怒髪天 『オトナマイト・ダンディー』 ロング・レヴュー
〈男は黙って〉というダンディズムがある一方、、胸の奥底から沸き上がる喜怒哀楽を大きな声で激情たっぷりに歌い上げる怒髪天のR&E(リズム&演歌)もまた、まごうかたなきダンディズムのひとつの形である。
数え切れないほどの職歴を重ねながらも、目まぐるしくトレンドが移り変わるロック・シーンに身を置いて己の追及するR&Eを絶えず研鑽してきた増子直純。彼の言葉には〈現場ワイズ〉に満ち溢れた圧倒的なリアリティーと透徹したダンディズムとが同時に宿っている。そして、それをガッシリと支えるバンドのサウンドも、もはや磐石の極みに達したと言えるだろう。結成から26年。積み重ねたキャリアは伊達じゃないのだ。
そんなバンドの好調ぶりを物語るように、前作から11か月という短いスパンで届けられたニュー・アルバム『オトナマイト・ダンディー』。開放的なサウンドに乗せて大人であることの喜びを高らかに歌う“オトナノススメ”、怒髪天版“My Way”ともいうべき俺賛歌“ド真ん中節”、肉食系としての心意気を豪快にブチ上げる“アフター5ジャングル”など男気溢れるR&Eに加え、80'sポップを思わせるキラキラしたシンセの音色が新鮮な“オレとオマエ”、増子の切ない歌声が心に沁みる〈ネオアコ meets R&E〉な“俺ときどき…”など、新機軸とも言える楽曲が収録されている。時折見せるセンティメンタルな横顔もなかなかどうして素敵じゃないですか、兄貴!
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