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インタビュー

bomi 『ビューティフォーEP』



〈bomi第1幕〉の完結編と位置付けるミニ・アルバム。これまでに確立した〈彼女らしさ〉をスマート&明確に提示した一枚です!



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海外のインディー・ロックともリンクするサウンドやキャッチーなメロディー、言葉遊び満載のリリック、そしてキュート&キッチュなアートワークで注目を集めるbomi。「自分の世界観、音楽の芯の部分が確立できたかな、という手応えがありましたね」という初のフル作『メニー・ア・マール』に続く5曲入りの『ビューティフォーEP』は、彼女の音楽的な本質がさらに色濃く反映された作品に仕上がっている。

「ファースト・アルバムのときは(歌詞において)言葉遊びの要素も多かったし、ワッハー!て楽しみたいモードだったんですよね。今回はそういうアピールの仕方ではなくて、自分の心の中心に近いものを表現してみたくて。いまの自分が持っている要素を削いで、最後に残ったものを曲にしていくというか」。

彼女が言う〈心の中心に近いもの〉をもっとも端的に示しているのが、リード曲の“ビューティフォー”。〈ビューティフォーな私〉〈ワンダフォーに踊れ〉というフレーズには、彼女自身の切実な願望も含まれているという。

「ずっとどこかで感じてたことなんだけど、他人と自分を比べてしまうことが結構あるんですよね。〈あの子はいろんなことが器用にできていいな〉とか、凄い先人たち(アーティスト)と自分を比較して〈私なんて足元にも及ばない〉って思っちゃったり……。だから〈ビューティフォーな私〉〈ワンダフォーに踊れ〉という歌詞は、〈そうなれたらいいな〉という願いでもあるんですよね。自分のことだけじゃなくて、歌詞を書いてるときはティーンの女の子たちの顔も浮かんでました。学校とかって、何となく周りに合わせてないと生きづらかったりするんですよ、女の子は。そういう子たちが〈自分は自分〉って思えるきっかけになれたらいいなって」。

シリアスなメッセージを込めつつも、決して感情過多にならず、クールでキャッチーなポップ・ミュージックへと昇華させているところがbomiの魅力。そこには「自分が思う〈カッコイイ〉にはウソをつけない」という自身の明確な意思が反映されている。

「もっと直情的で、シンガー・ソングライター的な言葉のほうが(リスナーには)響くのかもしれないけど、私がそれをやるとどうにもベタッとしちゃって、辛気臭くなっちゃう(笑)。そういう音楽は、自分にとってのカッコイイものには入らないし、カッコイイものというのはどこかでスカしていてほしいんですよね」。

また、サウンド・プロデューサーであるwtf!?とのタッグによるサウンドメイクも、さらに進化を遂げている。

「彼はトレンドに敏感だし、それを採り入れるのも早い。あと、ギターのリフが印象的なんですよね。私はメロディーから曲を作ることが多いから、彼といっしょにやってるとすごく新鮮なんですよ。今回は〈80sのサウンドをやるなら今年いっぱいまでだね〉って言ってました(笑)。4曲目(“歌え! 猿のミリンダ”)はそういう感じじゃないかな。日本にはないタイプのサウンドだと思うので、これが受け入れられたら地味に革命だと思います(笑)」。

彼女自身が「今回のEPはいままでやってきたことを煮詰めて、ジャムにした感じ。〈bomi第1幕〉の最高クォリティーだと思います」と言い切る本作によって、bomiの存在はさらに多くのリスナーに共有されることになるはず。際立ったポップセンス、その奥にあるシリアスな歌の世界をぜひ、しっかりと体感してほしいと思う。


カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年07月23日 20:50

更新: 2013年07月23日 20:50

ソース: bounce 356号(2013年6月25日発行)

インタヴュー・文/森 朋之

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