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インタビュー

キリンジ 『BUOYANCY』

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年09月22日 15:30

更新: 2010年09月22日 15:30

ソース: bounce 324号 (2010年8月25日発行)

インタヴュー・文/久保田泰平

 

さらなる〈New〉を求めてより高いレヴェルでみずからのポップネスを磨き上げたニュー・アルバム『BUOYANCY』が完成!

 

 

およそ2年半ぶり、通算8枚目となるキリンジのニュー・アルバム『BUOYANCY』は、かつてないレヴェルで音楽的野心や冒険心を発散させながら、〈お馴染みのキリンジ〉から〈あり得なかったキリンジ〉までを聴かせてくれる作品だ。

「それまでのキリンジとは違うものを作りたいっていう気持ちが、僕は強かったですね。例えば、これまでわりと多用してきたジャズ的なテンション・コードを、都会的な感じ、シャンパン臭くない感じ(笑)で使うにはどうしたらいいかってところに苦心したり」(堀込高樹、ギター/ヴォーカル)。

脱・シャンパン──キリンジはしばしば、AORやシティー・ポップなど整合感のあるポップスのカテゴリーに準えて語られることも確かにあり……。

「自分たちはそういう音楽以外からの影響も多いんだけど、どうしてもそれまで積み重ねてきたクセというか、放っておくとやっぱり整合感のある70年代後半的なものに寄っていくんですね。それでまあ、今回はもうちょっと違う景色が見たいっていう気持ちがまずあって、骨格の段階から自分の作風を見直すみたいなことを結構意識してましたね」(高樹)。

「僕はわりと馬の骨のセカンド(『River』)からの流れでやってて、サウンド面ではバンジョーが入っていたりハーモニカが入っていたり、馬の骨で得たものをキリンジに還元するとどうなるのかなっていう感じでした。ただ、例えばレゲエっぽいことをするにしても、裏打ちのリズムを弦楽器のピチカートでやるとか、リズムはレゲエなんだけど、曲の後半でフォルクローレっぽいメロディーが出てくるとか、キリンジじゃないとあり得ない組み合わせっていうんですかね、そういうことをして自分たちらしいものにしていくっていう意識はありましたね」(堀込泰行、ヴォーカル/ギター)。

目論みが異なるゆえに、楽曲のキャラクターも多彩。夏特有の躁な気分をポップなサウンドへと転化させる“夏の光”、古めかしい慣用句がフックになった旅情ポップ“温泉街のエトランジェ”、ラーガ風味がジットリとした歌詞のテーマとマッチする“台風一過”、高樹のエキセントリックなリード・ヴォーカルに意表を突かれるニューウェイヴ・ファンク“都市鉱山”などの高樹曲、バンジョーとハーモニカをフィーチャーしたカントリー風“ホライゾン!ホライゾン!”、ラウンジーなポップ・レゲエ“Rain”、ファンタジーなバラード“空飛ぶ深海魚”、8ビートのメロウ・ナンバー“秘密”などの泰行曲といったように、とにかくいろんな音が鳴り、いろんなムードを各楽曲が放っている。

「ヴァラエティーに富んでるんだけど、実は同じ音を使ってみたりとか、細かい部分だけど共通項を持たせたりしてるんですよね。だから、楽曲のキャラはひとつひとつ濃いんだけど、繋がりがすごくいいっていう。あとはまあ、音の選び方とか、ありものに近付けるっていう発想はまずなかったですね。クラシックってもともと川のせせらぎをピアノで表現する……みたいなところから着想して曲を作るって言うじゃないですか。なんか、そんな感じで」(泰行)。

「夏っぽい曲もあるけれど、それは狙って作ったというより、例えばハイな気分を味わってほしいからパッドやタムを延々と鳴らしてる、開放感を味わってほしいところでリズムが抜けるとか、ある感情を表現するためにはどういうサウンドにしたらいいかってところで、曲なりアレンジなりを詰めていった感じなんですよ。本来、音楽ってそういうふうにするべきだと思うんだけど、特に僕なんかはレコードをいっぱい聴くという経験をしてしまったがために、何かを手本にして物事を作るっていうところからなかなか逃れられなかった。今回のアルバムは、僕も泰行も必要な音を必要なだけ盛り込んだ感じで、すごくオリジナルなものになったなあって思いますね」(高樹)。

 

▼関連盤を紹介。

左から、馬の骨の2009年作『River』(コロムビア)、堀込高樹が楽曲提供した南波志帆の2010年作『ごめんね、私。』(ポニーキャニオン)

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