こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

INTERVIEW(4)——奇を衒おうとは思ってない



奇を衒おうとは思ってない



OMSB

――今回の音源のなかでは“Joke”のデモを最初にアップされてたと思うんですけど、その時点でもうだいたい全体像は出来上がってたんですか。

「トラックは一応揃ってた感じで、あとからビートを変えたものもありますけど。ちょうどレコーディングに入ったあたりに録った曲だったんですね」

――デモ音源を頂いた時にファイルの日付を見たら“Joke”が5月後半ぐらいだったんですね。ちょうどQNさんの件も持ち上がっていた時期だと思うんですけど、それ以前から書いていた曲なんですよね?

「はい」

――単純にリスナーとしては、リリックから何かを読み取りたくなるタイミングだと思うんですよ。

「それはそう思います。ただ、そのことについては特に意識しないで書けましたね」

――僕もリリックそのものはいつも通りの感じに思えたんですけど、一連の件によって何か変わった部分もなくはないですよね?

「そうですね。アイツに対してどうこうじゃなくて、自分の暗い部分がわかったかもしれないです。そこでけっこう考えたから、そういうテンションが表れたのかもしれないですけど。アルバムでいうと、前半のガシガシしたラップに対して、後半のテンションの下がった部分が出たと思うんです。それでも相当テンション高いですけど(笑)」

――(笑)後半は“Hoodless”や“Maison Naruse”のようにパーソナルな内容の曲も多いですけど、結果的に起伏ができた感じになったわけですか。

「そうですね。そうなってることに後から気付いた、という感じです」

――いろいろあったからこそ、作品に集中できたというのはあるかもしれないですね。結局、作品で証明していくしかないですし。

「聴く人にすれば、曲が良ければどっちでもいいんじゃないですかね。俺は単純に人のことを気にしてる余裕がなかったです。余裕がないアルバムですね(笑)」

――いやいや、陰な部分もあるけど、ブン殴られるところがあっていいなあと思いますね。予想以上にストレートなヒップホップ・アルバムというか。

「作り方で言ったらムチャクチャなんですけど、奇を衒おうとは思ってないんで。変なことしたくても、なりきらない感じというか。凄い普通だと思うんですよね」

――普通って何?って感じですけど(笑)、ビートも去年の作品で聴けたものとはまた雰囲気が違います。

「トラックに関してこうしたいっていうルールがあって。bounceの取材だから言うんじゃないですけど、ホントに今年は自分のなかでバウンスだと思ったものだけ出したいと思ってたんです。そうなってないのはSoundCloudに流すっていう。単純にクォンタイズにはめて曲を作るにしても、それがバウンスになってれば良し、って決めてて」

――OMSさんからみたアルバムの聴きどころは?

「アルバムの全部じゃないんですけど、曲の構成として繋がるところがあるので、こう来てこうなのね、ってとこがあるので、そこを聴いてほしいですかね」

――では、本人的には〈楽曲集〉というより、この曲順のこのパッケージという感じなんですね。

「そうですね。自己満足なんですけど、2周目を聴いてるとわかるような部分があって、どの曲も最初に聴こえた感じとは違うんじゃないかって思ってます。J・ディラの『Donuts』みたいにケツがアタマに繋がるようなところも少し意識しましたし。なので、1回聴いて終わりじゃ少し寂しいので。あと、できればCDで聴いてほしいです」

――わかりました。ところで、今回の『Mr. "All Bad" Jordan』を作ってて、SIMI LABの次のアルバムを見据えていた部分ってあるんですか。

「今回はないですね。SIMI LABのセカンドに取りかかる前に、ソロ作のほうのトラックはだいたい決まっていたので」

――そういえばZAIさんのソロも同時期に出ますし、グループでの作品も楽しみですね。

「皆が凄く心強いですね。Hi'SpecやZAIはもちろんですけど、USOWAもビートを作るんで。トラックでいえばだいたい揃ったので、あとは手を付けていくだけです」

――『Mr. "All Bad" Jordan』にはグループの予告編的な部分もあるんですかね。これからのSIMI LABの一端が見えるような……。

「どうですかね。そうでもないと思いますよ(笑)」

――で、時期はいつぐらいの予定ですか?

「来春ぐらいには出したいですね。絶対にヤバくなります」


カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2012年10月17日 18:01

更新: 2012年10月17日 18:01

インタヴュー・文/出嶌孝次