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インタビュー

スキマスイッチ 『POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~』

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 メジャーデビュー10周年を迎えたスキマスイッチから、初のオールタイム・ベストアルバム『POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~』が届けられた。“奏(かなで)”、“全力少年”、“ボクノート”、“ガラナ”、“藍”、“ユリーカ”などの代表曲を網羅した本作には、高品質のポップソングを追求してきた彼らの軌跡が生々しく刻み込まれている。



デビュー10周年を彩るオールタイム・ベストアルバム『POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~』



 このアルバムをひと言で説明するなら、やはり<良質のJ-POP>ということになるだろう。誰もが気軽に楽しめる親しみやすさと一瞬で<あの人たちの曲だ!>とわかる個性、そして、時代や流行に左右されないエヴァーグリーン感覚。こんなにも豊かなポップワールドを持ったアーティストは本当に稀だと思う。デビュー10周年を記念したオールタイム・ベストアルバム『POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~』。本作が示しているのは、彼らがデビュー以来、一貫して普遍的なポップソングを志向してきたという事実だろう。

 大橋卓弥(Vo.&Gt.)、常田真太郎(Key.)によるソングライター2人によるポップユニット、スキマスイッチがメジャーデビューを飾ったのは、2003年のこと。1stシングル“view”を初めて聴いたときに感じたのは、「年齢(当時彼らは25歳)のわりに、すごく巧みなポップソングを作る2人組だな」ということだった。基本的には疾走感のあるポップチューンなのだが、ストリングスの使い方、意外性に満ちた楽曲展開、そして何よりも、ドラマティックに広がっていくメロディラインは、明らかに新人離れしていた。デビュー当時のことを常田は「少し背伸びしていたというか、<やれてる感>を出そうとしていたところがある」と振り返るが、そのクオリティの高さは10年たった今もまったく色褪せていない。当初から作詞・作曲・編曲・プロデュースをすべて自分たちで手掛けてきた音楽的ポテンシャルの高さは、デビューの翌年からすぐに発揮される。切なくも愛おしいバラードナンバー“奏(かなで)”(2004年)がロングセールスを記録したことを皮切りに、軽やかで前向きな手触りを感じさせる“ふれて未来を”(2004年)、緻密に構成されたアレンジが印象的な“冬の口笛”(2004年)、ポジティブなメッセージをたたえたアッパーチューン“全力少年”(2005年)などのヒット曲を連発。初めてチャート1位を獲得した“ガラナ”(2006年)によって、彼らは最初のピークを迎えることになる。

 



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 老若男女に親しまれるポップ・ユニットとして認知され、順調にキャリアを重ねていた彼らに転機が訪れたのは、2007年に行われた初のアリーナツアーの後。活動の規模が急激に大きくなり、「何を歌いたいか、何をやりたいかがわからなくなっていた」(大橋)という状態を解消すべく、ふたりはソロ活動を展開(大橋はアルバム『Drunk Monkeys』を発表。常田は映画「ダイブ!!」のサントラ、他アーティストのプロデュースなどを手がけた)。再びふたりが集まったのは、2009年。「これでスキマスイッチが終わってもいい、という思いで率直に話し合った」(大橋)という覚悟で互いの思いをぶつけ合った末、彼らは音楽へと真摯な思いをテーマにした“虹のレシピ”(2009年)を発表する。生々しいバンドサウンドとエモーショナルな手触りのメロディがひとつになったこの曲によって彼らは、スキマスイッチとして音楽を作り上げることの喜びを取り戻したと言っていいだろう。

 その後もふたりは、幅広い音楽知識とソングライティング・センス、色彩豊かなアレンジメントを駆使しながら、さらに深みを増したポップスを生み出していく。村石雅行(Dr.)、種子田健(Ba.)、石成正人(Gt.)などの凄腕のライブメンバーとともにレコーディングされたファンキーなロックチューン“ゴールデンタイムラバー”、<どうして僕には、君しかいないんだろう>というラインが胸を打つ壮大なバラードナンバー“さいごのひ”、何気ない日常にある幸せをナチュラルに描き出した“晴ときどき曇”、大橋が「自分がイメージしていたものを完璧にカタチに出来た」と語った“ユリーカ”、そして、デビュー10周年というアニバーサリーを意識して制作された最新シングル“Hello Especially”(思わず口ずさみたくなるメロディと<明日もがんばろうぜ 今そこにある未来へ>という前向きなフレーズが気持ちいい!)。2008年以降に発表された楽曲(ベストアルバムのDISC2)を聴けば、ふたりの音楽が現在も進化を続けていることがはっきりと感じ取ってもらえるはずだ。

10月には、さいたまスーパーアリーナ2daysを含む全国アリーナツアーも決定。1980~1990年代のJ-POPを中心にAOR、ソウルミュージック、R&B、ロックなどを独自のセンスで取り入れたサウンドメイク、そして、年齢・性別を問わず、誰もが素直に共感できる歌を共存させたふたりの は、これからもさらに広がり続けることになるだろう。



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■Album……『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~』 8/21 on sale

■songlist

[DISC 1]
01.view
02.君の話
03.奏(かなで)
04.ふれて未来を
05.冬の口笛
06.全力少年
07.雨待ち風
08.キレイだ
09.飲みに来ないか
10.ボクノート
11.ガラナ
12.スフィアの羽根
13.アカツキの詩
14.藍
15.惑星タイマー
16.マリンスノウ

[DISC 2]
01.虹のレシピ
02.雫
03.ゴールデンタイムラバー
04.8ミリメートル
05.アイスクリーム シンドローム
06.さいごのひ
07.晴ときどき曇
08.石コロDays
09.センチメンタル ホームタウン
10.ラストシーン
11.ユリーカ
12.スカーレット
13.トラベラーズ・ハイ
14.Hello Especially

■Live……「Sukimaswitch 10th Anniversary Arena Tour 2013POPMAN'S WORLD」

10/5(土)福岡国際センター 
10/12(土)日本ガイシホール
10/28(月)大阪城ホール
11/16(土)、17(日)さいたまスーパーアリーナ



■Profile……スキマスイッチ

大橋卓弥、常田真太郎によるソングライター・ユニット。1999年に結成、都内を中心にライブ活動を展開し、2003年7月シングル“view”でデビュー。その後、“奏(かなで)”(2004年)、“全力少年”(2005年)など数々のヒット曲を生み出す。



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記事内容:TOWER+ 2013/8/10号より掲載

掲載: 2013年08月09日 18:00

ソース: 2013/8/10

TEXT:森 朋之