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インタビュー

Mice Parade

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年04月07日 16:00

更新: 2005年04月07日 18:21

ソース: 『bounce』 263号(2005/3/25)

文/村尾 泰郎

ギターのビートに着目してトライバルなサウンドに磨きをかけた新作『Bem-Vinda Vontade』は、新たな冒険を始めるマイス・パレードの記念すべき第一歩だ!!


 ムームのツアー・サポートに参加したり、スワーリーズやヒムにはメンバーとして関わったり。そうかと思えばクラムボンのアルバム『id』を一部プロデュースしていたりと、世界の音楽シーンを駆け巡る冒険家のような横顔で、ドラム・スティックを握るアダム・ピアース。そんな彼から、自身のユニットであるマイス・パレードのニュー・アルバム『Bem-Vinda Vontade』が1年半ぶりに届けられた。思えば前作のタイトルも、ポルトガル語で『Obrigado Saudade』。前作が〈郷愁よ、ありがとう〉なら、本作は〈ようこそ、意志〉といったところか。

「姉妹作にするつもりじゃなかったんだけど、2枚のアルバムから受ける印象がこれほど共通するものになるとは思わなかったよ」とアダム本人が驚くように、この2作には似通った質感がある。どこか内省的で、感情の高ぶりを内側に秘めたようなサウンド。

「この2作は抽象的なフィーリングみたいなもので繋がっているんだよ。そのフィーリングっていうのは、誰か愛する人と別れたときに経験する状況だとか、生まれ育った家から初めて離れたときに感じるような気持ちなのかもしれない。そういうフィーリングをそれぞれ別の方向へと向けようとしているんだ」。

 そんな〈サウダージ〉なマインドを反映させてか、ヴォーカル・ナンバーやギター・パートが前作以上に増えているのが印象的だ。

「歌うのは大好きだよ。ドラム以上に緊張するけどね(笑)」という本人の歌はもちろん、いまやマイス・ファミリーともいえるクリスティーン・ヴァルティースドッティル(ムーム)の囁くような歌声は相変わらず魅力的だ(「彼女がいなければ、美しいメロディーを書こうなんて思わなかったよ」)。さらに今回はクラムボンの原田郁子が、焼きたてのパンみたいにふっくらした歌声で、作品に新しい息吹を吹き込んでいる。

「イクコは素晴らしいシンガーだよ! 彼女は僕の想像もつかないようなメロディーセンスを持っている。僕はアルバムでは、ほとんどの楽器を自分ひとりで演奏する。だから、彼女の歌みたいに違ったスタイルがサウンドに加わるのはいいことだと思うよ」。

 ギター・パートでは、前作でも顕著だったガット・ギターの音色を全面にフィーチャー。とりわけフラメンコ・スタイルからの影響が大きいようで、シューゲイザーばりのノイジーなエレキ・ギターと、パーカッシヴなフラメンコ・ギターとのバトルは有無を言わせぬカッコ良さだ。

「フラメンコのすべてがインスピレーションを与えてくれるんだ。ギターをドラムとして使うこと、複雑なアクセントを3拍子で演奏したりすることなんかがね。本場スペインのフラメンコ・ショウでは、涙を流しているお客さんをたくさん見たことがあるよ」。

 ダグ・シャリン(ヒム)やディラン・クリスティー(ディラン・グループ)、クリスティーンなどを迎えつつも、ほぼソロ・レコーディング状態だった前作に比べて、本作ではロブ・ラークソー(スワーリーズ)、ジョシュア・ラリュー(ヒム)などゲストも多い。そして、そのほとんどがギタリストなのも特徴的。これまでの複雑なリズムが生み出すトライバルな魅力はそのままに、ギター・サウンドから生み出される鮮烈なリリシズムがそこに溶け込むことで、エモーショナルな躍動感が生まれたのだ。

「前作は突然独りぼっちになったときの気持ちへの感謝を示していて、今回はあらためて周りの世界に直面するための強さ、つまり〈意志〉の力を振り絞ろう、っていうような内容なんだよ」。

 常にサウンドを変化させていくことを信条としているアダムにとって、本作は新しい旅立ちを予感させるもの。そうやって音の旅を重ねるアダムに最後の質問として、音楽以外に好きな〈サウンド〉を訊いてみると、こんな答えが返ってきた。

「アイスランド北部のビーチに行ったことがあるんだよ。軽い火山石が広がる半月の形をした真っ黒なビーチだった。波が沖のほうへ戻ってゆくときに、何千もの火山石がいっしょに海へと呑み込まれてゆくんだ。その音が凄く大きくて、耳が痛くなるほどなんだけど、それでも不思議に美しい音なんだ。クリスティーンとルー・バーロウといっしょに、1時間くらい立ち尽くしていたよ」。

 その感動も、新作には力強く響いているはずだ。

▼マイス・パレードの作品を一部紹介

▼参加ゲストの作品を一部紹介

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