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インタビュー

copa salvo

キューバ・レコーディングの前作『CUPA』から約1年半を経て放たれる新作は、〈極東ラテン・ロッカーズ〉から全世界へのラヴレター!!


〈アイ・セイ・コパサ!〉〈ユー・セイ・ルーヴォ!〉――ピーチ岩崎(パーカッション)による、極めてパンク的、血管剥き出しなコール&レスポンスが今日もフロアに響く。前方ではテキーラが回り、狂ったように踊るオーディエンス。何というか、観客との距離が非常に近いのだ。物理的なそれではなく、心の位置が。

〈陽気な〉とか、〈開放的な〉という言葉だけで括られがちな南国音楽にあって、copa salvoの音楽は少し特異であると言えるかもしれない。キューバ音楽の緻密でシステマティックなリズムに触発されつつも、そういったルーツを単に掘り下げるだけでなく、問答無用ですべてをブチ壊してしまうパワーに満ち溢れる楽曲群。4枚目のアルバムとなる『LOVELETTER FROM FAR EAST』は、そういった彼ららしさそのままに、よりシャープなフォルムを持った、躍動感と緊張感のバランスが素晴らしい傑作になった。これは前作『CUPA』をキューバでレコーディングした影響が強いのだろうか?

「キューバに行くまでは、僕らホント見よう見まねでキューバ音楽っぽいことをやっていたんですけど、向こうに行ってみて自分たちがいかにインチキでやってたかってことを思い知らされて。で、向こうから帰ってきて、スゴイ練習したんですよ。レコーディングした曲が、したわりにちゃんと演奏できない状態で……ホントにその場で無理矢理やったみたいなトコがあったんで、ちゃんと演奏できるように」(岩崎)。

 前作以降、そういったバンドとしての基礎体力の向上、ルーツの探求に明け暮れたわけだが、方向性として今作がラテン・ミュージックのド真ん中へ向かなかったのはなぜだろう?

「ルーツ・ミュージックを探求していこうって側面もcopaにはあるんですよ。それを担ってるのが小西英理(キーボード)。逆に、それをブチ壊してやろうって思ってるのが小林博憲(ベース)で。前作は、〈ラテンにしなきゃ!〉みたいなのがあったんですけど、今回はラテンのベーシックな部分において前より土台があるんで、何やっても大丈夫だなって」(岩崎)。

 小林がウッドベースを持ったのはこのバンドを始めてから、岩崎もバンド加入後にティンバレスを始めたそうだ。元々ラテンをバックボーンにしていないメンバーが集まったことも、このバンドのおもしろさを引き出しているのかもしれない。では、その向かう先は一体どこなのだろうか?

「テーマは〈キッズに夢を〉ですからね、ウチら」(小林)。

「そうそう、愛好家向けっぽくなるのがイヤなんですよ。中学生くらいの男の子がcopaを聴いて、〈俺もコンガ叩いてみようかな〉みたいな。僕たちがブルーハーツとかハイスタを聴いて、〈俺もやりたい!〉って思ったわけじゃないですか。しかも〈出来そう〉って。そういう感じを僕らも与えられたらなって」(岩崎)。

 ライヴ会場限定で7インチを切ったりしていることを、〈愛好家向けではない〉とするならどんな狙いがあるのだろうか?

「スカって全然ホームリスニングも出来て、大人の人も聴けるんですけど、ライヴ行ったら若者がダイヴしてるんですよ。それって理想。そういった層にアピールするのに7インチって有効なんじゃないかなって。……果てはじいちゃんまで聴いてくれたら嬉しいなぁ」(小林)。

 そんな想いが詰まった今作。確かにリズムだったりフレージングだったりはラテンの匂いがするのだが、圧倒的にキュッと引き締まっている。肉体は興奮するけど、頭はどんどん研ぎ澄まされていく。そんな感覚になるのだ。

「前作『CUPA』で一回終わったなって感覚はありますよ。今までは自分たちのベースとなる音楽(ラテン)をいろいろ探ってて。それを踏まえたうえでいろいろ挑戦しようとしたのがこれなんです」(ピーチ)。

 キューバから持ち帰った芽をここ日本で花咲かせ、タイトル通り世界へ向けた素晴らしい〈ラヴレター〉となった。まさに第2期copa salvoの幕開けを飾るにふさわしい傑作だ。

▼copa salvoの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年01月27日 12:00

更新: 2005年01月27日 18:08

ソース: 『bounce』 261号(2004/12/25)

文/斉藤 浩一