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インタビュー

HUSKING BEE 『SOMA』



7年の時を経てついに復活! 若いメンバーも加入し、フレッシュな息吹が吹き込まれた9年ぶり(!)のニュー・アルバムが完成です!



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2012年9月、〈AIR JAM 2012〉のステージ上で、HUSKING BEEは7年ぶりの再始動を発表した。磯部正文(ギター/ヴォーカル)と平林一哉(ギター/ヴォーカル)のオリジナル・メンバーに、岸野一(ベース)と山崎聖之(ドラムス)という先の2人とは干支ひと回りぶんほど若いメンバーを加えた新編成だ。「普通にチケット買ってハスキンのライヴに行ってました」(山崎)という、言わばバンドのなかにファンがいるというなかなかユニークな状態となっている。

「確かに年齢差はありますけど、演奏する時には関係ないですね」(磯部)。

「僕が当時好きだったああいう曲がやりたいです、とか。ファンのリクエストみたいなことも言ってみたりしました」(岸野)。

再始動第1弾となるニュー・アルバム『SOMA』は、“Face The Sunflower”“Put On Fresh Paint”といったセルフ・カヴァーも含む全13曲。新曲が予想以上に素晴らしく、パンクやエモを軸としながらも開放的なポップ性を持ち、アクの強いバンドが揃う90年代の〈AIR JAM〉などで爽やかな涼風の如き存在感を放っていたかつてのハスキンが、最新ヴァージョンへと確実に進化していることがよくわかる。

「ハスキンで作ってきた曲というのは、自分がものすごく影響を受けたバンドの美味しいところ——音そのものではなく精神的なところが、自分を通した時にどう出てくるのか?というものだったんです。MARS EURYTHMICSや磯部正文BANDでは〈他のものを吸収せねば〉みたいなところがあったんですけど、またハスキンの曲に戻った時には、〈慣れ親しんだ車〉という感じがありました」(磯部)。

「磯部くんのやり方はわかってるから、いっしょに作業するのは楽しかった。久しぶりなので苦戦もしましたけど、今後さらに発展させたいと思うことも生まれたし、すごく充実した制作でしたね」(平林)。

先の〈ああいう曲がやりたいです〉という発言にまつわる、おもしろい逸話がある。“THE SUN AND THE MOON”や“SUN MYSELF”など、「月や太陽が出てくる曲は名曲が多い」と感じていた山崎に〈ああいう曲は作らないのか?〉と言われたことで磯部が発奮し、アルバム中でもひときわ爽快な泣きメロが輝く“Sun Pillar”を生み出したという。

「(山崎と岸野に向かって)当時のアメリカのシーンの人たち、ジミー・イート・ワールドとかゲット・アップ・キッズとライヴをやらせてもらった時に、大好きなバンドといっしょにやれる喜びと同時にハスキンも負けられないとか、そんなことを考えて眠れない夜があったわけさ。だから月と太陽の関係とか、宇宙とオレとの関係とか、そんなことばっかり歌詞に出てくるんだけど、最近はちょっと違ってたから。でもその頃の(気持ちの)ガイドブックみたいなものは確かに自分のなかにあるから、〈じゃあちょっとめくってみるわ〉みたいな感じだったんだよ」(磯部)。

オリジナルとは異なる形での再結成は数あれど、新メンバーとの関係性において、いまのハスキンは理想的なバランスと言っていい。磯部の作る黄金のメロディーに、平林が絶妙なヴォーカル・ハーモニーとギターを加え、岸野と山崎が新世代のエナジーを注ぎ込む。それは確かにハスキンであり、同時に新しいバンドならではのフレッシュな勢いに溢れているのだ。

「HUSKING BEEの新作というより、新しいバンドのファースト・アルバムを作る感覚でしたね。〈昔〉を意識する必要はないと思うので」(山崎)。

「彼ら(山崎と岸野)ならではのものをもっと強めたい部分もあるし、(これまで培ってきた)大事にとっておきたい部分もある。これからライヴを重ねていけばもっと具体的なことが見えてくると思うし、それが楽しみです」(平林)。



カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年02月22日 11:45

更新: 2013年02月22日 11:45

ソース: bounce 352号(2013年2月25日発行)

インタヴュー・文/宮本英夫

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