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インタビュー

the telephones

心や身体がピクリとも動かない巷のロックには、こんな衝撃が必要だ! 誰もが驚愕する究極のダンス・ミュージックで、日本の音楽シーンが地殻変動を起こす!?

このバンドがわかりはじめた

  アナタの退屈な日常を転覆させるため、狂騒のダンスフロア・モンスター=the telephonesがやってくる! 今年4月に渋谷CLUB QUATTROで行われたツアー・ファイナルで、突然発表された彼らのメジャー・デビュー。2007年以降、これまでにミニ・アルバムを含めて3枚のアルバムを発表し、怒涛のようなライヴ活動に明け暮れてきたこのバンドにとって、メジャーというフィールドはどのように映っているのだろうか。

 「心境的にはあまり変わってないけど、やることがいちいち大事になってきている感じはありますね。そんな時だからこそ、自分を見失わないようにしないとダメだなって。あとは遅刻をしないようにとか、人としてちゃんとしようと思いました(笑)」(石毛輝、ヴォーカル/ギター/シンセサイザー)。

 「社会人デビューみたいなものなんですかね、メジャー・デビューって(笑)」(岡本伸明、シンセサイザー/カウベル)。

 彼らはこれまで、ロックの先人たちが残してきた音楽的なアイデアを吸収しながら、ロック本来の魅力である享楽的でダンサブルなサウンドを志向してきた。それは洋楽と邦楽、ロックとクラブ・ミュージックの垣根を取り払い、シーンに風穴を開けようというモチヴェーションのもとで行われてきた活動でもある。しかし、いまはthe telephonesとしてのオリジナリティーを手に入れ、新たな文脈を生み出そうとしている。

 「ようやく、そのタイミングになったという感じですね。僕たち自身、やっとthe telephonesというものがわかりはじめてきたんです。自分たちの作るものにやっと自信が持てるようになったというか、意味が出てきたというか。もちろん、先人の残してくれた財産を大事にしていくことには変わりないんですけど、いまは細かいことを考えずに音楽が作れるようになりました。そんな時だからこそ、〈the telephonesである〉という意識が大事になってきているかもしれない」(石毛)。

 このたびリリースされるメジャー・デビュー作『DANCE FLOOR MONSTERS』は、ロックに対する愛情と、新しいものを生み出していこうとする前のめりな勢いがエネルギーとなって溢れ出した、傑作パーティー・アルバムである。これまででもっともライヴ感を増したサウンドと、ディスコと銘打ちながらも固定概念に囚われることのない、身体が自然と動き出すようなグルーヴ。これが、いま彼らが提示するサウンドなのだ。

 「自分たちの演奏と、自分たちの音。このアルバムではかなりその部分を意識しました。僕はシンセ担当なんですけど、なかには弾いてない曲もあるんです。シンセの音=the telephonesの音じゃないというか。どんな曲を作っても、もう俺たちの音なんだよってことですね」(岡本)。

 「今回は生音でがんばってみようと思ったんです。下手に打ち込みを入れたりしても、ヤケドしちゃうような気もしたし。最近出てくるバンドの音を聴いてると、テクノロジーの力が凄いじゃないですか。僕らはパソコンで曲を作るようなツールは何ひとつ持っていないので、ちょっとかじって採り入れたくらいでは勝てないなと。逆に言えば、ディスコやダンスを謳っているバンドで、僕たちみたいなロック・アルバムが作れる人たちはいないと思うんです。そこがthe telephonesらしさなんじゃないかと思って」(石毛)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年07月08日 18:00

ソース: 『bounce』 311号(2009/6/25)

文/冨田 明宏