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インタビュー

FLORENCE AND THE MACHINE(2)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年08月05日 18:00

更新: 2009年08月05日 18:01

ソース: 『bounce』 312号(2009/7/25)

文/岡村 詩野

愛、痛み、死、人生……

 簡単に経歴を紹介しておこう。現在22歳、南ロンドンはカンバーウェルで生まれたフローレンス・アンド・ザ・マシーンことフローレンス・ウェルチは、父親の影響でローリング・ストーンズ、ニーナ・シモン、ダスティ・スプリングフィールドなどを聴いて育った。そのなかにはインクレディブル・ストリングス・バンドのようなフォークもあったそうだが、彼女自身は分け隔てなくさまざまな音楽に触れ、そして次第にパンク・ロックに目覚めた末に自分でもパンク・バンドを結成したという。

「とにかくいろいろなものを聴いていたから、何が決定的だったのかは正直まったくわからないの。強いて言えば、トム・ウェイツ。彼にはもっとも直接的に影響を受けたと言えるわね。でも、ソウルにもダンス・ミュージックにも影響を受けているのよ。ヒップホップだって好きだわ。同じように、いつ曲を作りはじめたのかも思い出せないの。何のプランもなく、ただ曲を書き、自分の世界観を掘り下げはじめたら、書くのが止められなくなったのよ。そういう意味では、誰を目標としていたっていうのもないわね」。

 音楽に対して明確な目標や目的を意識していなかった彼女は、イラストレーションを学ぶためにアート・カレッジへ進学。しかし、2006年のクリスマスに現在のマネージャーと知り合い、本格的なデビューをめざすこととなる。この時、まだ彼女は10代。その後発表する2枚のシングルからは、ティーンエイジャーらしい、ただただ本能の赴くままに音を鳴らし、声を出した結果の産物とでもいうようなエモーションが伝わってきたものだった。本国でもフィオナ・アップルやPJハーヴェイ、エイミー・ワインハウスといった〈子宮で音楽を作る〉タイプの女性アーティストと比較されることが多かったようだ。だが、「アーケイド・ファイアを聴いて世界が変わるくらい衝撃を受けた!」と熱く語り、一方で「いま共演してみたいのはビヨンセ」と大きな夢を語る彼女にとっては、音楽性でやりたいことを絞り込むなんて無意味なのだろう。実際に彼女の音楽はシアトリカルであり、クラシカルでさえある。

「同世代ではいっしょにツアーを回ったMGMTとかも大好きなの。でも、私自身ギターは弾けないのよ。だから、ギター中心のアルバムを作ることはまずあり得ないと思う。ドラムやピアノとか、他にもいろんな楽器を使っていくのがいいわね。(アルバムに収録の)“Kiss With A Fist”を書いたときは、部屋のなかに鍵盤があって、頭を壁に向かって振ったりしながらドラム・パートのイメージを作っていったのよ」。

「音がガイドになって詞が思い浮かぶ」と自身も認めるように、彼女の音楽はそのサウンド・テクスチャーの質感が何よりの鍵。ややもすれば大仰な表現に走りがちな作品も、乾いた感触、どこかヒューマンな温もりを携えているからこそ、〈フォーキーなもの〉として伝わってくる。そして、その乾いていてヒューマンな音の質感こそが、新感覚のフォーク・ミュージックを表すキーワードではないだろうか。

「タイトルの〈Lungs〉というのは肺。すなわち、声を出す場所よね。そして心臓の鼓動はドラム・サウンド。つまり、フローレンス・アンド・ザ・マシーンは声とドラムで初めて出来上がったもの。ザ・マシーンはいわば肉体ね。音楽の肉体。そして、その中心にあるのは、愛、痛み、死、人生、光なんだと思うわ」。

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