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インタビュー

Ne-Yo

世界中を魅了したリリカルなソングブックの第2章が早くも到着……歌声に心を さらわれるのは、メロディーに気持ちを揺さぶられるのは、みんなニーヨのせいだ!

みんなはまだ俺のことを知らない


  昨年の『In My Own Words』で鮮烈なデビューを飾り、グラミー賞の2部門にノミネートされて瞬く間にスターの座に昇り詰めた24歳、ニーヨ。全米1位に輝いた“So Sick”をはじめとする自身のヒットはもちろん、数々のアーティストに楽曲を提供するなどして天才の名を欲しいままにしてきた。しかし、ファースト・アルバムが大ヒットしただけに、今回のニュー・アルバム『Because Of You』の制作に入る前はプレッシャーを感じていたという。

「そうだね。ファースト・アルバムが大ヒットしたら次作のセールスが落ちるっていうジンクスが音楽業界にあるんだけど、そのことが心配だった。しかも、自分が意識しなくても周りの人に言われるから、心配せずにはいられなかった。レコーディングの最初の1週間はプレッシャーを感じてたけど、『In My Own Words』を作った時の感覚を思い出したんだ。前はプレッシャーもなく、ただ純粋な気持ちで大好きな音楽を作っていた。『Because Of You』も最終的には同じ気持ちで作ることができたよ」。

 そんな新作でニーヨは、ソングライターとしての成長を見せつつ、自分の内面をもっとリスナーにさらけ出したかったらしい。

「前作を作った時は、まだニーヨ名義の作品をリリースしたことがなかったから、白紙の状態で新しいキャラクターを生み出して、〈これが自分だ!〉と訴えることができた。でも、いまはファンからの期待がある。みんなは“So Sick”や“Sexy Love”のような曲を求めてるんだ。俺のサウンドがどういうものなのか、みんな決めつけてるんだよ。だから、俺が作り上げたサウンドと、ここ1年間の俺の成長を反映させたかった。『In My Own Words』は成功したけど、みんなはまだ俺自身のことを知ることができてないんだ。だから、ニュー・アルバムでは自分の内面を深く掘り下げて表現したかった。リスナーがアルバムを聴き終わった時に、俺自身のことがもっとわかるようにしたかったんだ」。

 先行シングルの“Because Of You”はすでにラジオでヘヴィー・ローテーションになっているが、この楽曲にはニーヨ自身の赤裸々な恋愛体験が反映されている。

「この曲は、いっしょにいてはいけない人といることについての曲なんだ。例えば彼女と別れたんだけど、彼女とのセックスの相性が良かったとしよう。その彼女から電話がかかってくる時は、彼女がセックスを求めてることがわかるんだ。彼女に会いに行かないほうがいいことはわかってるし、彼女との関係に未来がないことはわかってるんだけど、なぜか会ってしまう――そういうことについての曲なんだ」。

 ニーヨはスウィートなメロディーと歌詞を得意としているが、彼の類い稀なメロディーセンスと想像力豊かなストーリーテリングの技量が融合して出来上がったのが“Angel”だ。

「“Angel”はコンセプト・ソングなんだ。〈もし天使と恋に落ちたらどうなるだろう?〉ということを想像してみたんだ。天使は神にもっとも近い存在だから、天使と恋に落ちるのは至福だと思うんだ。でも、天使は神様のものだから、自分がどんなに天使と愛し合っていても、最終的に天使は天に戻らなければいけない。天使を自分のものにすることはできないんだ。だから、至福と苦しみを同時に味わうことになる」。

 幅広いアーティストに影響されてきたニーヨは、アルバム中の楽曲を自分のヒーローに捧げているという。

「この新作には、俺に影響を与えたアーティストたちへのトリビュートが随所に入ってるんだ。例えば“Because Of You”にはマイケル・ジャクソンの要素が入っている。“Addicted”と“Angel”は、プリンスに捧げた曲なんだ。“Do You”はスティーヴィー・ワンダーが歌いそうな曲さ。こういう曲を作ることで、俺がどういう音楽を聴いてきたかをみんなに見せられるんだ。自分自身のことをみんなに知ってもらうための手段だよ」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年05月17日 21:00

ソース: 『bounce』 286号(2007/4/25)

文/バルーチャ・ハシム