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インタビュー

INTERVIEW(2)――異なった血が混じるおもしろさ

 

異なった血が混じるおもしろさ

 

――ファッション面で言えば、デコラティヴであり、ゴシックであり、かと思えば、どこか未来的な無機質さもある。ちなみにヴィジュアル面は、音楽とは別のところで興味を持たれてるんですか?

「元から自分たちが好きだった人を振り返ると、音楽のなかにそういう要素を採り入れてる人が多かったから……だから興味を持ったんだと思うんですけど。忘れちゃってるけど、たぶんそうだと思いますね。あとはまあ、音楽以外の趣味とかもあるじゃないですか。えー、パッと思いつかないけども。例えば、すごい好きなデザイナーとか……」

――それはファッション・デザイナー?

「いろいろありますよね。ファッション・デザイナーの場合もありますし、CDのジャケットのデザインとかもそうだし、絵画とかもそうですよね。あとはロシア・アヴァンギャルドみたいな……簡単に言ったらシュールレアリズムみたいな……超言いたくない感じの(笑)。みんな、わりとそんなのが好きだったりするんですよ」

――XA-VATは、そういう感覚の共有から始まっているんでしょうか? 〈こういう音楽をやりましょう〉というところではなく。

「ああ、〈こういう音楽をやりましょう〉っていう話をしたことはないですね。どういう音楽やってるかはお互いにわかってたし……ロクに話したことなくても、こういう音やってりゃこういうのが好きなんだろう、ってなんとなくわかるじゃないですか。でね、それがごちゃ混ぜじゃ駄目かもわかんないけど、いいとこ取りできたらおもしろいかな、と。あとはまあ、各々自分が中心となってバンドなりプロジェクトなりをやっているので……フロントの3人は、自分で歌も歌って、トラックも作って、っていう人たちなんですよ。それがバンドとして4人になると、変わるじゃないですか。自分が一人でフィニッシュしたらこういう曲になるんだけど、他の人に投げたことによってこんなふうになったか、みたいな。XA-VATはいわゆるシーケンスが組まれてるような音だけれども、そういうところに違う人の血が入ってくる感じがおもしろいんじゃないかな、って。それはたぶん、それぞれが思ってることだと思うんだけど……やっぱりね、いつもは0から100まで一人でやる人が集まっているので、難しいところもありますよ」

――お互いに譲れない部分があったり?

「譲れない部分はないんだけれども、一人でトラックを作るってことをずっと続けてると、例えばリズムを作ってる時はリズムのことしか考えてないんだけど、勝手に(頭のなかで)歌が鳴ってたりギターが鳴ってたりするんですよ。で、それを人に投げると、まるっきり違うものがついてくる。それを最初はこう……なんていうんですかね? ダイレクトに受け入れられないところは、全員ありますよね。少し時間が経ってくるとなんてことないんですけど」

――そこで自分のイメージに近付けようとすると、他のメンバーの個性を殺してしまうことになりますからね。

「そうなんですよ。それをやったらXA-VATとしてやってる意味ないし。そういう部分は、もう少しやらないと……かな、って思いますね」

 

XA-VAT_2

 

――とすると、このXA-VATというプロジェクトは一時的なものではないということですか?

「それはまだわからないですね。〈他に俺、何個かバンドやってんでしょ?〉って感じなんで」

――そうですね。

「ですよね? たぶんね」

――たぶん、ですか(笑)? GOATBEDもcali≠gariも、継続してるんですよね?

「……なんかね、〈これからはこれ(XA-VAT)をガッチリやります〉っていう気持ちが最初はあったんだけど、やってるうちに、何個かやってるバンドのうちの一個でいいんだろうな、って思ってきたんですよね。自分のソロみたいなのがあって、このバンドもあって、っていうのだと、他の人たちもキツイだろうし。かといって、期間限定で、っていうのでもないんですけど」

――やれる時に、やる。

「そうですね。そういうやり方のほうが合ってるんでしょうし」

――私の予想としては、現在のGOATBEDの編成では実現できない部分をXA-VATでやるのかな? というものもあったんですが。

「俺に関して言えば、最初はそれも思ってましたね。この音楽で、GOATBEDと明確に分けることは無理なんですよ。GOATBEDとして作ろうと思ってた曲とか、そういうのもXA-VATで出してるし。ただ、XA-VATと同時にGOATBEDはやらないっていうだけです。だからすげえGOATBEDとかぶってるところもあるだろうし、全然違う感じのもあるだろうし……なんかね、GOATBEDっていうのは、なかなか難しいですよ」

――どういうところが?

「そう訊かれると、また……うーん、単純に言ったら、〈気分が乗らない〉的な? 普段はあんまり言わないですけど、GOATBEDに関しては、自分のなかでいろいろあるんですよね。何枚もCDを出してますけど、毎回考えてることがあって。最初は、まあ簡単に言ったらデモテープみたいな音質でCD出してやろうか、みたいな。じゃあセカンド・アルバムどうしましょうか? MDみたいな音で出してやろうか、とか。曲もそうですけど、〈次はこうやろう〉みたいな考えがあって初めて取り掛かれるところがあるんですけど、そういうのがもう、いまは、まったく……。

――ない?

「ないし、一人でやるのもなんかカッコ悪いじゃないですか。自分の横にパソコンとか置いて、スイッチを押してウワァーって歌っても……そういうんじゃねえし(笑)。だけどGOATBEDで、誰か新しいメンバー入れてやるっていうのもいまさら無理だっていう感じもありますからね」

――そこに今回のプロジェクトの話が持ち上がったと。

「そういうことです」

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掲載: 2010年12月01日 18:01

インタヴュー・文/土田真弓