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インタビュー

INTERVIEW(4)――時代と乖離はしない

 

時代と乖離はしない

 

――せっかくなんでカップリングにも一言ずつコメントを。“Baby’s Extreme”は2006年のレコーディングというクレジットがありますけど、なぜいまここで?

山森「これは当時夢中だったサーフ調の音楽で、4つ打ちをやったらどんな感じになるかな?という実験をしたかったのと、あとはすごく他愛もない恋の歌がすごく好きなので、それをやりたかったのと。今回のシングルではまず“in love”を入れることが決まって、こういうふうに英語でスルッと出来た曲もバンドの側面として必要だなと思って。でも並べちゃうと、1曲目の余韻を消しちゃって良くないから、間に入れるいい曲はないかなと思ったらこの曲があって、並べてみたらすごくいい感じだったので。すごく前のテイクだけど、一生懸命やったものだから入れさせてください、って言って入れました。すごく壮大でジーンとくる曲のあとに、あんまり肩に力を入れないみたいな、イージー・リスニングな感じがあって」

――“in love”は?

山森「これは去年作った曲で、アメリカのハード・ロックみたいなものを聴いていた青春時代を思い出して、そういう曲はこのバンドでやってなかったなと思って。とは言えいろんなものを経てきているので、そういうセンスも交えて、するっと出来た曲です」

――あともう1曲、“優しい風”の話もしておきましょう。収益は東日本大震災への義援金となってます。山森さんのアコースティックの弾き語りで、すごく生々しいヴァージョンですね。

山森「ドキドキしました。一発録りで、ジャーンって。練習で初めて〈こんな曲です〉って通して歌った時にはあれよりさらに生々しくて、歌詞を見ながらやっていて。そのテイクをうちの畠山がすごい気に入っちゃって、〈これでいいじゃん!〉って。でもあまりにもヘタクソだったから、もう1回やらせてくれって言って、ああいう感じになりました。なんか、電気も使えなかったりする時に何ができるかは悩むところだったんですけど、これを聴いてもらって、ちょっとでも前に進む力になれたら幸せですね」

――〈日々のぬくもりだけで〉の意味合いも、ああいう大変な災害があったあとに聴くと、違うふうに聴こえるんですよね。

豊田「そうですね。そういうつもりではないですけど、聴く人によってはそうも聴こえますよね。でもそういう感じに聴いていただいても」

――いいと思います。そして次は3枚目のシングルですね。もう出来てますか。

山森「はい」

――軽く前振りをお願いします。また違うタイプの曲ですか。

山森「夏らしい元気な曲です」

オータケ「でも、冬でも合いそうです」

――どっちですか(笑)。

オータケ「いや、もちろん夏は合いそうですけど、夏のための夏ソングではなくて。ガンズで言ったら“Paradice City”ですかね」

山森「オアシスで言ったら?」

オータケ「オアシスで言ったら“Rock’n Roll Star”です」

豊田「X JAPANで言ったら?」

オータケ「(笑)X JAPANで言ったら……“Joker”でしょうね」

――よくわからないけど、なんだか想像できるような気がする(笑)。

オータケ「とにかく場所を選ばない。車のなかでもイケるし、コンビニで流れてもイケる」

――楽しみにしてます。そしてそのあとには、いよいよアルバムが待っていると。

豊田「とにかくアルバムがいい形で届いてほしいのと、それを踏まえたツアーをします! 今年の後半の目標としては。それを成功させるべく、シングルをうまく積み上げていこうということなので」

――最後に一つ。山森さん、バンドとしての成長を縦軸に、時代の流れや音楽シーンを横軸に取ると、ROCK'A'TRENCHはいま、そしてこれから、どういう位置にいたいと思います?

山森「それに関係した話ですけど、今回のこと(震災)で音楽のトレンドが変わるのかなと思っていて、いしわたりさんともそんな話をしてるんですけど。これから先は……難しいですね、うまく言えないです。でも、日々そういうことは考えていて。いま、活動ができなくなってきてるバンドが多いんですよ、イヴェントがなくなったりとかで。そこでみんなが考えを研ぎ澄まして、〈これがいま必要なんじゃないか〉とか、いろんなものを出してくる世の中になるでしょうね。それと、僕らがROCK'A'TRENCHというバンドを作った時にやりたかったことは、たぶん乖離はしないと思うんですよね。時代に迎えにきてもらいたいという気持ちはさらさらないけれども、そのなかで僕らが発信するものは、なんらかの位置を占めると思うし。そこで、いい一石を投じられる自信はあって。そういう仕事をしたいなと思ってます」

 

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2011年04月20日 18:02

インタヴュー・文/宮本英夫