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インタビュー

INTERVIEW(2)――なんでも受け止める姿勢

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2010年12月15日 18:00

インタヴュー・文/澤田大輔

 

なんでも受け止める姿勢

 

――ファッションショウの音楽を手掛けるミュージシャンは珍しくないと思いますが、Nishiharaさんほど膨大に担当している人はいないんじゃないでしょうか。

「いろんなことの結果だと思うんですけど、僕の場合は自分のアルバムがなかなか作れずに悩んできたってこともその理由のひとつじゃないかと思います。まだ子供だった頃に〈アルバムは自分の名刺だ〉みたいなことをよく言われていたんですよ。その言葉をそのまま受け取りすぎてしまって、クリエイターとしての自分の分身みたいな作品を作り上げなきゃアルバムにならない、みたいに思い込んでたところがあって」

――自分のすべてを表現しなきゃ駄目、みたいな?

「ええ。でも、それはなかなかできないですよね。本当のところはアルバムって、現在進行形の自分の姿をその都度映し出したものだと思うんです」

――そういう発想の転換があって、ご自身の作品が作れるようになった?

「そうですね。最初のアルバムが出せたのは30歳くらいの時だったんですけど、そこまで時間がかかってしまったのは、お仕事として音楽をずっと作り続けてきたことも影響しているのかもしれませんね。仕事の場合は当然、なんらかのオーダーをもとに制作するわけで、そうやっていろんなタイプの音楽を作ってるうちに、自分が本当に好きな音楽がわからなくなってしまった時期があって。それで、自分がやりたいものを改めて見つめ直したんです。そうしないと、この先ずっと音楽をやっていくのは無理だと思いましたし」

――そういう悩んだ時期を経て作品が生み出せたきっかけはなんだったんでしょうか。

「ここまでのお話ではあまり出て来なかったんですけど、高校生の時にジャズに出会ったことが自分のなかですごく大きかったんですよ。もともと親がジャズ・ピアニストなんですけど、親の好きなものって思春期くらいだと否定しがちじゃないですか。自分も〈絶対好きにならない〉くらいに思ってたんですけど、高校3年生頃に〈もうジャズしかない!〉くらいに目覚めてしまって」

――自分の好きなものを突き詰めたらジャズだった。

「そうですね。それで作りはじめたものが最初のアルバムになったんだと思います」

――当初Nishiharaさんはジャジー・ヒップホップの文脈で紹介されましたけど、いわゆるジャジー・ヒップホップとは違いましたよね。もっと幅のある音楽というか。

「親の師匠がピアニストの山下洋輔さんなんですが、〈どういう人を尊敬しますか?〉と山下さんに訊いたら〈ものを作る人はみんな尊敬する〉という答えだったらしいんですよ。僕のなかにその言葉が大きく残っていて。ジャズって、〈これはジャズじゃない〉みたいに厳しく議論するような世界だと思っていたんですけど、山下さんという巨匠の言葉はまったく逆なんですよね。そういう、なんでも受け止める姿勢がジャズのあり方として納得のいくものだった。その意味での〈ジャズ〉を吸収して作ったのがファーストの『Humming Jazz』だったんです。形式はジャジー・ヒップホップ的なものではあったんですけど」

――型にはまったジャズ観とは違うところで作ったわけですね。

「もちろんオーソドックスで形式のしっかりしたジャズも好きなんですけどね。でも〈こういう形のジャズもあるんじゃないか〉とか〈こういうものをジャズと呼んでもおもしろいんじゃないか〉ってことを提案したかった。ファーストはいわゆるジャズとはまったく違いますけど、でも『Humming Jazz』というタイトルを付けることで、リスナーの方もジャズを念頭に置いて聴いてくださった。そういうこと自体がすごくジャジーなことで楽しいし、音楽をよりおもしろくするんじゃないかと思うんです」

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