくんのメイン・ヴォーカル曲ですね。あと、KEISHIくんとデュエットしたキャプテン・センシブルのカヴァーで知られる名曲“Happy Talk”は、ジャグ・バンド風のアレンジがとてもドリーミーです。

カジ「元々やりたかった曲で。昔キャプテン・センシブルが〈トップ・オブ・ザ・ポップス〉に出たときにドリー・ミクスチャーがバック・コーラスをやってたのが自分的にはすごく良くて、そういう感じにしたいなと。それで〈謎ジャズっぽい感じに〉ってアレンジしてもらったんです」

TA-1「そのYouTubeを見せてもらって、ディスロケーション・ダンスみたいなエセジャズ感を出せたらなって。アレンジしてくときに後半が3拍子になったりして。僕らの得意な感じが混じったものが出来て良かったです」

 

カジヒデキとリディムサウンター_4

 

――ふんわりシンセの効いた“可愛い革命の詩 ~ 灼熱のサーヴィス・エリア”も疾走感があっていいですね。

カジ「TA-1くんたちは、たくさん音楽を吸収してすぐ出せる世代と思うんですよ。おもしろかったのが、後半のセッションのとき、ちょうどスロー・クラブ(UKのインディー・ギター・デュオ)のサポートでリディムがいっしょに回ってて。そのスタンディング・ドラムの感じがすごく良かったって、基本レコーディングも立って叩いてたよね(笑)」

TA-1「はい、結構スタンディングで叩きましたね(笑)」

カジ「しかもそのバンドの女の子がパーカッションのシンバル使ってなかったからって、“可愛い革命の詩 ~ 灼熱のサーヴィス・エリア”は全然シンバル叩いてなくて(笑)」

TA-1「普通シンバルでアタックの音を出すとこを、タンバリンにしたんです(笑)。あとイマっぽいダカダカしたドラムじゃなく、ファンカラティーナみたいなトロピカル感がいいな、って思いながらドラム叩きました」

カジ「最初のデモはドラムス的な感じだったけど、あえてTA-1くんはルーツっぽいアレンジでやってくれて、それでよりおもしろくなったなって」

TA-1「そしたら、逆に新しい感じになりましたもんね」

――あと、アルバムのなかでこの2組だからこそ生まれたなって曲が、ソフトなブルーアイド・ソウル・テイストの“River River”だと思いますが。

カジ「大体の曲は、自分のデモをTA-1くんがブラッシュアップしてアレンジが固まってくって形だったけど、この曲がいちばん、自分の元のデモとは違う感じになったんです。元々はソウル・ポップな雰囲気でメロディーも違ったけど、TA-1くんが〈もうちょっと違う感じにしたい〉って、ビートをヒップホップにしたりいろいろ試してくれたんです」

TA-1「でも、どうもビートが上手くハマらなくて、最後はリミックスみたいになってコードも構成も変わって、それを生で演奏して録ったんです」

――それにしても、カジくんがここまで高いファルセットで歌った曲はいままでないでしょう。

カジ「そうですね。デモの段階でも高いキーで歌ってたけど、実際にアレンジが固まったときに〈ハイトーンでいっちゃおう〉って(笑)。ファルセットは難しいし悩んだけど、TA-1くんが、〈それいい感じです〉ってディレクションしてくれて気持ち良く歌えました(笑)」

――“レモンとオレンジとスクラップ・ブック”は、透明感の強いアコースティック・ギターとラストのワルツのビートがとても素敵な曲ですね。

カジ「ギターのHIROSHIくんと〈弾き語りっぽいのいいかも〉って作ったんだけど、途中から展開が変わるのはTA-1くんが〈アルゾ&ユーディーン(の68年作『C'mon and Join Us!』)みたいにしたら〉ってアイデアを出してくれたからなんです。最近すごくおもしろいなと思うのは、90年代前半に自分たちが熱くなって聴いてた音楽を、TA-1くんやHIROSHIくんなんかが聴いてることなんですよ」

――カジくんが知ってて、TA-1くんたちがいま興味持ってる音楽のタイミングが上手くハマったのも、このアルバムがいい形に仕上がったきっかけの1つにありそうですね。

TA-1「まさにそうですね」

カジ「それはすごくあると思う」

インタヴュー(4)へ

 

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2010年10月27日 18:01

更新: 2010年10月28日 14:11

インタヴュー・文/土屋恵介