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インタビュー

MODESELEKTOR 『Monkeytown』

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年11月22日 18:15

更新: 2011年11月22日 18:15

ソース: bounce 338号 (2011年11月25日発行号)

構成・文/青木正之



時代のモードを自由自在に嗅ぎ分けてセレクトし、ユニークすぎるハイブリッド・ビートを作り出す夜行性の生き物2匹……今回も猿は木から落ちないぜ!

 

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責めるなら彼らを責めてくれ

97年にベルリンでゲアノット・ブロンザートとセバスチャン・シャーリーによって結成されたモードセレクター。そのキャリアが本格的にスタートしたのは2000年代初頭、ビーピッチ・コントロールからシングル“In Loving Memory”をリリースして以降だ。活動当初からテクノの範疇では単純に語り尽くせない個性を発揮していた彼らだが、その才能にスポットが当たってクロスオーヴァーしていくきっかけは、2007年に発表したセカンド・アルバム『Happy Birthday!』まで待たねばならなかった。このアルバムに収録されたコズミックなIDMヒップホップ“The White Flash”でトム・ヨークと共演を果たし、それを契機に一躍ロック・リスナーの間にもその名が浸透していったのだ。そのトムをして「僕がダンス・ミュージックやDJをやることにすごくハマッたのは、きっと彼らのせいだと思う。だから責めるなら彼らを責めてほしい(笑)」とまで言わしめたのだから、興味が湧かないファンはいないだろう。2008年に行われたレディオヘッドの来日ツアーでモードセレクターがオープニング・アクトに抜擢されたことがトドメを刺し、日本でも俄然注目を集めていく。

この頃から彼らへの期待は膨らむ一方で、2009年には、アパラットとのプロジェクト=モデラットでアルバム『Moderat』を生み出す。モードセレクターのアクティヴなベース&ビートと、アパラットの幻想的なエレクトロニック・サウンドを融合し、アーティスティックに磨き上げた同作は各方面で絶賛を浴びることに。さらに同年、自身たちの新レーベル=モンキータウンを立ち上げ、エレクトロ・プロデューサーのシリウスモをブレイクさせた他、彼ら自身もライヴ・パフォーマンスが評価されてウェブ・メディアから表彰されてもいる。2010年に入ると、(2006年に自分たちの12インチを1枚リリースしたきりで鳴りを潜めていた)彼らがモンキータウン以前にスタートさせていたレーベル=50ウェポンズにも本腰を入れはじめ、コスミンTRGらのリリースで話題をさらうなど、後進のフックアップにも積極的に関与し、エレクトロニック・ミュージック界でのステータスを確固たるものとして現在に至っている。こうして同業のミュージシャンも含め、ファン層を拡大していったのには、やはり彼らのサウンドのおもしろさがあるのだが、それをなかなか一言で適切に言い表せないところにこそ、モードセレクターの特色が隠されていると言えるだろう。あえて例えるなら、彼らが監修したコンピ『Modeselektion Vol. 1』がもっともわかりやすいか。そこにはシリウスモやサブトラクト、2562、アパラット、マルセル・デットマン、ラマダンマン、デジタル・ミスティックズ、ハウスマイスターらのトレンドセッターが集結しており、そのラインナップこそがモードセレクターそのもの……つまりそのコンピに含まれたすべての要素を凝縮したのが彼らのアイデンティティーであり、サウンドなのだ。

 

あいつらと組むとパニックになる

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このとびきりユニークなモードセレクターの世界観を推し進めたのが、4年ぶりとなる3枚目のオリジナル・アルバム『Monkeytown』だ。「こんなに苦労させられた作品は初めてだよ。でも、振り返るとどのアルバムも苦労させられたけど……」と2人が声を揃える今回の作品は、いつも通りシリアスに気張ることなく、かといってコマーシャルになりすぎず、ダンス・ミュージックにありがちなパーティーのノリで精神を解放するといった体もなく、実に飄々とした調子だが、前2作に倣ってゲストを多数招き入れ、ふたたび強烈なことをやってのけている。メランコリックなメロディーの中をハンマーを打ち下ろすかのようなビートが疾走する“Blue Clouds”から始まり、「ゲアノットとセバスチャンとコラボレーションをやる時、俺はいつも困って、圧倒され、パニックになるよ」と語るバスドライヴァーがラップを披露し、スクリューされたブーミンなベースとスクラッチをアクセントにしたヒップホップ・チューン“Pretentious Friends”でパワフルに弾けたかと思えば、一転、ダブステップとガラージの狭間を縫うアトモスフェリックな“Shipwreck”ではトム・ヨークがファルセットを震わせてダークなトーンを持ち込む。この後にもオットー・フォン・シーラーク、PVT、アンチポップ・コンソーティアムといったゲストが互いの個性を溶解させている。極めてユニークながらも〈ポップ〉という隠し味を効かせ、決してリスナーを突き放さないモードセレクター節が目白押しだ。エレクトロニック・ミュージック大国のドイツにあっても、このクリエイティヴィティーとエナギーが別格なのは、誰もが認めることだろう。ちなみにゲストのなかではトム・ヨークだけが唯一2曲に参加……どれだけモードセレクターが好きなんだ!?

 

▼『Monkeytown』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

左から、モードセレクターも参加したレディオヘッドのリミックス集『TKOL RMX 1234567』(Ticker Tape/XL)、バスドライヴァーの2009年作『Jhelli Beam』(Anti-)、オットー・フォン・シーラークの2008年作『Oozing Bass Spasms』(Cock Rock Disco)、PVTの2010年作『Church With No Magic』(Warp)、アンチポップ・コンソーティアムの2009年作『Fluorescent Black』(Big Dada)

 


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