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インタビュー

見田村千晴 『ビギナーズ・ラック』

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年09月25日 18:01

更新: 2013年09月25日 18:01

ソース: bounce 359号(2013年9月25日発行)

インタヴュー・文/宮本英夫



孤独や劣等感を吹き飛ばす言葉とグルーヴ──引きの視点で繊細な感情の揺れを歌うシンガー・ソングライターが、ついにメジャーへ!



見田村千晴_A



物心ついた時からのクラシック教育と、高校時代に青春をぶつけた合唱部での活動。その一方で、TVの歌番組にかじり付き、カラオケに合わせて歌いまくっていたという嗜好。そして20歳を過ぎ、シンガー・ソングライターとして歩んできた道のり。見田村千晴の歌を聴いて誰もが思う〈揺るぎない芯の強さ〉──それは、ひとつずつ丁寧に踏み固めてきた地盤の厚みによるものだ。

「クラシックは好きになれなかったんですけど、絶対音感や楽典の知識を身に付けさせてもらったことには感謝してます。〈歌詞がよく聴こえる〉って言っていただく機会が多いのも、合唱で鍛えられたことが活きてますね。でも本当になりたかったのはポップスの歌手で、矢井田瞳さん、MISIAさん、aikoさん、SPEEDさん、吉田美和さんとか、その人になりきって物真似して歌ってました。学生時代の録音が残ってるんですけど、いま聴いても上手いんですよ(笑)」。

彼女の名前が世に出たきっかけは、2011年のタワーレコード主催のオーディション〈Knockin'on TOWER's Door〉で準グランプリを受賞したこと。その後はユニクロ〈ヒートテック〉のCM出演や、〈ウェザーニューズ〉の配信する〈ソラウタ〉(TVの気象予報番組〈SOLiVE24〉がアーティストと季節ごとにコラボ曲を制作するプロジェクト)に選ばれた“雨と空言”が100万ダウンロードを記録するなど、一躍注目の存在に。そしていよいよこの秋、ミニ・アルバム『ビギナーズ・ラック』でメジャー・デビューを飾る。

「いま27なんで、早くはないじゃないですか。地元に帰ると〈まだ音楽やってるんだ?〉って言われることもありますし、やっとという感じですね。いまはすごく充実してます」。

本作のプロデュースは、アンジェラ・アキや植村花菜など女性シンガーとの仕事に定評のある松岡モトキ。参加ミュージシャンはあらきゆうこ、三沢またろう、宮川剛、SUNNYといった凄腕揃いで、ピアノ、ヴァイオリン、アコーディオンなどを効果的に配した、生々しく豊かなサウンドだ。

「小谷美紗子さんが大好きで、ああいう尖った感じの、熱のある、剥き出しの音を私もやりたいと思っていたら、松岡さんも同じことを言ってくださって、意見が一致して。できるだけ音を重ねずに、アコギと歌がいちばんソリッドに聴こえるサウンド作りをしました」。

そこで歌われるのは、サウンドと同じくシンプルで、ありのままをさらけ出す言葉たち。いきなり〈自分探しに行く前に/鏡を見ればいいだろう〉と突き放し、〈逃げないで/愛して/あなたは美しい〉と包み込み、〈逃げないよ/歌うよ/あなたにラブソング〉と力強く歌う1曲目“ラブソング”を聴くだけで、見田村千晴がどんな性格のシンガーなのかがわかるはずだ。

「自分と同じように孤独な……孤独アピールではないですけど(笑)……寂しかったり、〈こんな嫌なことを考えるのは自分だけだ〉と思っている人のそばで、〈みんなそうだよ。私もそうだし〉って言える作品になったと思います。だからといって、しっとり切なくというだけではなく、それを吹き飛ばすグルーヴや言葉があって、引っくるめて〈なんかがんばろう〉って感じてもらえたら嬉しいです」。

自身の就職活動の辛い体験を踏まえて〈私は普通のことができないんだ〉と思ったことから、〈普通って何?〉というテーマを掘り下げた“普通”、恋する男女の幸せなシーンのなかに、恐れや劣等感など複雑な感情を滲ませる“秘密”など、どの曲も瑞々しく、細やかな感情の揺れを描く筆力には確かな才気が漲る。

「自信がなくて、ど真ん中に行けない人種だからこそ、引いて見るしかないという視点があって、逆にそれが自分の個性になったらいいなと思います。歌だったら何でも言えるんですよ。曲作りは苦しいですけど、いまは曲を作っているときが幸せです」。

引きこもり気味で、人見知りのくせに人が好きで、ライヴで歌うのが大好きで、さらには女性アイドルも大好き──そう自認する彼女。もっと追いかけてみたいと思わせる、魅力溢れるシンガー・ソングライターの登場だ。



▼文中に登場したアーティストの作品を紹介。
左から、矢井田瞳のニュー・ミニ・アルバム『123456』(ユニバーサル)、アンジェラ・アキの2006年作『Home』(エピック)、小谷美紗子の2010年のミニ・アルバム『ことの は』(HIP LAND)

 

▼見田村千晴の作品。
左から、2011年のタワーレコード限定シングル“始まり”、2011年作『いつかのように』、2012年作『I handle my handle』(すべてKnock up!)

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