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インタビュー

Velvet Revolver(2)

オレたちは自由なんだ!

 全米チャート1位に輝き、世界中で300万枚のセールスを記録したデビュー作『Contraband』から3年、彼らのニュー・アルバムが完成した。タイトルは、スペイン語で自由を意味する『Libertad』。

「スコット(・ウェイランド、ヴォーカル)のアイデアだったんだよ。オレの奥さんはキューバ人でスペイン語が話せるから、すぐにそれが〈自由〉っていう意味なのがわかって、すごくイイと思った。ヴェルヴェット・リヴォルヴァーの世界観、オレたちが表現しようとしてることにも繋がるからな。オレたちはいつもやりたいことをやろうとしてるし、どうしようもないことや、噂話や、たくさんの衝突を乗り越えてやってきたんだ。だから、〈Libertad〉はオレたちの気持ちを表明するのに最適なタイトルなんだよ。アメリカの25セント硬貨にもリバティーって書いてあるしさ(笑)」。

 オルタナ~ヘヴィー・ロックの数多くの名作を手掛けるブレンダン・オブライエンをプロデューサーに起用した今作は、自由で風通しの良い、ポジティヴィティーに満ちたロックンロールが鳴り響いている。ヴィンテージ感漂う激渋ナンバーからモダンなビートを取り入れたポップな手触りの曲、甘美なメロディーで彩られたグラマラス・チューンまで、楽曲ごとのアレンジも実に多彩。そして何より耳を惹くのが、サウンド全編に貫かれている、5人の体温や息遣いまで伝わってくるような生々しいライヴ感だ。

「今作でのブレンダンの貢献は大きかった」とスラッシュ。

「ブレンダンは〈すごくイイよ、次に進もう〉って感じで迅速なんだ。だから生っぽいんだよ。実際にライヴ・レコーディングをしてるしね。ギター・ソロも全部ライヴで録音して、大半は1テイクで終了さ。そういうやり方だったから、このアルバムには自然発生的なライヴの感触があるんだと思う」。

 また、スコットのヴォーカルも一段と表情が豊かになり、エモーションの表現レンジがぐっと広がった。

「彼は本当に驚異的なシンガーだよ。前作ではスコットの全体的なエネルギーがダークだったんだ。彼はすごくダークな時期を過ごしてたから、それが楽曲からも聴こえてくる。でもこのアルバムはより音楽的になったし、すべての曲がポジティヴでアップリフティングだよな。それは、これを作っていた時の状況を反映してるんだ。レコードっていうのは、実際に人生で起こってることのスナップ写真のようなものなんだよ」。

 ヴェルヴェット・リヴォルヴァーが、元ガンズ・アンド・ローゼズと、元ストーン・テンプル・パイロッツのメンバーを核としていることは衆知のとおり。けれど、ロックンロール黄金期に培われたタフなアティテュードや、レイドバック感と洗練を併せ持った高機能なサウンド、そして破格のプレイヤビリティーを手にしているこのツワモノ集団は、後にも先にもない、まったくのオリジナル・バンドと言っていいだろう。唯一無二――今作の一音一音が、何よりもそれを雄弁に語っている。

「オレもこのバンドを、そんな単純なものには見てないよ。ダフ(・マッケイガン、ベース)とオレとマット(・ソーラム、ドラムス)がガンズのサウンドで、スコットはSTPのサウンドで、それを合体させようっていう感じではまったくないからね。スコットがSTPで成し遂げたことは素晴らしいし、オレたちがガンズでやったことも良かったけど、それを再構築しようと試みてるわけじゃない。あらゆるものを融合させたサウンドをやろうとしてるんだ。オレたちには、5人のユニークな個性が合わさったオレたちなりのスタイルがある。それは他のどんなバンドにもないものなんだよ」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年06月28日 19:00

ソース: 『bounce』 288号(2007/6/25)

文/鈴木 宏和