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インタビュー

黒木メイサ 『MAGAZINE』

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年01月26日 18:03

更新: 2011年01月26日 18:14

ソース: bounce SPECIAL (2011年1月25日発行)

インタヴュー・文/猪又 孝

 

映画や舞台で活躍する期待の女優で、CMを通じてお茶の間でも人気のタレントで、同性の支持も集めるモデルで……それで? あなたの知らないメイサがここにいる!!

 

 

09年4月、攻撃的なサウンドと挑発的な歌詞に満ちたミニ・アルバム『hellcat』を掲げ、J-Pop界にセンセーショナルに降臨した黒木メイサ。以降も大胆不敵な内容の作品をコンスタントに発表し、〈女優の歌モノ〉とは思えないほど、とんがったやり方で攻めてきた彼女が、待望のファースト・フル・アルバム『MAGAZINE』を完成させた。

全曲のレコーディングを終えたばかりのタイミングで、「仕上がりには自信がある」とみずから断言した本作。ここには既発のシングル曲“SHOCK -運命-”“5 -FIVE-”“LOL!”を含む14トラックを収録。これまでは女優業のハードなスケジュールの合間を縫って、楽曲制作やレコーディングをすることが多かったそうだが、今回は「短期集中でやれたから楽しかったし、満足してる」と手応えを十分感じているようで、さらに「いままでにやってないことをやっているので、おもしろいんじゃないかと思います」と自信を覗かせる。

事実、本作には彼女の新たな一面が露出しており、そこが最大のポイントだ。これまでに展開してきた先鋭的なダンス・サウンドと、〈なんかすごいこと言ってね?〉という勝ち気な歌詞はより表現の鋭さを追求する一方で、今回はナイーヴな面やフェミニンな感性が新たに表面化。サウンド的にもミッド・チューンやバラードがグンと増量したのだ。

彼女は昨年10月に初ワンマン・ライヴを行っているが、本作はその後から本格的に制作を開始。参加プロデューサーや制作スタッフによると、ライヴ後、彼女の歌の表現力や歌唱力そのものが飛躍的に向上したそうだし、また、お客さんのリアクションに触れることが、前述のシフトチェンジのひとつのきっかけにもなったようだ。

「お客さんにアンケートを書いてもらったんですけど、もっと〈歌〉を聴きたいっていう意見を結構もらって。いままでは意識的にバラードをやってなかったところがあるから、このタイミングでバラードを多めにやろうと」。

そうして作られたのが“Say Good Night☆”や“Somewhere...”。あとはJUNEが手掛けた“Why??”も、忘れられない人への未練を切なく叫んだミッド・バラードだ。その変化の裏側を彼女はこう語る。

「徐々に徐々に素直になれてきてるというか、いままではホント気を張ってたから、ずっと。〈バラード、歌わないし〉みたいな(笑)。〈踊るし、爆弾落とすし〉っていう感じだったけど、わかりやすい話、〈フラれました、傷つきました〉みたいなことも言えるようになってきた。いままで〈アーティスト・黒木メイサは素の黒木メイサである〉と言いつつ、その素の黒木メイサがどういう女性像かを描いているところがあったんだけど、今回は本当の意味で素に近づいてきてると思う。やっと女の子寄りになってきたというか(笑)」。

上記の“Say Good Night☆”や“Somewhere...”はメイサ作品の常連となったU-Key zoneとMOMO“mocha”N.のコンビによるもの。前者では不安や戸惑いといった揺れ動く恋心を初めて歌い、後者は慌ただしい日常生活の中で、ふと心に去来する一抹の寂しさや孤独感が綴られている。

そんな孤独感はアルバム全体の隠れテーマになっているような感じも。Nao'ymtによるスペイシーなアップ“Loneliness”は〈私は孤独なんか怖くない〉と持ち前のタフさが歌われたナンバー。「歌詞に全共感」と言う“As I Am”は、逆にスターの抱える孤独がテーマになっている。

「(アルバムの)核になっているかどうかはわからないけど、“As I Am”は好きですね。あまのじゃくっぽいんですよ、この歌詞の主人公は。だから近いんですよ、私と感覚が。ただ、冷静になってみると、面倒臭い女だなっていう(笑)。身勝手? ワガママ? あまのじゃく? え、何なの?っていう。でも、これは間違いなく私なんです」。

そうしたシリアスな側面を聴かせながらも、“5 -FIVE-”“LOL!”といったシングルで見せてきた、ちょっとおどけた感じや享楽的な気分を描いた曲も要所要所に収録。それらが本作の旨味をさらに引き立てるアクセントになっている。

また、Jeff Miyaharaの手引きで、2曲を初の海外(LA)レコーディング。そのうち“CELEBRATE”は仮面パーティー的な〈妖しさ〉と〈怪しさ〉が共存するアップリフティングな楽曲となっている。もう1曲の“BYE BYE MY FRIEND”は、エイコンやネリー、ジニュワインらに楽曲提供経験を持つソングライター・チーム、クーヤ・プロダクションズの制作。イントロのシンセがモロに80sの歌謡曲を彷彿とさせる仕上がりで、彼女のレパートリーでもっともポップな一曲となった。ちなみに彼らは日本の音楽に詳しいわけではないそうだが、LAでこのJ-Pop感!?という、なんとも摩訶不思議ないきさつで生まれた曲なのだ。

「でも、なんのためらいもなくやってました(笑)。その場の空気でビビビと来たんですよね。あと、10月のライヴでお客さんの反応が良かったのが“LOL!”と“5 -FIVE-”で。じゃあ、こういう曲もアリなんじゃない?って」。

アップ・ナンバーのうち、彼女が「いままでの流れっぽい感じがあるから、歌ってて楽しかった。迷いなくやれる感じ」と挙げたのは“SWITCH⇔”。また、カミカオルが詞曲共に手掛けた“LOVEHOLIC”も注目で、男性を誘惑して〈お口あけて待ってて♪〉なんていうセクシャルな歌詞はメイサにしか歌えないし、サウンドもプリミティヴなビートの上でひしゃげたシンセ・ベースがブヨブヨ這い回るエキセントリックなダンス・トラックに仕上がっている。しかも、そこではこれまで聴いたことのないようなファンキーな歌声も披露(特に冒頭のシャウト)。変態的というかキモかっこいいというか、なんとも中毒性の高いナンバーに仕上がっているのだ。

「(『MAGAZINE』の聴きどころは)この一枚で毒と蜜を吸えるところじゃないですか。強いところももちろん残ってるし、あまのじゃくな部分もあるし、でも弱いところも見せつつ……。ひとりで寂しいって言っておきながら、ひとりで生きていけるって言いつつ……。そんな感じだけど、でも、人間そんなもんじゃないのかなって思うから」。

リリースに際し、「新しい黒木メイサを知ってもらえるかなっていう気持ちとか期待のほうが強い」と語った彼女。本作はタイトルにちなみ、2種類ある初回盤はほぼA4サイズの〈雑誌〉仕様で登場。これまでの全PV、もしくは10月のワンマン・ライヴ映像を収めたDVDをパックして、さらに2種でそれぞれ内容の異なる撮り下ろし写真や本人のロング・インタヴューが掲載されている。これを観て、読んで、聴けば、あなたが知らなかった黒木メイサにきっと出会えるはずだ。

 

▼黒木メイサのニュー・アルバム『MAGAZINE』。

左から、PVなどを集めたDVD付きの初回限定盤A、ライヴ映像を収めたDVD付きの初回限定盤B、CDのみの通常盤(すべてソニー)

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