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インタビュー

INTERVIEW(4)――自分が聴きたいアルバム

 

自分が聴きたいアルバム

 

――ディランやストーンズの名前がたびたび出てきますけど、今回のサウンドのヒントはそこらへんにありそうですね。

「そうですね。時期によって新しいものを貪欲に吸収する時期と、そうじゃない時期があるんですけど、いまはそうじゃない時期。ストーンズの『Exile On Main St.』のリマスターが出たでしょ、あれにヤラれた、今年は。あとディラン。本当にいま聴きたいものを聴くとなると、ストーンズとかディランになっちゃう。あとはニューオーリンズの古いやつで、ヒューイ・ピアノ・スミスとか。あの乾いた音がね」

――アルバムにもニューオーリンズのリズムが入ってましたよね。“青空揺れる”かな。

「入ってましたね。そうそう」

――細かい話ですけど、“星の海”の長いアウトロで、オフマイク気味でずっとシャウトし続けてるところとか。すごいロックを感じます。

「あれはね、なかなかできないですよ。ヘタするとカッコ悪くなっちゃう。でも僕らの世代には、RCサクセションの“ヒッピーに捧ぐ”があるから、ああいうことをやりたくなるんですよ。オーティス・レディングとか、曲の最後のバンドのテンションに合わせて、歌もワーッてやりたくなる。いままで何度もやりかけて、やっぱり無理だと思ってやめたことがあったんですけど、今回はやっちゃいました」

――最初に言われた〈間違いを残す〉というのとは違いますけど、生々しいノリをそのまま残すという意味で、すごく味わいがあると思います。

「演奏の間違いも、本当は残したかったんですけどね。やっぱりみなさんセッション・マンなので、間違いを残されると今後の食いぶちに影響するので(笑)。だから〈そのままでいいです〉とはなかなか言えず。でも自分のヴォーカルに関しては、ざっくりと録ったものが多いし、仮歌そのままというのも結構多いし、そういうふうにやりました」

――暑すぎた夏で疲れた心に、しなやかな秋風のように沁みるアルバムです。長く聴かせてもらいます。

「これはみんなに聴いてほしいな。あと、俺みたいな若いやつ、いないかな。日本語で、フォーク・ロックで、いたらプロデュースしたいんだけど。相当安く上げますよ」

――間違いも〈全部OK!〉とか言って(笑)。

「もちろん自分のそういうアルバムも聴きたいけど、若くてフォーク・ロックで、そういうのが聴きたいなぁ。今回も自分が聴きたいアルバムを作ったんですけど、自分以外のやつでそういうのも聴きたいの。このメンツ、このやり方で、誰かをやってみたい。そしたら、もっと聴きたいアルバムが増えて楽しくなるから。だからね、聴きたい音楽は自分で作っちゃうのがいちばん早いんです。自分のデモテープとか聴くの、異常に好きですね。温故知新じゃないけど、古い自分のアルバムを聴いて新曲の発想が浮かぶこともあるし、自分のなかのアーカイヴ作業をするのが好きです。そうそう、来年、『倉持の魂』が20周年なんですよ。その20周年盤を出したいと思ってるので、キューンレコードさんよろしくお願いします(笑)」

――では最後に、10月22日から始まるツアーの抱負をひとこと。

「これはインディアンズで回ります。DUKEアイプチ、グレートマエカワ、あと渡辺シュンスケくんがいるとこといないところがあります。すごいことになりますよ、このツアーは。何せいま、声が絶好調なんで。みんな〈やっぱり72年のストーンズを観たかったな〉とか、言うじゃないですか。それと同じで〈2010年のYO-KINGを観ときゃよかったな〉ということになるわけですよ。そこで〈俺は行ったぜ〉と言うためにも、これは観ておいたほうがいいですね。〈ゆるかったぜ~〉っていうライヴになるかもしれないですけど(笑)」

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掲載: 2010年10月13日 18:01

インタヴュー・文/宮本英夫