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インタビュー

B.I.G. JOE 『RIZE AGAIN』

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年03月24日 17:30

更新: 2010年03月24日 17:44

ソース: bounce 318号 (2010年2月25日発行)

文・インタヴュー/一ノ木裕之

 

異国の空の下、ひたすら胸の内に移ろう言葉を吐き続け、復活の時を待った6年――そしてついに、この男の真の夜明けが訪れる!

 

 

PAPA-Bの影響のもとマイクを握り、いくつかのグループで活動。後にみずから先頭に立ってMIC JACK PRODUCTIONを結成し、北海道は札幌を拠点に日本語ラップ・シーンの耳目を集めてきたB.I.G. JOE。グループのファースト・アルバム『Spiritual Bullet』の発表後に起こした事件により、彼はオーストラリアで6年の歳月を服役に費やした。しかし、その間も彼がペンを折ることはなかった。刑務所の電話越しに放ったラップを作品化した『THE LOST DOPE』に始まるソロ関連作とグループの作品は、その不在を埋め合わせるだけでなく、聴き手の大きなサポートを彼にもたらした。みずから〈試験〉だったと話す6年の刑期を終え、昨年2月に晴れて帰国の叶った彼が、わずか1か月ほどの休息の後にエンジニアと2人でアルバム制作に取り掛かったのも、走らせ続けたペンでリスナーたちに応えるために他ならない。内的な世界に向き合った『THE LOST DOPE』から、訳もわからぬまま囚われの身となり、いわく「混沌としていた」頃の記録とも言うべき前作『CO-ME CLEAN』を経て、今回の新作『RIZE AGAIN』は、帰国が迫り「精神的にも希望に満ち」た思いを胸に書き溜めた楽曲が中心だ。これまで通りみずからの経験や人間性に大きく根を下ろしながら、他で見聞きした話や、リスナーに直接語りかける言葉をより取り込むことで世界に幅をもたらした。

「例えばレオナルド・ダ・ヴィンチの絵とか、音楽だったらモーツァルトのような崇高なものとか普遍的なものはすごく素晴らしいですけど、あまりにも崇高すぎて僕らみたいな一般の人たちには自分のことじゃないような気がする。身近には感じないし、手の届かないアートというか。でも俺の音楽は俺たちの目線のアート。個人的な歌詞ですけど、それでも同じ目線の人たちがこういうことがラップで表現できるんだとか共感できたりする部分があってこそ僕らは生きてると思う」。

さらに、前作に引き続いて参加したBUNによるアブストラクトからジャジーなテイストにまで及ぶ音を軸に、威風堂々としたdj hondaのトラックやシンセが煽るSKY BEATZのビート、さらにはMichita、DJ SEIJIの叙情的なサウンドに自身で手掛けたネタ感のあるトラックなどまで音の面でも今回は広がりを見せた。それもこれも「手を伸ばせばそこに人がいる」いまの彼がやれること、やりたいことのすべてを突っ込んだ結果だ。実は10年来の知り合いで常にラヴコールを送っていたというTWIGYをはじめ、NORIKIYOやTSUGUMI(SOULHEAD)らの客演も彼を後押ししている。

「アルバムは成長の過程だし、常にアップデートされるもの。(新作は)本物を自負してやってきた相変わらずのメッセージとタフさ、危うさ、すべてを網羅して音楽的にも垣根のないメロディーラインや歌い回しをより採り入れた僕の進化形。そこで引っ掛かってさらに聴く人たちの生きる糧、バイブル的なアルバムになったら嬉しいかな」。

「太陽が沈むようなもんで、ヘコむのはしょうがないこと。太陽は次の朝になればまた昇る。ヘコむのは上がるための準備だから」――その言葉を彼ほどに身をもって体験したラッパーは少ない。その潰されぬ意志と勇気は、これまでのアルバムの変遷と共に、見通しの利かない時の行く末の道しるべとなるのだ。

 

▼B.I.G. JOEの客演作を一部紹介。

左から、DJ BAKUの2009年作『THE 12JAPS』(POPGROUP)、RUMIの2009年作『Hell Me NATION』(Sanagi/POPGROUP) 

 

▼『RIZE AGAIN』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

左から、Michitaの2009年作『Dawning』(ILL DANCE)、NORIKIYOの2008年作『OUTLET BLUES』(EXIT BEATS)、SOULHEADのニュー・アルバム『SOULHEAD』(avex trax)、DJ Tosh of Climberの2009年作『Wena Po!』(NICO STUDIO/ILL DANCE)

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