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インタビュー

JIM JONES

覇権は誰が握っている? シーン全体に熱を吹き込める数少ないひとり、愛すべきハーレムのキングが、いま堂々と君臨する!!

思った以上のヒットだった


 「インディーじゃ儲からないとか言うヤツもいるけど、それは仕事の仕方が間違ってるからだな。ちゃんとやるべきことがわかってるヤツならそんなことは言わねえだろう(笑)」。

 そううそぶくのは、〈ボォォリィィ~ン!〉のフレーズでオナジミな“We Fly High”のビッグ・ヒットと、同曲を収録した『Hustler's P.O.M.E.』(2006年)がインディー・リリースながらもゴールド・アルバムとなり、ヒップホップ・ゲームで確実に勝ち上がっているジム・ジョーンズだ。これまではインディー最大手のコッチ(現E1)からリリースしてきた彼だが、このたび、リック・ルービンの重役就任で注目を集めた大メジャーのUSコロムビアとディールを結び、オリジナル・アルバムとしては2年半ぶりとなる『Pray IV Reign』をリリースした。

「インディーであれだけできたっていう自信もあるし、俺にしてみれば他のアーティストと同じだけ成功できるはずだと思ってるから、今回はステップアップして、このデカいマシーン(コロムビア)が俺に必要なプロモーションやマーケティングを担い、レコードを手渡すべき人々の手元にちゃんと届けてくれることを期待してるよ」。

“We Fly High”のヒット以降、ゲームやDJドラマ、アンクにキッド・カディ、はたまた記憶に新しいバスタ・ライムズやビッグ・チーフなど地域や世代を超えた数々の客演をこなすだけでなく、自身の率いるバードギャング名義でのアルバム・リリースや『Harlem's American Gangster』をはじめとしたストリート・ワークス、そしてジェイ・Zとのビーフやディップセットの内紛劇といったトピックスの提供……と、いろんな角度から話題を提供してきた彼が、現在のNYシーンでもっともホットなMCのひとりだということに異論はないだろう。

 そんなイケてる男が新たに放ったのは、〈ポップ・シャンペェ~ン、オォオォォ~!〉ってな、これまた思わず口ずさんじゃいそうなフックがインパクト大な新作からの先行ヒット“Pop Champagne”だ。オートチューン・ムーヴメントの立役者=T・ペインさえジェラったほどの同曲をプロデュースしてオートチューン・ヴォイスを披露するのは、ジムと同じハーレム出身でバスタのストリート・ヒット“Arab Money”(ジムもリミックスに参加)も手掛けた旬な男、ロン・ブロウズだ。この曲が当初はロンのソロ名義曲だったのも有名な話で、嗅覚の鋭さっつーか、フットワークの軽さはいまのヒップホップ・ゲームにとって必要不可欠なスキルなんだが、同曲の完成にまつわるジムのアクションはまさにその賜物と言える。

「ある日ラジオでこの曲がかかってたんだ。ロンがアーティストになりたがってるのは知ってたから電話して、スタジオに呼んでヴァースを提供したんだ。そうすればヤツのキャリアにも役立つだろうと思ってね。それがいまじゃ現象みたいなビッグ・ヒットになった。俺たちが思ったよりもずっとデカいものになったけどな。特に“We Fly High”みたいなビッグ・ヒットを飛ばした後だったし、またデカいヒット・チューンで俺の名前を出していけるってのは最高の気分だね」。
▼『Pray IV Reign』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年05月21日 09:00

更新: 2009年05月21日 17:20

ソース: 『bounce』 309号(2009/4/25)

文/升本 徹