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インタビュー

OutKast(2)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年09月14日 23:00

更新: 2006年09月28日 22:38

ソース: 『bounce』 279号(2006/8/25)

文/高橋 芳朗

音楽が動かすもの

 アルバムはグリッティなフット・ステッピング・ブルース“Idlewild Blue(Don't chu Worry 'Bout Me)”やホンキー・トンクなピアノ・プレイも楽しいエレガントなスウィング・ジャズ“When I Look In Your Eyes”などアンドレのソロ曲が8曲、ビートルズ・マナーのコーラスにファンカデリックのグルーヴを掛け合わせた“N2U”やサイケなシタールの調べがノスタルジアを喚起する“The Train”などビッグ・ボーイ主導のトラックが7曲と、前作に引き続いて基本的には分業体制が敷かれている。その一方、ここでは両者のコラボレーションも計4曲に及び、なかでもキャブ・キャロウェイの“Minnie The Moocher”を引用したリード・シングル“Mighty "O"”では解散説/不仲説を一掃する力強いタイトルにも打ち出されているように、約6年ぶりにアンドレとビッグ・ボーイが揃ってラップを披露している。

「ただ単に良い曲を作りたかったんだ。このアルバムのシングルになるようなね。映画の時代設定に相応しいものを作ろうとして、スタジオでビートを流しながら例のキャブ・キャロウェイの掛け声を口ずさんでみたんだよ。 30年代でいちばん有名なアーティストっていったらやっぱりキャブ・キャロウェイだろ? で、〈Hi De Hi De Ho〉ってフレーズを〈マイティー・アウトキャスト〉を意味する“Mighty Hi Di O”に置き換えてみたってわけさ」(アンドレ)。

 その“Mighty "O"”にてアウトキャスト作品では久々に腕を振るうオーガナイズド・ノイズをはじめ、アルバムのプロデュースはアンドレ、ビッグ・ボーイ、Mr DJ、スリム・ジム、ネイト“ロケット”ワンダー、ケヴィン・ケンドリックスらが担当。ゲストにはスヌープ・ドッグやリル・ウェイン、メイシー・グレイも名を連ねているが、スリーピー・ブラウンやスカー、ジャネル・モネイ、キラー・マイク、クージョー・グッディ(グッディ・モブ)、ワイルド・ピーチなどなど、こちらも制作陣と同様にほぼダンジョン・ファミリー/パープル・リボン勢で固められている。それらのなかでは共に3曲に参加したスリーピーとスカーの活躍が際立っていて、とりわけ地元アトランタのモーリス・ブラウン大学マーチング・バンドをフィーチャーした“Morris Brown”に宿っためくるめくスウィートネスは彼らの好演によってもたらされているところが大きい。

「“Morris Brown”のトラックはもともとTLCのために作った曲なんだ。ただ、彼女たちも気に入ってくれてはいたんだけど、結局採用されるまでには至らなくてね。そんなわけでしばらくはスタジオに寝かしておくことになっちゃったんだけど、ある日スカーにビートを聴かせたらメロディーを書きはじめてさ。その後でビッグ・ボーイが加わってあの形に仕上がっていったんだ」(アンドレ)。

「モーリス・ブラウン大学はここ数年ちょっと評判が落ちてるんだけど、昔はモアハウスやクラークと並ぶ優秀なブラック・カレッジでマーチング・バンドがすごく有名なんだ。この曲では音楽を通じて生まれる人々の感情を表してるんだよ」(ビッグ・ボーイ)。

“Morris Brown”でスカーが歌う〈音楽が世界を動かす/どこに向かっているかなんてわからない〉というロマンティックなリフレインは、さながらアウトキャストの魅力のなんたるかを端的に言い表しているかのようだけれど、諦観を未来への活力にコンバートするようなこの曲のニュアンスはまさしく〈ブルース〉という言葉に置き換えることができると思うし、それは『Idlewild』の全編に通底するフィーリングだ。30年代を出発点とする今回のアウトキャストの音楽旅行は、ブラック・エンターテイメントのタフな生命力の秘密に迫る有効なヒントを示唆しているのである。
▼アウトキャストの過去作。

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