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インタビュー

次に爆発するのは誰だ? 注目のエモトロニカ・アクトを紹介! その1

 エモにエレクトロニカ(日本でのそれとは違う広義の意味での電子音楽)を足して〈エモトロニカ〉──パンク~エモ~スクリーモの流れを汲みつつも、そこにエレポップやテクノ、ヒップホップなどの要素をブレンドしたものを最近ではそう呼ぶことが多い。パニック!アット・ザ・ディスコがユーロビートを、ハロー・グッバイがチップ・チューンを、コブラ・スターシップやフォーエヴァー・ザ・シッケスト・キッズがヒップホップを採り入れたように、ロックとダンス・ミュージックの異種交配は無限のヴェクトルを放ち、世界各地にとんでもない怪物を生み落としている。言うなれば、イントロは4つ打ちのシンセから始まり、そこにオートチューンを使ったロボ声ラップを乗せ、そのまま一気にブレイクダウンに雪崩れ込みつつデス声で叫びまくる……なんて塩梅。ジミー・イート・ワールドとスリップノット、アウトキャストとダフト・パンクを同列で聴いて育ったようなこれらニュータイプは、驚くべきことにバンド形態にすらこだわることなく、ソロやデュオで活動するケースが多い。かつてパンク天国と呼ばれた〈ワープト・ツアー〉も、今夏はエモトロニカ天国の様相を呈している始末。〈MySpace〉世代ならではの新しい価値観を持った才能が新たなシーンを創造し、その波がますます大きくなっているのだ。というわけで、ここではそんなエモトロニカ・アクトの注目株を紹介していこう。(塀戸門家)

NO TIME FOR
 今年最大の注目株と言っても過言ではないノー・タイム・フォーは、イタリアから現れたヤング・エモ・ジゴロ5人衆だ。激アゲ・パーティー・アンセム“Dress Up The Get Down”をはじめ、眩いばかりにキラキラのキラー・チューンばかりを詰め込んだ新作『Dress Up To Get Down』(No Time For/INYA FACE)のインパクトは、フォーエヴァー・ザ・シッケスト・キッズのデビュー時に匹敵するほど。マドンナ“Into The Groove”のカヴァーも最高で、US勢がマネできないだろう絶妙なユルユル加減はあきらかにイタロ・ディスコの影響かと。(粟野)

INNERPARTYSYSTEM 『Innerpartysystem』 Island(2008)
今夏の〈ワープト〉にも出演が決定しているペンシルヴァニアの4人組。歌メロは王道のポップさを持ちつつも、どこかニューウェイヴやインダストリアルに通じる無機質さがあって、日本人ウケしそう。ポスト・リンキンの座を狙えるかも!? (塀戸)

I SET MY FRIENDS ON FIRE 『You Can't Spell Slaughter Without Laughter』 Epitaph(2008)
〈MySpace〉にアップしたソウルジャ・ボーイのカヴァーで、エピタフとの契約を勝ち取ったフロリダ出身の変態2人組。終始ふざけすぎの完全中学生ノリで、クランクからデスコアまで何でも呑み込んでいるぞ! (塀戸)

CASH CASH 『Take It To The Floor』 Universal Republic(2009)
アナログ・シンセとヴォコーダー・ヴォイス、煌びやかかつちょっぴり切ない楽曲で人気急上昇中! 〈エレモポップ〉もしくは〈エレポッピーモ〉なんて響きがピッタリの、80'sテイストを満載したキッチュなデビュー作だ。(粟野)

:( 『Kawaii』 Intikrec(2009)
エンター・シカリのリミックスを手掛けたことでも有名な、グラスゴーのコロン・オープン・ブラケットによる初作。ファミコンやゲームボーイのバックに使われているようなサウンドに、ゲット・アップ・キッズ的な歌メロをミックスさせた、チープで爽やかな8ビット・エモを大展開! (塀戸)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年05月28日 17:00

更新: 2009年06月05日 15:04

ソース: 『bounce』 310号(2009/5/25)

文/粟野 竜二、塀戸門家