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インタビュー

andymori 『光』

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年05月02日 18:00

更新: 2012年05月02日 18:00

ソース: bounce 343号(2012年4月25日発行)

インタヴュー・文/金子厚武



音よりも速く届けたい言葉、伝えたい気持ち──あらゆる状況を優しく照らし出す、過去最高に開放的で軽やかな歌を詰め込んだニュー・アルバムが、ついに完成!



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自分を持ち上げてくれる光

「熱心なリスナーの方であれば、andymoriの通算4枚目となる新作『光』のトラックリストを初めて見たときに、〈あれ?〉と思ったかもしれない。本作には、昨年からライヴでプレイされ、2月にリリースされたDVD「秋の楽園ツアー 2011.10.07 Studio Coast」にも収録されていた“パーティーは終わった”など、すでにお馴染みとなっているいくつかの新曲が収録されていないのだ。その理由は、今回の新作が当初は〈光〉をテーマとしたミニ・アルバムを意図して制作が始められたことにある。

世の中の暗い状況や雰囲気、自分のなかにある闇に光を射したいっていう気持ちがぼんやりとどこかにあったと思うんですね。“光”っていう曲が出来てそれがはっきりしたんで、そういう曲を集めて作品にしたいなと思って。〈(閉塞感のある現状を)なんとかこじ開けるようなもの〉〈自分を持ち上げてくれる光〉っていうイメージで作っていったら曲が増えていって、結局11曲になりました」(小山田壮平、ヴォーカル/ギター)。

「今回はすごくいろんな景色があったりとか、優しく包み込むような感じのものがいっぱいあると思います」(藤原寛、ベース)。

〈光〉というのはこれまでの作品のなかでも頻繁に取り上げられてきたテーマだが、このタイミングで改めてそこと向き合ったのは、やはりいまの世の中の状況があったからこそだろう。そんな光が見えにくい日常のなかで生まれた本作には、特定の大切な誰かに語りかけるような、音楽を愛する〈不特定多数のみんな〉に呼び掛けるような、そんな歌ばかりが収録されている。例えば、“ベースマン”と“ひまわり”は、それぞれメンバーの藤原と岡山健二(ドラムス)について歌われた曲であり、“ひまわり”では岡山がヴォーカルを担当している。

「andymoriで歌うことは考えてなかったんですけど、やってみたら楽しかったですね。作品になって聴いてみると、良い感じにアルバム全体と溶け合ってたし」(岡山)。

「歌のなかでは何かに限定して物を言うんだけど、自分の意識としては、特に限定してないところがあって。メタファーというか、それよりも感情が先に立ってるんですよね。みんな繋がって生きてるから、それぞれのなかに大切な人がいて、そういうところに響けばいいなって。みんなにとっての〈ベースマン〉だったり、〈ひまわり〉がいると思うし」(小山田)。

直線的なガレージ・ロックがあれば、ゆったりとしたフォークがあり、なかには4つ打ちの曲もあったりと、曲調は幅広い。しかし、〈光〉というテーマから自然と曲が増えていったというエピソードも示しているように、本作の核になっているのはあくまで作品に込められた〈想い〉なのだろう。どこか一筆書きのような、いい意味での気軽さとストレートな芯の強さが感じられるのは、そこに由来しているのではないか。

「今回は軽やかさに相当憧れてたんです。聴いてて重く感じるような作品は好きじゃないので、そういうのをやってみたいと思って、『革命』のとき以上に意識しましたね。“ベースマン”はバンド・アレンジがいいなって聴くたびに思います」(岡山)。



音よりも〈先に行く〉歌

そんな軽やかな作品の印象をより強めているのが小山田の歌だが、作品が完成に至るまでにはかなりの生みの苦しみを経験している。当初3月に予定されていた本作のリリースが5月に延期されたのは、納得のいくヴォーカル・テイクを録ることができなかったからだ。

「プライヴェートで問題が起こったり、締め切りに追われてたりでいろいろ悪い時期が重なっちゃったし、理想の基準が自分のなかで上がってたこともあって、悶々と1か月半ぐらい試行錯誤してました。最初はスタジオで録ってダメで、一人で自宅にマイクを入れてやったんですけどそれもダメで、結構迷走してたんです。でも延期してからはわりとスムースに録れました」(小山田)。

録り直す前のヴァージョンとは比較できないが、過去の作品と比べても、今作で聴くことのできる小山田のヴォーカルは、確かに一皮剥けたように感じられる。具体的に言えば、本作で聴こえるヴォーカルはこれまでよりも近くで鳴っているような印象があり、すぐそばでフォーク・シンガーの弾き語りを聴いているような印象さえ受けるのだ。小山田がフォーク〜カントリーをルーツに持っていること、本作が〈届ける〉〈伝える〉ということを特に意識して作られていることなど、その背景はいろいろだと思うが、小山田自身は〈ライヴ感〉がポイントだったと言う。

「ライヴのときのように開放的な歌をレコーディングでも歌えないかなって、『革命』のときから思っていて、今回それが上手くできたことはすごい収穫だと思います。自分が音より速く歌うっていうか、リズムは合ってるんだけど、イメージとしては〈先に行く〉っていう、そういうコツが掴めて。そうすると気分もどんどん開放されてきて、いままでの作品のなかでもいちばん歌に熱量があるし、まさにライヴなんですよね」(小山田)。

「(録り直す前とは)全然違いますね。いまにして思うと、元のやつはどこかこもってたけど、いまはもうバーンと開けてる感じです」(藤原)。

3月から4月にかけて行われたツアーでは、この『光』を曲順通りに全曲演奏するというステージを実施。アルバムを発表してからのツアーという最初の目論みから離れ、未発表のアルバムを披露するというチャレンジングなライヴにはなったものの、躍動感のある楽曲たちはすぐにオーディエンスの心を捉え、ステージとフロアに強い光の降り注ぐようなライヴになったことだろう。さらなる新曲も続々と出来つつあるそうで、光の射すほうへと向かうandymoriの旅は、止まることなく続いていきそうだ。



▼andymoriの作品を紹介。

左から、2008年のミニ・アルバム『アンディとロックとベンガルトラとウィスキー』、2009年作『andymori』、2010年作『ファンファーレと熱狂』、2011年作『革命』(すべてYouth)

▼andymoriのライヴDVDを紹介。

左から、2010年作「ぼくたちアンディモリ 〜日比谷野外大音楽堂 ライブ & ドキュメンタリー〜」、2012年作「秋の楽園ツアー 2011.10.07 Studio Coast」(共にYouth)

▼andymoriが参加した作品を紹介。

左から、2009年のくるりのトリビュート・アルバム『くるり鶏びゅ〜と』(スピードスター)、2012年の忌野清志郎のカヴァー集『KING OF SONGWRITER 〜SONGS OF KIYOSHIRO COVERS〜』(フォーライフ)

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