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インタビュー

ノンストップで突き進んできた9mmのこれまで

 

2004年に結成された彼らは、横浜〜都内を中心にライヴ活動を展開。2005年に初の音源となる『Gjallarhorn』(残響)を、2006年に『Phantomime』(同)と、2枚のミニ・アルバムを発表している。“(teenage)disaster”や“sector”といった現在もライヴでもっとも盛り上がる楽曲はこの時代のもの。メタルやハードコア、エモなどのラウド&へヴィーなサウンドに歌謡曲的な和の趣を感じさせるメロディーを合わせた楽曲、それに凄まじいライヴでのパフォーマンスも相まって、彼らは当時の新世代ロック・シーンのなかでもひときわ話題を集める存在となった。そして2007年、先の作品からの再録に新曲も加えた期間限定〈プレ・デビュー〉盤『The World e.p.』(EMI Music Japan:以下同)を経て、それまで以上にダイナミックななかにも程良く抑制が効いたクリアなナンバーが目立つ初のフル・アルバム『Termination』をリリース。その後、盟友の凛として時雨とのツアーも話題となったほか、くるりやアジカンといった先輩バンドのツアーに招かれることで知名度を上げていく。

その勢いのまま発表した2008年作『VAMPIRE』は、サーフな(加山雄三的な)インスト曲も収録され、十八番の壮絶系のものもありながら、全体は比較的渋い作りの作品となった。これがオリコン・チャート2位を記録し、直後には日比谷野音でのワンマンを、翌2009年9月9日には初の武道館公演も成功させている。そして2010年には3作目『Revolutionary』をリリース。“Black Market Blues”という新たなキラー・チューンも収められた本作は、テンポはどうあれ、どれも〈シャープ〉という表現が相応しいキレのある楽曲を揃えているのが印象深かった。

また、このような密度の濃いライヴ&制作作業の傍らで外仕事も精力的にこなしており、2008年にはメタリカのカヴァー集『MATAL-IKKA〜メタル一家』(ユニバーサル)ではもっともスラッシーだった時代の“Motorbreath”を再現。他にも、2009年にくるりのトリビュート盤『くるり鶏びゅ〜と』(NOISE McCARTNEY/スピードスター)でロッキンな“青い空”を、イエローモンキーのトリビュート盤『THIS IS FOR YOU 〜THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM』(ARIOLA JAPAN)ではその渋さが9mmに上手くハマった“TVのシンガー”を披露している。そして今年に入ってからは栗山千明『CIRCUS』(DefSTAR)への楽曲提供(演奏でもサポート)や、9mmのライヴでお馴染みの登場曲“Digital Hardcore”の主であるアタリ・ティーンエイジ・ライオットの編集盤『Introducing Digital Hardcore -9mm Parabellum Bullet Selection』(Digital Hardcore/BEAT)で選曲を手掛けたりと、初の試みも行っている。ますます面白味の増すオリジナル作品も楽しみだが、幅を広げる外仕事の今後も気になるところだ。

▼文中に登場した作品を紹介。

左から、2005年初の音源となる『Gjallarhorn』、2006年『Phantomime』(共に残響)、2007年、先の作品からの再録に新曲も加えた期間限定〈プレ・デビュー〉盤『The World e.p.』(EMI Music Japan:以下同)初のフル・アルバム『Termination』、2008年作『VAMPIRE』、2010年『Revolutionary』、2008年メタリカのカヴァー集『MATAL-IKKA〜メタル一家』(ユニバーサル)、2009年くるりのトリビュート盤『くるり鶏びゅ〜と』(NOISE McCARTNEY/スピードスター)、イエローモンキーのトリビュート盤『THIS IS FOR YOU 〜THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM』(ARIOLA JAPAN)、栗山千明『CIRCUS』(DefSTAR)、アタリ・ティーンエイジ・ライオットの編集盤『Introducing Digital Hardcore -9mm Parabellum Bullet Selection』(Digital Hardcore/BEAT)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年12月27日 21:00

更新: 2011年12月27日 21:00

ソース: bounce 334号(2011年7月25日発行)

文/加藤直子